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Stephen Mallinder “Pow-Wow”
Stephen Mallinderと言えば、ご存知、Cabaret Volaire (キャバレー・ヴォルテール、略称Cabs[キャブズ])のVo/Bとして長年活動してきましたが、最近、Cabsを脱退して、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成しています。彼は、そう言ったグループ活動と並行して、ソロとしても活動しています。今回は、彼のソロアルバムとしては一番古いアルバム”Pow-Wow”を紹介したいと思います。Cabsについては既に書いていますが、Mallinderについてのバイオグラフィーは書いていませんので、ここで、改めて書くことにします。 Stephen Mallinderは、英国シェフィールドで1955年1月1日生まれで、1973年にCabaret VoltaireをRichard H. KirkとChris Watsonと共に結成し、Western Worksにて様々な音楽的実験を試みたおり、Cabsとしては30枚以上のアルバムをリリースしています。1995年に豪州に移住し、10年間そこで暮らしています。1996年には、Pete Carrolと共にOffWorld Soundsを運営し、Western AustraliaのMurdoch大学で、論文”Movement - Journey Of The Beat”を執筆し、博士号を取得しています。その後、英国に戻りBrighton大学で教鞭を取る傍ら、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成して、未だ現役のミュージシャンでもあります。もう少し、詳しく書いておきますね。Mallinderは、Cabsと並行して、1980年代には、既にソロワークも始めており、その中には、本作品でもあるアルバム”Pow-Wow”も含まれています。1988年にはSoft Cellのメンバー達と、Love Street名義で録音も行っており、1989年には、MinistryのAl Jourgensen達とのバンドAcid Houseのメンバーでもありました。ちょっと話しが前後しますが、1982年に、英国初の自主制作ビデオレーベルDoublevisionをRichard H. Kirkと設立し、1990年には、そのビデオレーベル関係のレコードレーベルPlastex Recordsも始めています。その後、豪州に渡ってからは、Ku-Ling Bros.やSassi & Loco名義での作品のリリースの為、1998年に、Off World Sounds/Productionsも始めています。Mallinderは、豪州に渡った時には、音楽ジャーナリストとしても働いており、Ministry Magazine, Sunday Times, The West Australianに音楽記事を書いていました、また、コミュニティ・ラジオRTRFMのプレゼンテーターやプロデューサーも務めています。また、2000年代になると、本の執筆も手掛けるようになります。例えば、2013年に発刊された、Benjamin Halligan, Nicola Spelman, Michael Goddard編集の書籍”Resonances: Noise and Contemporary Music”でも1章執筆していますし、同年、S. Alexander Reed編集の本”Assimilate: A Critical History of Industrial Music”では、表書きも書いています。後、博士号については、前述の通りです。それで、最近の音楽活動ですが、まず、Fila Brazilliaの片割れのSteve ConnyとHey, Rube!名義で録音開始、2012年10月にファースト・アルバム”Can You Hear Me Mutha?”をリリース、Ku-Ling Bros.のファースト・アルバム”Creach”が2001年に米国でリイシューされ、その後、2010年にアルバム”Here Come the Astronauts”をリリースしています。2014年2月には、プロデューサー兼リミキサーDub Mentorとのコラボシングル”Obsession”をリリース、これにはCabsの曲も収録されています。また、先述のように、Phil WinterとBengeとWrangler名義で、3枚のアルバム” LA Spark” (2012年), “Sparked” (2014年), “White Glue” (2016)を出しています。また、2014年には、地元SheffieldのバンドClock DVAとIn The Nurseryのメンバーと一緒にIBBERSON名義でのパフォーマンスも行っています。そうして、2019年には、再びDub MentorによるAnna Dominoの”Lake”のスポークン・ワード・ヴァージョンのシングルを作成しており、まだまだ、彼の活動は衰えないようです。 以上が、Stephen Mallinder個人の活動歴なのですが、本作品”Pow-Wow”は、ソロとしてのファースト・フルアルバムに当たる訳で、ゲストには、Alan Fisch (Drs)とLast Few Days (Daniel Landin, a.k.a. D. Styme, Si Joyce, a.k.a. Si Gross, Keir Wahid, a.k.a. K. Warhead & K. Fraser)の3人が参加しています。内容は両面とも6曲ずつで、リリースは、当時、この界隈で人気のあったレーベルFetish Recordsからです。それでは、各曲についてご紹介していきますね。とは言っても、1分前後のインターバルな曲も入っていますので、実質的な曲としては合計8曲と考えてもらって構いません。 ★A1 “Temperature Drop” (5:02)は、リズムマシンとスチールドラムと簡素なBから成るダブ的ミックスの曲で、時に聴こえるVoやノイズが何とも不穏でダークな雰囲気が、初期Cabsっぽいです。 ★A2 “The Devil In Me” (5:01)は、バシャバシャしたリズムマシンとスラップ奏法のBに、シンセやG、不可聴なVoが挿入されるジャンク・ファンクな曲です。 ★A3 “0.58” (0:58)は、ヨレヨレのパルス音とホワイトノイズのスネアから成る小曲です。 ★A4 “Pow-Wow” (3:23)は、リズムマシンのキックとPercが引っ張っていく曲ですが、エフェクターを掛けたBもシンプルなリフを重ねています。トランペット音の残骸等も挿入されていますが、これらは多分サンプリング? ★A5 “Three Piece Swing” (2:52)は、ノリの良いリズムマシンに、テープ音やB等から成る曲ですが、Gのカッティングも入っているのかな? ★A6 “Cool Down” (3:55)は、音色がもろCabsのリズムマシンで、そこにシンプルなBやノイズが纏わりついていくます。これもCabsっぽい曲です。 ★B1 “1.37” (1:37)は、笛(?)