浮かすな危険
初版 2022/12/18 17:02
改訂 2023/01/13 21:11
ほれぼれとするようなロシアの三葉虫たち。
しかしこれらをじっさい手元に置くとすると、ひとつ不便が生じる。
それは、プレパレーターが標本のトゲを不必要なまでに削り出していることだ。
頬棘、尾棘なんかもたいてい母岩から浮かして剖出してある。
もちろんそのほうが標本として完全に近くなるのはわかる。
しかし、そのためにトゲを折ってしまう危険性がぐんと跳ね上がってしまうとすれば、どうか。
可能なかぎり削りだして美観を高めたい気持はわかる。
トゲを浮かせたものと、母岩つきのものとを見比べると、その高級感において前者が優るのはいうまでもない。
けれどもそれははたして標本の安定性・安全性を危殆に瀕せしめてまで遂行する価値のあるものだろうか。
破損が怖くて触れない標本というのは、少なくとも私にはストレスになるだけで、好んで手元に置きたいとは思わない。
そういう理由で、ロシアの高額種にはなかなか手が出せないでいる。