キベレの思い出

数ヶ月前、化石への関心が復活したとき、ebayを眺めていてふと目についたのがキベレだった。

キベレについては苦い思い出がある。
パンデリのほうは届いた標本があまり好みでなく、あまっさえ頬棘を折ってしまったので、ほどなくして手放した。
ベラトゥラのほうは到着時に破損していた。
後者はなかなかよい個体で、いまでもフォッシレラというネットショップにその画像が出ているが、いいかげん引っ込めてほしいものだ。

ところで、私がキベレという種類に興味をもったのは、じつは往年のフランス映画『シベールの日曜日』に関係がある。
シベールというのは、ローマ字で書けば Cybèle で、キベレと同じになる。
そんなわけで、この映画のなかでシベールを演じたパトリシア・ゴッジと、三葉虫のキベレとが妙な具合に結びついてしまったのである。

Cybele bellatula の bellatula は、辞書をみると「綺麗な、かわいらしい、優しい」と説明がある。
英語でいえば、cute とか lovely に当るんだろう。
これはパトリシア・ゴッジの形容そのままではないか。

そんなことを考えながら ebay を眺めていると、前回中断したところから新たに蒐集を始めるのもわるくない気がしてきた。

ベラトゥラの延びた個体は年々少なくなるようで、あってもずいぶん高い。
今回のも安くはないが、再開のための費用としてはこれくらいは必要だろう。

というわけで、私の再スタートの第一歩はキベレ・ベラトゥラということになった。