の音のループに打楽器のループが重なっていきます。 ★B2 “In Smoke” (3:37)は、四つ打ちキックに上物(ブラスや打楽器、Vo等)が乗っていく曲で、いつの間にか”not funky”なBも加わってきます。 ★B3 “1.59” (1:59)は、金属を擦るような微音ノイズから成る小曲です。 ★B4 “Length Of Time” (6:05)は、シンセで作った機関車のようなリズムとシンセのリフで持って行くような曲で、まるで除雪車が走っているような曲で、段々と盛り上がっていきます。 ★B5 “1.34” (1:34)は、テープ音とワイヤーの音(?)のループから成る小曲です。 ★B6 “Del Sol” (5:36)も、Cabs直系のリズムで、簡素なBとGも初期Cabsっぽいですが、割とGがコードをちゃんと弾いてますし、Voも聴こえる方ですが、その分、首を絞められそうな音楽になっています。 と言う訳で、Stephen Mallinderのソロ第1作目ですが、Voの無い、初期Cabsの鬱々としたマシン・ミュージックをそのまま受け継いでいるようにも思えますね。しかしながら、本作品の方がヴァリエーションが豊富で、自由度も高いと思います。まだ、後のエレクトロ・ファンクな面は見せていませんが、それでもちょこっとだけ、その片鱗も伺えます。Cabsの”Voice Of America”辺りが好きな方ならきっと気に入るでしょう!それにしても、Mallinderの創作意欲は衰えを知りませんね。 https://youtu.be/hp4DT4d1mfA?si=r3StdBvwMjv2myc4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mjFyGgTRLdWtoCm4vqsb6CMNWrWnY9nFk&si=a6cIwjdbBboRsX0b #StephenMallinder #Pow-Wow #FetishRecords #FirstSoloAlbum #日本盤 #CabaretVoltaire #Wrangler #Industrial #LeftField #Electro #Guests #AlanFisch #LastFewDays
Industrial / Left-Field Funk / Electro Fetish Records 不明Dr K2
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Penguin Cafe Orchestra “Music From The Penguin Cafe”
皆さんは、Penguin Cafe Orchestra (以下PCOと表記)を覚えてますか? 1980年代初頭に日本でも大ブームを巻き起こした英国グループで、Brian EnoのObscure Recordsの一貫としても紹介され、当時のアンビエント・ブームに乗っかる形で、それこそOLや女子大生にまで人気がありました。その時は、私は全然興味が無かったのですが、ふとしたキッカケで中古日本盤を購入していました。 先ずは、PCOのバイオグラフィーを書いていきたいと思います。中心人物のSimon Jeffesは、英国サセックス州生まれ、カナダ育ちで、13歳の時に、Gを弾いて欧州を回っており、その時に、クラシックGやPiano、音楽理論をChiswick Polytechnicで学んでましたが、卒業前にドロップアウトしています。それで、1972年に日本に住んでいたらしいのですが、その頃は、クラシックの硬直性とロックの限界を感じ、そのどちらにも幻滅していた時期で、その代わりに、いわゆるフォークミュージックに可能性を見出してしたらしいです。そして、その時に、エスニック・ミュージック、特にアフリカン・スタイルに興味を抱き、これらのスタイルを西洋の古典的音楽に掛け合わせようと決意します。こうして、Jeffesは、自ら作曲して、それを演奏する為に、PCOを始めます。ただ、Jeffesは、Penguin Cafeについて語る時、それは、1972年夏、南仏で不味い魚料理で食中毒になり、ホテルのベッドで横になっていた時に、「自分がPenguin Cafeの経営者になって、適当に話しをしていく」夢を見たことによるとしています。彼は、PCOの音楽をmodern semi-acoustic chamber musicと評しています。そうして、Jeffesは、本作品でもあるPCOのファースト・アルバム”Music From Penguin Cafe Orchestra”を1974-1976年に録音しており、この作品は、Brian EnoのObscure Recordsのシリーズとして、Edition EGから1976年にリリースされます。その後、メンバーも落ち着いてきて、1981年には、セルフタイトルのセカンド・アルバムを出しています。PCOは、1976年10月に、KraftwerkのRoundhouseでのライブサポートとして、初めて大きな会場での演奏を行っています。その後は、LondonのSouth Bankの専属になりながらも、様々なフェスに参加、1976年〜1996年に、北米、豪州、日本、欧州、英国で演奏をしています。1987年3月には、ITVのアートシリーズThe South Bank Showでも出演し、演奏を披露しています。一方、Jeffesは、より実験的な方向性を打ち出し、トロンボーンやオーボエも入れて、PCOをダンス・オーケストラにしようとします。その為か、オリジナル・メンバーのGavyn Wrightは1984年に、Steve Nyeは1988年にバンドを脱退してしまい、新たなラインナップで活動を続けます。新メンバーは1975年頃から1988年までの間に加入し、1995年に、アルバム”Concert Program”をリリースしています。しかしながら、1997年に、リーダーのJeffesは、脳腫瘍で亡くなってしまい、PCOは一旦休止状態となります。しかしながら、2007年に”Concert Program”の時のメンバー(若干の違いはある)でリユニオンを果たし、特に、Jeffesの息子Arthur JeffesがPercとKbdで加入してから、Arthurはバンド名を単にPenguin Cafeとして活動していますが、元々のPCOのメンバーの内4人はThe Anteatersと名乗ってフェスに出演したりしています。 以上がPCOの略歴となりますが、本作品はPCOとしてのデビュー・アルバムに当たります。少々、混乱するかも知れませんが、クレジットには、2種類のバンド名(?)が記載されています。一つは、ZOPFで、Simon Jeffes (G, B, Ukulele, Quatro, Spinet, E-Piano, Mouth Perc, Vo, Zither, Ring Modulator, Cello [A2-2]), Helen Leibmann (Cello), Gavyn Wright (Vln, Viola), Neil Rennie (Ukulele [A2-5]), Emily Young (Vo), Steve Nye (Mixing)から成り、主にA2を担当、もう一つは、Penguin Cafe Quartetで、Helen Leibmann (Cello), Gavyn Wright (Vln), Steve Nye (E-Piano, Engineer), Simon Jeffes (E-G)から成り、主にB面を担当しているようです。