-
Conocoryphe sulzeri
本種はカンブリア紀チェコの代表的な一般種で、サイズよし、保存よし、価格よしと、いい条件が揃っている。 見た目も、なんとなくぶきみで変態的な雰囲気を漂わせているのがチェコらしくてよい。 とりあえずチェコの三葉虫をサンプル的に、と思っている人には、これがお勧めだ。 と思ってネットを見ると、意外や意外、けっこうな値段がするではありませんか。 これではうかつに人に勧められない。 まあ、あるところにはあると思うので、安いのを見つけて買ってみてください。 全長:40mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr
-
Ellipsocephalus hoffi
本種は密集になった標本がよく出回っている。 私も最初に手に入れたのはそういう密集標本だった。 しかしそのひとつひとつの個体の状態がイマイチなので、単独の標本(つまりこの標本)を買ってみたが、本種はやはり密集での標本のほうがいいみたいだ。 本種においては、昔から目の有無がずっと気になっていたが、いまだに判然としない。 正面から撮った画像を見れば、たしかに目はありそうだが、それはほんとうに目なのか、それともたんなる痕跡か、そのあたりがはっきりしないのだ。 SSPの図鑑の著者ピート・ローランスなどは、はっきり「ある」といっているし、1988年に出たドイツの化石雑誌の記事にも「(エリプソケファルスの)細長くやや弓なりになった眼はまったく目立たないので、昔の記載者たちは眼のない種類だと勘違いしたほどである」と書かれている。 しかし本種について詳細な記載を行っているミラン・シュナイドルは、瞼翼の存在こそ認めているものの、目の有無については一言も書いていない。 というわけで、ほんとのところはわからないが、私としては「ある」に一票入れておきたい。 全長:30mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr
-
Agraulos ceticephalus
三葉虫には名前と現物とが釣り合わないものがある。 本種などもその一例で、名前だけきけばどんな三葉虫かと膝を乗り出すが、現物を見ると少なからずがっかりする。 小さくてあまり特徴もないので、よほど手広く集めている人か、あるいはチェコ産を集中して集めている人でなければ手に入れようとは思わないだろう。 本種は自在頬を欠いた標本がほとんどだが、本来は小さいトゲつきの自在頬があるので、それのついている標本はけっこう貴重だ。 全長:15mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr
-
Ptychoparia striata
かつてはプティコパリア目の頭目のような顔をしていた本種だが、いまでは未確定目に他のものといっしょに放り込まれて、もはや昔日の威光はなくなった。 とはいうものの、本種がチェコを代表する三葉虫のひとつであることに変りはない。 けっして稀少種というのではないが、りっぱな標本はやはりそれなりに貴重だ。 R・フォーティはその著「三葉虫の謎」のなかで、本種について「ミスター平均」という呼称を与えている。 三葉虫の基本的なシェイプからの「いかなる方向への誇張もいっさいない」というのだが、どうだろう。 私にはそれほどプリミティヴにはみえないし、むしろボヘミアらしい奇妙な偏向を感じてしまう。 偏向というのは、ボヘミア三葉虫がもっている、一種異様な地下世界的な風情だ。 私にはそれがなぜか鉱山のイメージと重なってくる。 そこに魅力を見出せるかどうかが、この地の三葉虫を鑑賞する際の決め手になるだろう。 全長:48mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr