鉱物界と化石界

初版 2023/09/24 00:12

改訂 2024/01/21 10:09

この二つの王国の、あなたはどっちの住人ですか?

私はといえば、化石界の古生代部門、それも三葉虫限定という狭いところに棲息しています。
しかし鉱物界にも仮住まいをもっていて、ときどきそっちに出かけたりもする。
はたからみれば、両方に家をもっている男、ということになるのかもしれない。

こういう人間は、コウモリ野郎というので、あまり人から好く思われない。
それは恋愛において二股かけている男が軽蔑されるのに似ている。
やっぱり一途な人、一筋につながる人というのが大方の賛同を集めるんでしょう。
二兎を追う者は一兎をも得ず、という諺がそれを証明しているようでもある。

大乗的な考えの持主なら、鉱物好きも化石好きも、どっちも石の愛好家なんだから、みんな仲よくしましょうよ、というかもしれない。
私もその考えに異存があるわけではない。
異存があるわけではないが、しかし棲み分けというのは必然的に起こる。
たとえばフランスで出ていた「鉱物と化石」という雑誌。
これは2010年に「鉱物界」誌と「化石」誌に分かれた。
やはり読者の関心はどっちかに片寄るので、分けた方が読者に親切でもあり、かつ紙面作りの点でも利点が多いのだろう。

そんなわけで、どっちにも存在理由のある両王国だが、私は軸足を化石のほうに置きつつ、ときどき鉱物のほうにも越境したいと思う。
いくら化石好きだといっても、恐竜の糞やらマンモスの体毛やらを見るよりは、鉱物を眺めているほうが楽しいのでね。

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ktr

鉱物と化石の標本を集めています

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    Trilobites

    2023/10/01 - 編集済み

    私も鉱物系に興味が無い訳では無いですが、収集という面から見た時に両方だと置き場も予算も身が持たないですので、化石だけに今は一本化しています。両者の一般的な収集層は、化石系1:鉱物系9くらい(実際はもう少し化石系は少ないかな)差が広がってますね。ミネラルショーでも化石系の肩身の狭いのが表しています。たぶん女性層には全くと言って支持されないのが化石系劣勢の要因なのかなとは感じています。

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      ktr

      2023/10/01

      たしかにミネラルショーなんかを見るとそんな感じですが、鉱物はミーハーなファンも少なくないですからね。
      コアなファンの数に質を掛け合わせれば、化石派もかなり盛り返すんじゃないでしょうか。
      私はこちらでは鉱物部門も設けながらずっと放置していたので、しばらく三葉虫はお休みして、鉱物のほうに専念するつもりです。
      三葉虫といえば、久しぶりに「これは欲しいぞ」と思えるような標本に出会いました。
      10月半ばまでに買い手がつかなかったら、私が買います。

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    trilobite.person (orm)

    2023/10/03 - 編集済み

    ミネラルショーの来場者も7割は女性という話もあるぐらいですからね。
    ミネラルショーでは鉱物周りも面白いですよね。個人的に、ルースなどにはあまり興味はないのですが、例えばホリミネラロジーなどの出品は興味深く、よく物色しておりました。
    ktrさんの三葉虫の欲しい標本というのは気になりますね。私もFossileraの棘ありスカブレラが少々気になりますが、いくら何でも高過ぎるので完全見送りですね。ふぉっしるさんのブリストリアも欲しいですが、価格的に無理すぎます。

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      ktr

      2023/10/03

      ホリミネラロジーはよさそうですね。
      創設者の堀さんの本は最近の愛読書になっております。
      スカブレラは前のがすぐに売れてしまって、もしかしたらormさんが?と思いました。
      あの手のものが出るのなら、ヤフオクで出してほしいですね。
      ふぉっしるの最近の値付けは首を傾げてしまいます。
      ほんとに化石を普及させる気があるのかな、なんてね。
      私の気にしているのはこれです。
      https://trifoss.com/Czech-Trilobites/Deanaspis-goldfussi-BARRANDE-1846::7002.html
      それからこういうのも。
      https://www.ukfossilsforsale.com/cryptolithoides-ulrichi---oklahoma-usa-180-p.asp
      https://www.bigfossil.com/beautifully-preserved-odontopleura-from-the-silurian-of-the-czech-republic-52944-p.asp

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    • この価格帯は今の私には厳しいですね。スカブレラは前のも凄いなと思っていたら、すぐ売り切れてしまいました。今回のもすぐかと思いきや、案外長く売れ残っていて、かえって気を揉むので、いっそ早く売れてくれというのが正直な心情です。昔の、明らかな偽物トゲトゲスカブレラとは違い、個々の棘の方向やサイズが、不規則であるのが如何にも本物らしいですね。今後、ヤフオクでMDLさんあたりでの出品に期待します。
      ふぉっしるさんに関しては、多分、物価上昇、円安とインボイスの導入などのトリプルパンチで、価格を上げざるを得ない事情があるのではないかとは思いますね。

      ウィッシュリスト、トリヌクレウス系渋くていいですね。三つ目のチェコのMotol fmの標本は一時期部分化石を集めていましたが(産地は多分別ですが)、こういう完全体も出るとは驚きです。

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      ktr

      2023/10/03

      どうも三葉虫全般がかなり値上がりしていて、新たに蒐集を始める人々にとっては厳しい時期ですね。
      私なんかはスカブレラはおろかリンク先にあげたものすら容易に手が出ない始末です。
      本腰を入れ始めたロシア三葉虫も、長引く戦争のせいか業者が撤退気味で、なかなか思うようにはいきません。
      そういえば、私がショックを受けたのがこれです。
      瞬時に売り切れましたが、どこのどなたが買われたのやら。
      https://www.fossilera.com/fossils/1-8-crazy-undescribed-odontopleurid-trilobite-fezna-morocco

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    • これ私も見てました。ここにも同じようなのがありますね。
      http://www.fossilmall.com/fossils/mt17226/ceratonurus.htm
      こういう超少数ロットのよく分からない個体は、個人でなくAMNHあたりに買われていればいいなと思います。

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      ktr

      2023/10/04

      こういうのは開けて見たとたん「すごい!」と「無理!」とが同時に押し寄せてきますね。
      最後にはやっぱり金がものをいう世界なんだなあ、と感じさせてくれます。

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