また、録音時期もA1, B1は1974年に、B2, B3は1976年に行われていますが、A2についての録音時期の記載はありません。しかしながら、作曲は全てSimon Jeffesで、プロデュースはJeffesとSteve Nyeが行っています。そうして、A面には2曲(内A2曲は7パートから出来ています)/B面は3曲と言う内容になっています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Penguin Cafe Single” (6:14)は、恐らくPCOとしての発想が初めて具現化した曲だと思います。弦楽器のリズミカルな音とピアノの軽やかな音の対比や、途中で即興っぽく、或いはロッケンローっぽくなってしまう辺りの崩し方が絶妙です。 ◼️ZOPF ★A2-1 “From The Colonies (For N.R.)” (1:38)は、弦楽器を弾く音とチェンバロ風の楽器にBが底上げしているミニマルな曲です。 ★A2-2 “In A Sydney Motel” (2:27)は、アコギと虚なVoからリズミカルな展開になるダイナミックな曲で、その対比が面白い。 ★A2-3 “Surface Tension (Where The Trees Meet The Sky)” (2:20)は、ショッキングなピアノで始まり、チェロやVlnが絡んでくるゆったりした曲です。 ★A2-4 “Milk” (2:20)は、BとVoのミニマルな曲で、変調音やフリーキーなチェンバロ音が絡んでくる曲。 ★A2-5 “Coronation” (1:30)は、弦楽四重奏をバックにゆったりと歌う曲ですね。 ★A2-6 “Giles Farnaby's Dream” (2:17)では、チェンバロのイントロから、Bやウクレレなんかがちょっとポップス調にメロディを奏でています。 ★A2-7 “Pigtail” (2:45)では、ポロロンとしたピアノに変調された音が被ってくる曲で、ミニマルにゆっくりと展開します。 ◼️Penguin Cafe Quartet ★B1 “The Sound Of Someone You Love Who's Going Away And It Doesn't Matter” (11:38)では、軽妙なGソロ弾きから次第にピアノや弦楽器がお互いに絡み合い、どれがメインとなる訳でもなく、躁鬱病のように流れていきますが、エレピの高音と弦楽器でいきなり「電気的」にもなったり、「不仲」になったりします。 ★B2 “Hugebaby” (4:43)でも、Gとエレピとチェロが網目のように絡み合いながら、盛り上がりかけたり、落ち着いたりします。 ★B3 “Chartered Flight” (6:37)は、漆黒の中からVlnが立ち現れ、エレピやチェロも出てきますが、突然、弾むんで散歩するような曲調へ。エレピソロが目立ちますが、やがて離陸していき、最後はVlnのピッキングでフェイドアウトしていきます。 普段、聴かない音楽なので、中々興味深く楽しめました。多分、サティ辺りの「家具の音楽」との関連もあるとは思いますが、A2の短い曲の連続もそれぞれの曲に工夫が凝らしてあって面白かったですし、B面の長めの曲も、表情の変化の移ろいが感じ取れて、面白かったです。特に、エレピの高音をああ言う風に弾くと、かなりエレクトリックな感じになるのが、発見でした。まだまだ、セミ・アコースティックでも新しい音楽が作れると確信出来た時代だったのかもしれませんね。まぁ「家具の音楽」と言うよりも「Obscure」と言った方がピンときます。貴方は聴きますか? A2-3 “Surface Tension (Where The Trees Meet The Sky)” https://youtu.be/e_VWTJeA3w0?si=0DDb8udV6ZmHiQVy [full album(B2を除く)] https://youtube.com/playlist?list=PLgUklsPQ_4toXsZljE4B7Kc7WhFZktD2z&si=fan-XsaHtUkMSj6v #PenguinCafeOrchestra #MusicFromThePenguinCafe #EditionsEG #PolydorRecords #ObscureRecords #FirstAlbum #1974-1976年 #日本盤 #Contemporary #ChamberMusic #Semi-Acoustic #ZOPF #PenguinCafeQuartet #SimonJeffes #SteveNye #HelenLeibmann #GavynWright #EmilyYoung #NeilRennie
Contemporary / Semi-Acoustic Editions EG / Polydor Records 不明Dr K2
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Killing Joke “Fire Dances”
時々、思い出すのが、Killing Jokeなのですが、私は正直、このバンドがどう言う立ち位置なのかは今だに良く分かりません。前回、Killing Jokeのバイオグラフィーはこのアルバムの直前まで書いてありますので、それで大体のことは分かると思います。少しだけ補足をしておきますと、サード・アルバム”Revelations”を出した1982年頃に、メンバー、特にJaz Coleman (Vo, Synth)は、オカルト、それもAleister Crowleyの黒魔術に心酔しており、同年2月には、ColemanはKevin "Geordie" Walker (G)を誘って、直ぐにもやってくると信じていた黙示録的終末を避ける為に、暫くアイスランドに逃亡し、Þeyrと言うバンドと一緒にNicelandなるプロジェクトをやっています。残されたYouth (B)はそのまま英国に留まっていましたが、Killing Jokeを脱退し、Paul Ferguson (Drs)と共にバンドBrilliantをやり始めます。ただ、Fergusonは、アイスランドに行き、新メンバーPaul Raven (B)と共に、新生Killing Jokeを始めます。1982年には、このメンツで、シングル”Birds Of A Feather"を、またカナダのトロントで制作した10㌅ミニ・アルバム”Ha!”をリリースしています。そうして、1983年には、本作品でもある5枚目のアルバム”Fire Dances”をリリース、そこからシングルカットされた”Let's All Go (to the Fire Dances)"もリリースし、彼等は初めてのMVを作製し、プロモーションを行っています。更に、同年10月には、アルバム未収録曲”Me or You?"も出しています。まぁ、ここら辺で辞めておきましょう。 こんな経歴で、Killing Jokeは、ポストパンクにもヘビメタにも人気があると言う特異な立ち位置のバンドであるとは分かってもらえましたか? 