愚者の黄金
初版 2023/04/22 20:38
改訂 2023/04/29 22:38
もっともふつうに見つかる鉱物としてあげられるのが黄鉄鉱だ。
採れたてはピカピカしてきれいだが、鉄分を含むので、しばらくすると表面が酸化してきて光沢がなくなってしまう。
私もかつて買った黄鉄鉱の標本がいつのまにか錆びて黒ずんでしまったのを発見したときはショックだった。
そして、なるほど愚者の黄金とはよくいったものだ、と苦々しい思いでつぶやいていた。
ところが、ネットで調べると、劣化した黄鉄鉱は簡単に元に戻るらしい。
形がすっきりしたものだと、メラミンフォームでこすってやるだけで錆が落ちるという。
そこでさっそくうちにある十二面体の黄鉄鉱で試してみた。
結果はすぐに現われた。
黒ずんで曇ってみえた表面が、たちまちかつての輝きを取り戻したのだ。
こんなに簡単なら、もっと早くやっておけばよかった。
黄鉄鉱の結晶は立方体か十二面体の形をとるらしい。
立方体は形としては単純だが、自然がこういうものを生み出すのはちょっとした驚きだ。
しかし、十二面体となると、私には数学的思考の産物としか思われず、黄鉄鉱がこういう形に結晶するのが、ほとんど驚異的に思われるのである。
自然金が結晶らしい結晶の形をとらず、なにやらにょろにょろと生えているのに対して、黄鉄鉱がこのような幾何学的な形で産出するのをみると、黄鉄鉱自身は愚者どころでなく、鉱物界における賢者ではあるまいか、と思ってしまう。
trilobite.person (orm)
2023/04/29 - 編集済み今は(ちょっと昔?)、化石だけでなく鉱物も集めていらっしゃるんでしたね。私も一時期、ホタル石など集め始めてみたのですが、ちょこっと集めて終わってしまいました。
黄鉄鉱の酸化問題は、Triarthrus eatoniなどを持っている方にとっても、大問題でしょうね。密封して保管するのが良いだとか、逆に、風通しの良い場所に置くのが良いだとか言われてますが、結局何が正解なのでしょうか。
脆い黄鉄鉱三葉虫には使えないかもですが、そのメラミンフォームで磨くという方法は試してみたくなりますね。
2人がいいね!と言っています。
ktr
2023/04/29鉱物は、化石とはまた違った意味でめちゃくちゃ奥が深いです。
鉱物部門にも登録したいアイテムはいくつもあるんですが、あまりに無知なので説明文が書けず、先送りになっております。
黄鉄鉱化三葉虫は、輝きが失せると魅力も半減してしまいますね。
ヤフオクなどでもそういうのを見かけますが、心が痛みます。
化石の場合、繊細なうえに、薬品につけると石灰岩成分が溶けてしまうので、なかなか復活はむつかしいと思います。
2人がいいね!と言っています。
Trilobites
2023/04/29 - 編集済み以前、スペイン産の有名な黄鉄鉱標本を所有してた時は、何年経っても輝きは失われませんでした。(酸化防止剤を塗ってたかも)三葉虫でもブンデンバッハのは、輝きは失う事が少ないですが、ニューヨークのトリアルツルスは、管理が難しいですね。英国産など金ブラシで黄金化は、アンモナイトでは有名ですし、Weberidesなんかの金色もメラミンスポンジか金ブラシでしょうね。
ktr
2023/04/29ひとくちに黄鉄鉱化といっても、いろんなケースがあるようですね。
先を見越して、防止剤を塗るのは、賢明なやり方だと思います。
たとえ見栄えが少々落ちても、そのほうが安心ですよね。
それにしても、アンモナイトならいざしらず、三葉虫でもそういう人工的手段が使われていたとは驚きです。
化石なら、そこまでして金色に光らせなくてもいいように思うんですが。