再掲になりますが、この5枚目のアルバム”Fire Dances”の参加メンバーは、Jaz Coleman (Vo, Synth), Kevin “Geordie” Walker (G), Paul Raven (B), Paul Ferguson (Drs, Vo)の4人組です。それでは、本作品(両面5曲づつ)の各曲を紹介してい曲ましょう。 A1 “The Gathering” (3:12)は、跳ねるようなリズム隊に、結構カッコ良い歪んだGと堂々と歌うVoが乗ってくる曲で、コーラスも間奏のGもグー! A2 “Fun & Games” (4:07)も、時計の音の直後に、跳ねるリズム隊と電流を通したようなGに、呟いたり、歌い上げたりする自在なVoが良く映える曲です。 A3 “Rejuvenation” (4:00)は、直角的なDrsと分厚いGとBから成る曲で、独特の歌い方のハキハキしたVoが迫ってくる曲ですね。 A4 “Frenzy” (3:48)も、メタリックなGに切羽詰まったようなリズム隊が追いつき、Voも生き生きしてます。ブレイクがカッコ良い! A5 “Harlequin” (3:56)は、四つ打ちっぽいキックに導かれて、太いBやGのリフが乗ってきますが、相変わらずVo(叫び声ではないのがまた良い!)に痺れます。 B1 “Feast Of Blaze” (3:34)は、またノリの良い曲で、サビでのGとBの絡みがイカしてますね。Voも良く通っています。 B2 “Song & Dance” (5:13)では、歪み気味のGのリフとVoから始まり、ドコドコしたリズム隊が挿入してきます。演奏自体は本当に上手いです!特にDrsとG! B3 “Dominator” (4:30)では、ややファンク調のリズム隊の演奏で始まり、Gは控えめで、時にKbdの不協和音が入ってきます。これはダンサブルですね。 B4 “Let's All Go (To The Fire Dances)” (3:20)は、DrsのスネアとGで始まり、直立的リズムが押し出された曲です。特に杭打ちのようなB!曲の熱量が凄い! B5 “Lust Almighty” (3:48)では、ジャングルのようなドコドコしたDrsに引き攣るGが真っ向勝負しています。 なんだろうなぁ。演奏もVoも上手いし、カッコ良いのだが、どうも心に残り難いような印象を持ちます。一つは、曲の並びに緩急が余り無いと言うこと。もっと言えば、心に残るリフとか曲の展開とかが余り無いように感じるってことです。1曲1曲は凄く良く出来ているし、演奏自体も上手いのですが、どうもアルバム単位で聴くとちょっと辛いかなぁ? それから、ColemanのKbdプレイが1曲(B3)だけしか聴こえなかったのも、今いちだったかも。そこら辺に物足りなさも感じたかなあ? しかしながら、曲自体は良く出来ていますので、好きな人には堪らないアルバムだと思いますよ❗️なので、気になる方は聴いてみては如何かな❓ B4 “Let's All Go (To The Fire Dances)” https://youtu.be/JV6ZUPp_mtQ?si=uavwi-0UYMr5syXa [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLVpuNR2HpwPgbkAWHnQjJ1XYdjV7eDa5z&si=9mFDBPmXoc-o5vmf #KillingJoke #FireDances #EGRecords #PolydorRecords #日本盤 #5ThAlbum #PostPunk #AlternativeRock #HeavyMetal #Synthesizers #JazColeman #KevinGeordieWalker #PaulRaven #PaulFerguson
Post Punk / Alternative Rock Polydor Records (EG Records) 不明Dr K2
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Bauhaus “In The Flat Field (暗闇の天使)”
お久しぶりです、Bauhaus‼️今回は彼等のファースト・アルバム”In The Flat Field (暗闇の天使)”をご紹介します。前にも書きましたが、私は何故か、Bauhausをリアルタイムでは聴いてはいませんでした。それで、こう言うのも聴かなきゃと思って、このファースト・アルバムと以前紹介したセカンド・アルバム”Mask”だけは購入してました。久しぶりに、彼等のファースト・アルバム”In The Flat Field (暗闇の天使)”を聴きましたので、紹介します(勿論、私なんかより詳しい人がいるのは承知しています)。Bauhausのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらを参考にして下さい。なお、国内盤は英国盤より一年遅れでリリースされています。一応、メンバーを再度、紹介しておきます。Peter Murphy (Vo), Daniel Ash (G, Sax), David J (B), Kevin Haskins (Drs)(因みにDavid JとKevin Haskinsは実の兄弟です)の4人です。それで、内容の方なんですが、確かにポジテイブ・パンク的なリズム隊の演奏なんですよ。一言で言うと、スネアで拍を取るのでは無く、ドコドコとしたタムを多用したドラミングと、曲の底を支えるベース(時にファンク調なフレージングも)とに、結構、自由度の高い、独特の音色のフリーキーなギターと字余りをモノともしない爬虫類的なMurphyのヴォーカルから構成される曲が収録されています。これは好きな人は好きだろうなと思わず膝を叩いてしまいました。しかしながら、以前にセカンド”Mask”を聴き直した時の衝撃はそれ程感じなかったですね。ただ、Ashの有刺鉄線に高圧電流を流したようなギターの音には惹かれました。それと、B面最後の7分越えの大曲B4 “Nerves”ほ、ピアノ(多分、David Jが弾いてる?)のフリーな演奏による盛り上げ方は、彼等が元々、フリーキーな演奏を取り入れていたと分かる点も含め、個人的には好みでした。あと、思ったのですが、Bauhausがゴス・ロックの始祖の一つと捉えられるのは、結構、アートワークやメンバーのポートレートによるのではないかと言うこと。ジャケもアートワークもモノクロで、かつポートレートも不明瞭な感じは、単なるポジ・パンと言う範疇を超えて、「ゴシック」のイメージに繋がってしまったのでは?と思いました。そうすると、ポジ・パンとゴス・ロックの違いとはなんぞや?と言う疑問にもぶち当たるのですが、音楽的にそんなには断絶がある訳がないように思えます。なので、よりダークでモノトーンな世界に入り浸るのが、ゴス・ロックかな?と理解してます。本作品では、プロデュースも自分達でやっており、そのせいなのかなあとも思えます。それで、セカンド”Mask”を再度聴き直してみると、このファーストでは、まだ荒削りの状態であったのだと確信しました(それにしても、Bauhausってカバー曲のアレンジは秀逸なんですよねー)。そんな訳で、このアルバムにはまだポジ・パンの香りが濃く残っている作品と言えるでしょう。そこら辺のルーツを知りたい方は聴いてみては如何ようか⁉️ 本作品の前に出た名曲”Bela Lugosi's Dead” https://youtu.be/Yy9h2q_dr9k A3 “A God In An Alcove”のlive https://youtu.be/1X0LxzB5zso [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mwucSISqHOX1HXsYyKZp_WUQjR9h1Paw0 #Bauhaus #InTheFlatField #暗闇の天使 #4AD #WEA #FirstAlbum #PostPunk #GothRock #PositivePunk #SelfProduce #PeterMurphy #DanielAsh #DavidJ #KevinHaskins
Post Punk / Goth Rock WEA (4AD) 不明Dr K2
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Ramleh “Grudge For Life”
実は、このRamlehのアルバムは、当時、付き合いがあったThe Gerogerigegegeの山之内純太郎くんから交換で頂いたものなんです。それで、聴くまでは、典型的パワ・エレだと思っていたのですが、実は、この作品作成の少し前に、Gary MundyはPhilip Bestと組んで、新Ramlehを始めたばかりで、音楽性も大きく変わっており、聴いてビックリした記憶があります。Ramlehのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらを参考にして下さい。この時期のRamlehは、初期の典型的パワー・エレクトロニクスのスタイルから、Mundyの志向がガラッと変わって、Skullflowerのようなギター・ノイズになったばかりで、本作品でも、バックはギターとベース(+オルガン)だけで全曲通してやっています。これを通して聴いた時は、文字通りのパワ・エレじゃなくて、がっかりしたのですが、今回、聴き直してみて、そのかっこ良さに気付きました。まるで、ヘビーなロックを聴いているようなリフとサウンドで、そこに、パワ・エレで鍛えたヴォーカルが乗り、ドラムレスの「ハード・ロック」のようです。しかも、リフやメロディまでありますから、それまでのRamlehファンは驚いたと思いますよ。しかしながら、こう言う変遷もあって、今のRamlehがある訳ですし、この前作品辺りでは、既にオルガン演奏によるメロディも含んでいた訳ですので、必然だったのかもしれませんね。皆さんも意外なRamlehのアルバム、聴いてみてください❗️ https://youtu.be/WyZJGZqO1_0 #Ramleh #GrudgeForLife #Vis-A-VisAudioArts #FeedbackNoise #NoiseRock #Experimental #Rock #Guitar #Bass #GaryMundy #PhilipBest #BrokenFlag
Noise / Industrial Vis-A-Vis Audio Arts 0円Dr K2
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Glaxo Babies “In The Begining”
またまた戻ってきました。英国ポストパンク・バンドGlaxo Babiesのセカンド・アルバム”In The Beginning”、、、なんですが、オリジナルは、タイトルが"Put Me On The Guest List”で、かつ曲順や収録曲に若干の違いがあります。今回は日本盤の紹介をしたいと思います。Glaxo Babiesのバイオグラフィーについては以前に書きましたので、省略しますが、今回のメンバーと担当楽器だけ書いておきます。Rob Chapman (Vo), Tom Nichols (B, Vo), Geoff Alsopp (Drs), Charles Llewellyn (Drs [B5]), Dan Catsis (G, Vo), Tony Wrafters (Sax)となっております。ご存知のように、Dan Catsisは一時期、同郷ブリストンのThe Pop Groupのメンバーでもありました。それで、内容なんですが、先述のように、”Christine Keeler”が追加され、更に"Flesh"の代わりに"Nova Bossanova"が加えられていますので、本当は英国盤と比較したいところですが、そこまでの財力がありませんでしたので、ご勘弁下さい。因みに、この2曲 (A4 “Christine Keeler”とA5 ”Nova Bossanova”)は先行シングルとしてリリースされた音源です。また、日本盤は曲順が変えてあると言いましたが、どうも、4回4か所で、録音がなされており、その時間軸に沿って、並べ替えているようです。なので、一つのアルバムと言うよりも、セルフ・コンピみたいな扱いになっています。それで、今、聴くと、何ともDIYっぽい音で、ちょっと残念な感じもして、もうちょっとドラムやベースの音なんかに凝った方が良かったのでは?と思わず突っ込んでしまいそうになります。曲自体はもろポスト・パンクですが、思っていた程、ファンク色は強くはないです。しかしながら、Catsisの痙攣ギターが時々聴かれるのは嬉しいです。また、WraftersのSaxも入っていない曲もあって、もっとバリバリ入れて欲しかったとも思います。Sax入りの曲が良いので、余計にそう思ってしまいます。しかしながら、適度に聴き易くて、素朴な曲もあって、それなりに楽しめます。なので、必聴!とは言いませんが、1980年のポスト・パンクに興味がある方は一度は体験した方が良いかもしれませんね。 A1 “This Is Your Life” A2 “Police State” A3 “Because Of You” A4 “Christine Keeler” A5 “Nova Bossanova” A6 “Who Killed Bruce Lee (Version)” B1 “Stay Awake” B2 “She Went To Pieces” B3 “Avoiding The Issue” B4 “Burning Flesh” B5 “Puppet Patrol” 日本盤のYouTubeは無かったので、オリジナルの"Put Me On The Guest List”[full album]を貼っておきます。 https://youtu.be/FETnWGGFa7A?si=D4YoEbXSuekK-l9g A4 “Christine Keeler” https://youtu.be/ULQwTNb5Ze0?si=OSTZv0GYrzvOfP9P #GlaxoBabies #InTheBeginning #TrioRecords #HeartbeatRecords #CherryRedRecords #S #PostPunk #PutMeOnTheGuestList #SecondAlbum #日本盤 #SelfCompilation #RobChapman #TomNichols #GeoffAlsopp #CharlesLlewellyn #DanCatsis #TonyWrafters
Post Punk Trio Records (Heartbeat Records / Cherry Red Music) 不明Dr K2
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Dead Can Dance “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”
さてさて、今回はちょっと毛色の変わったバンドを紹介しますよ。Dead Can Danceです。それで作品は、彼等の12㌅EP “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”です。先ず、彼等のバイオグラフィーを簡単に書いておきます。Dead Can Dance (以下DCDと表記)は1981年8月に、豪州Melbourneにて、Paul Erikson (B)とLisa Gerrard (Vo, Perc: 元Microfilm)を中心に、Marching GirlsのSimon Monroe (Drs)とBrendan Perry (Vo, G)とが加わって結成されました。翌年5月には豪州を離れ、英国Londonに移り、Brendan PerryとLisa Gerrardは、the Isle of Dogsを名乗り、そこにPeter Ulrich (Drs)が加わり、そこで、インディー・レーベル4ADと契約しています。しかし、その時の契約では、Paul EriksonとPeter Ulrichのデュオの形態でしたが、録音は全員(5人)で行われ、1984年2月にデビュー・アルバム”Dead Can Dance”をリリース。そこでは、ニューギニアの儀式的仮面がジャケ写に使われたことで、注目を浴びます。同年8月に、本作品でもある12㌅EPをリリース、この時に彼等自身は否定していますが、「ゴス(Gothic)」と形容されています。1985年11月に、DCDはセカンド・アルバム”Spleen and Ideal”をコアメンバーであるGerrardとPerryに加えて、Cello, TromboneやTympaniなどのセッション・ミュージシャンと共に作り上げます。このアルバムは英国インディーチャートの2位になっています。しかし、1989年に、2人のコアメンバーは、物理的に別々の場所に移りますが、DCDとしては活動しています。その後、6枚目のアルバム”Into The Labyrinth”を1993年9月にリリースすると、これが大当たりで、ビルボード200に入り、4ADの稼ぎ頭になります。そんなDCDでしたが、1998年に、次のアルバム”Spiritchaser”に向けて録音を開始し、1999年初頭にリリース。その後、ツアーを組んでいましたが、突然、この2人は別れてしまい、ツアーもキャンセルとなってしまいます。その後、2人はそれぞれソロアルバムを出しており、ここで一旦、DCDは解散となります。しかしながら、2005年に、DCDは限定で再結成され、アルバムやツアーをこなします。限定であったはずですが、その後も、順調に活動を続けていきます。2021年にはCovid-19パンデミックでツアーをキャンサルしています。また、北米及び欧州ツアーについては、2022年9月に予期せぬ健康上の理由でキャンセルしています。 と言う訳で、DCDの最初期の作品である“Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”の内容について紹介していきます。4曲入り45回転の12㌅EPで、A面B面それぞれ2曲ずつ入っています。A1 “Carnival Of Light (光の祭典)”は、Gerrardの歌い上げるような伸びやかなヴォーカルとギターのカッティングが特徴的なリチュアルな曲、A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)”もPerryの伸びやかな歌声に優しいギターの音色が絡み合う割りかしポップな曲から成ります。一方、B1 “The Arcane (神秘)”はPerryの歌うダークな雰囲気の曲でドラムとギターの対比が面白いです。B2 “Flowers Of The Sea (海に咲く花)”では 再び、Gerrardの歌と、ドラムとパーカッションと弦楽器とから成る土着的な(少しトルコ辺りの民族音楽的雰囲気あり)曲になっています。当時の噂ではポジ・パン(ポジティブ・パンク)とかの括りだったと思いましたが、寧ろ、Coilとかのペーガン・フォークみたいなリチュアルな印象が強かったですね、それもアンチ・キリスト教的な! その流れで、捉えれば、分かり易いかも?こんな音楽が当時はポジ・パンと言われていたのもおかしな評価ですね。なので、そう言う風に聴いてもらえると面白い音楽だと思いますので、是非とも❗️ A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)” https://youtu.be/qKciAhgdZBI [full album & BBC sessions] https://youtube.com/playlist?list=PLHP7bAjOIkpAq4OVkLxrbM2k-6Oy2KGoV #DeadCanDance #GardenOfTheArcaneDelights #深遠なる庭園にて #キングレコード #4AD #EP #PositivePunk #Gothic #RitualMusic #LisaGerrard #BrendanPerry #Australia #PaulErikson #SimonMonroe #PeterUlrich #AntiChristism
Goth Rock キングレコード (4AD) 不明Dr K2
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Orchestral Manoeuvres In The Dark ”Organisation (エノラ・ゲイの悲劇)”
出ました、出ました!英国エレ・ポップ(或いはテクノ・ポップ)の雄、Orchestral Manoeuvres In The Dark (以下、OMDと表記)の登場です。今回は、彼等のセカンド・アルバム”Organisation (邦題「エノラ・ゲイの悲劇」)を紹介します。英語名より邦題の方が良く知れ渡ってますね。それでは先ず、彼等のバイオグラフィーを書いておきます。OMDは1978年に英国MerseysideのWirralにて結成されました。創設メンバーはAndy McCluskey (Vo, B)とPaul Humphreys (Kbd, Vo)で、後にMartin Cooper (Kbd, Sax)とStuart Kershaw (Drs)が加わりました。OMDは、1970年代後期から1980年初期に起こったシンセ・ポップの文脈にあって、実験的でミニマルな態度とポップネスを結びつけた存在であり、MTVを通じて流行ったことから、米国では「セカンド・ブリティッシュ・インヴェイジョン」の立役者とも言われています。それで、グループの始まりですが、McCluskeyとHumphreysは、1960年代初頭、まだテーンエイジャーだった頃にMeolの学校で会っています。そして、1970年中期に、それぞれ違うバンドに加入していましたが、ギター中心の漢っぽいロックバンドでした。1975年には、McCluskeyはEquinoxと言うバンドで、ベースとメイン・ヴォーカルを担当していましたが、彼とHumphreysは、Kraftwerkを聴いて、そんな電子音によるポップ・ミュージックをやろうとします。McCluskeyは、Equinox の後、PegasusやHitlerz Underpantzに加入しますが、McCluskeyはHumphreysとエレクトロニクスの可能性にかけるようになっていきます。1977年9月に2人は、7人組のバンドThe Idを始め、Merseyside地区で定期的にライブをやるようになります。このバンドでは、1979年作のコンピレーション・アルバム” Street to Street – A Liverpool Album”に1曲収録されています。その一方で、McCluskeyとHumphreysは、サイド・プロジェクトとしてVCL XIを始めます。この名前は、Kraftwerkの5枚目のアルバム”Radio-Activity”の背表紙に載っていた文言から取っており、2人は、より抽象的電子音楽の実験を進めていきます。1978年8月にThe Idは解散しています。同年8月から9月まで、McCluskeyはDalek I Love Youでリードヴォーカルをやっていましたが、すぐに辞めて、Humphreysと共にVCL XIを立ち上げ、更に、バンド名をOMDと改めます。このデュオ名は、McCluskeyの寝室の壁に書いた歌詞の中から取られており、パンクバンドとは間違われない名前にしたとのこと。当初はライブは考えていなかったらしく、また労働者階級の若者として、OMDは出発したので、中古のジャンクショップで売っている楽器を使っていました。時には、叔母のラジオを改造したりもしてますが、その後、やっとのことでKorg M-500シンセを分割て買い、OMDは、デュオでライブを始めます。バックトラックはTEAC4トラックテープレコーダー(これにはWinstonと名前が付いていた)に入れて、1978年10月に、リバプールのEric’s Clubでライブ・デビューします。それで、彼等は、インディーレーベルのFactory Recordsより、Martin Hannettのプロデュースで、シングル”Electricity”をリリースします。しかし、このシングルのA面には、Winstonの所有者で、後にマネージャーになる友人(通称Chester Valentino)が録音したデモトラックが使われていました。しかし、このシングルは大当たりし、Dindiscを通じて、7枚分のアルバム制作代を得ることになります。それで、McCluskeyはアルバム作製の為に、スタジオを借りるよりも、自分達のスタジオを持つ方が良いと考え、Dindiskから前借りして、リバプールに、the Gramophone Suiteと名付けられた録音スタジオを建てます。そこで、OMDはデビューアルバムを作製しますが、ゲストとして、The IdのMalcolm Holmes (Drs)とDalek I Love YouのMartin Cooper (Sax)も加わっています。そこからシングルカットされた”Messages”と言う曲はGongのベーシストMike Howlettのプロデュースで録音し直しており、OMDの最初のヒットとなります。1980年になると、Dalek I Love YouのDave Hughesが加わり、MTVの作製に関わり、またツアー要員として、Holmes (Drs)とHughes (Synth)が加わります。そして、OMDは、本作品でもあるセカンドアルバム”Organisation” (この表題名は、Kraftwerkの前身バンドの名前から取られています)を、McCluskey, HumphreysとHolmesで録音され、Howlettがプロデュースしています。どうも、レーベルメイトだったJoy DivisionのIan Curtisを意識したとのことです。この後のツアーでは、Martin Cooper (Kbd)が加わり、初期のOMDの鉄壁のラインナップとなります。このセカンド・アルバムは、1980年〜1981年で、Record Mirror誌やNME誌、Sounds誌などから高い評価を受けています。と言うことで、まだまだあるのですが、書き切れないので、一旦ここまでとします。 それで、本作品なのですが、一番有名な曲”Enola Gay (エノラ・ゲイの悲劇)”が大ヒットし、これでOMDを知った方もいらっしゃると思います。これは広島に原爆を落とした爆撃機の名前なのですが、勿論「反戦」を訴えているだけでなく、音楽としても良く出来た曲だと思います。またアルバム全体には、ミニマルなシンセのメロディとかリフは健在なのですが、先述のようにややダークな雰囲気が覆っています。これは恐らくHowlettのプロデュースによるところでしよう。それとHolmesのドラムが入ったことで、リズムマシンとの相性も良く、音にダイナミズムを感じますね。結構、シングルカットされた曲以外にも名曲揃いで、聴き応え充分ですので、初期OMDのポップセンスを体験するには良いアルバムだと思います❗️是非❗️ https://youtu.be/PPXq8FdGR1I #OrchestralManouevresInTheDark #Organisation #VictorEntertaiment #VirginRecords #SynthPop #TechnoPop #Electronics #NewWave #Synthesizers #EnolaGay #AndyMcCluskey #PaulHumphreys #MalcolmHolmes #Winston #TheGramophoneSuite #MikeHowlett
Techno Pop / New Wave VICTOR ENTERTAINMENT (Virgin Records) 不明Dr K2
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Danielle Dax “Up Amongst The Golden Spires”
またまた、出ました❗️元Lemon Kittensのマルチ奏者で美人歌姫でもあるDanielle Daxの日本盤(“Pop-Eyes” や”Jesus Egg That Wept”のトラックを集めてコンパイルした日本向け特別盤)です。それにしても、彼女のファースト・ソロアルバム”Pop-Eyes”は凄かったですね。あっバイオグラフィーは以前に書きましたので、そちらを参考にしてください。先に書きましたが、このアルバムはファーストアルバムとセカンドアルバムのトラックを合わせて作られたセルフ・コンピです。しかしながら、どれがどちらのアルバムかは言われないと分からない程、馴染んでいますね。内容的には、中東趣味のメロディや複雑に絡み合うパーカッションや歌声、そのバックでいい具合に使われているRoland TR-808のリズム、更に音を削ぎ落としたかのようなアレンジも秀逸で、無駄な音が一切無いです。また、彼女の歌声は、Diamanda Galasとは違い、圧迫感よりも内省的ですが、同時にオープンマインドなものです。そして、何よりも彼女の音楽が持つ「説得力」です。多分、これはこうにしか歌えないと言うような「必然性」ですね。まあ、そんな訳で、”Pop-Eyes”や”Jesus Egg That Wept”は持ってなくても、これ一枚でも充分な魅力的ですので、少しでも興味を持った方は、聴いてみて下さい。因みに、殆どの曲は彼女が作詞・作曲して、彼女か一人で録音しています、才女ですねぇ。 “Bed Caves” https://youtu.be/k9tHUaQrtiw “Hammerheads” https://youtu.be/lp9MNZ-SdHc #DanielleDax #UpAmongstTheGoldenSpires #Vap #ForJapaneseListeners #Pop-Eyes #JesusEggThatWept #SelfCompilation #SoloAlbum #Ex-LemmonKittens #AvantPop #ExperimentalPop
Experimental Pop VAP 不明Dr K2
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Danielle Dax “The Chemical Wedding”
地下音楽界の才色兼備なアーティスト、Danielle Dax (元Lemon Kittens)の日本国内盤です。内容はセルフ・コンピとなっています。今回は邦題も中々イケてますね。彼女については前回も書きましたので、バイオグラフィーは省略します。 まあ、日本盤でセルフ・コンピなので、初めは散漫な感じかな?と思ってましたが、彼女の曲は彼女にしかできない為か、どの曲を取ってもDanielle節で、思った以上に統一感があり、ビックリしました。歌も曲もオリジナルだなぁと感心しています。彼女はマルチ奏者なので、基本的には彼女の「ソロ」なんですが、ヘルプで、Trevor Reidy (Dr), Karl Brake (G), Pete Farrugia (G), Ian Sturgess (G, B), Chad Strentz (Harmonica), David Knight (G, Perc, Kbd, Tape)が参加しています。Danielle自身はVo, G, Sax, Percと作曲を担当(一部はDavid Knightが作曲)。勿論、ジャケも彼女によるドローイングを元にしています。まあ錬金術のように彼女は、新しい音楽を作り出したのでしょう。それこそが、”The Chemical Wedding”ですね。メロディ・ラインが特徴的なので、すぐに分かりますね。ある意味、貴重な編集盤なので、Danielle初心者にもお勧めです。 A2 “Whistling For His Love” https://youtu.be/70DcsvgwMgw B1 “Cat-House” https://youtu.be/JWp86Mw1GUQ B2 “Up In Arms” https://youtu.be/CupSoWrcN4k #DanielleDax #TheChemicalWedding #VapInc. #ExperimentalPop #SelfCompilation #Certic #JapaneseEdition #Multi-Instrumentalist #TrevorReidy #KarlBrake #PeteFarrugia #IanSturgess #ChadStrentz #DavidKnight
Experimental Pop Vap Inv. 不明Dr K2
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V.A. edited by Morgan Fisher “Miniatures (A Sequence Of Fifty-One Tiny Masterpieces)"
このアルバム、当時は話題になったし、皆んな、興味深々だったのですよ。タイトル通り、ほぼほぼ1分前後の曲が51曲詰め込まれたコンピなのですよ!知ってました?これをやろうとしたのが、首謀者のMorgan Fisherです。英国人なのですが、何故か、日本に移り住んでいて、CMとか映画の音楽で知っている方もいると思います。Morgan Fisherについて書いておきます。と言うのもこのような企画もののアルバムを一曲づつ紹介するのも野暮だからです。Moganはオルガン奏者としてキャリアをスタートし、1966年からSoul Surviversに加入、このバンドはは1967年、Love Affairと改名し、1968年に”Everlasting Love”をヒットさせています。1972年 にTim Staffell らとプログレッシブ・ロック・バンドMorganを結成 しています。また、 Mott the Hoopleのサポート・メンバーとして活動していましたが、1974年に正式メンバーとなります。”"Rock and Roll Queen"が英国や日本でもヒットしています。1978年には、Londonにてスタジオ&レコード・レーベルのPipe Musicを設立し、1982年にはQueenの欧州ツアーにKbdのサポートで帯同しています。1985年に日本に拠点を移します。日本に来て最初の頃は、英語の先生やYAMAHAシンセサイザーの広告カタログのキャッチコピーのコピーライターなどをしながら、インディーズレーベルから2枚のアルバムを出しています。Hand-Made Studioを設立。映画やテレビ番組の音楽を作成するようになります。1996年には世界初のMott The Hoopleのトリビュート・アルバム”MOTH POET HOTEL”を計画しプロデュースを行っています。1997-1999年に、Heat Waveに正式メンバーとして加入し、”TOKYO CITY MAN”や”月に吠える”に参加しています。2003年11月からMorganは六本木Super Deluxeにて、”Morgan’s Organ”と言う、毎月1回づつ連続100回のソロ・インプロビゼーションのライブを敢行。全てライブ録音されており、デジタルで購入できるようにしています。2018年にIan Hunterらと共にMott The Hoopleを再結成し、スペインのAzkena Rock Festival、英国のフェスRamblin' Man Fairに出演しています。ザッとこんな感じなのですが、そんな彼が何故このアルバムを作ろうとしたかなんですが、英国フォーク・ミュージシャンPete Seegerの”The Goofing-Off Suite”と言う10㌅ミニアルバムを聴いたからとされています。このミニアルバムにはクラシックの名曲やポップソングを彼がブラッシュ・アップして、1曲1分位までの曲が殆どだったとのこと。それで、彼はこのミニアルバムから着想を得て、1980年に創造的アーティストを個人的に選び、招待状を送りつけています。そこには1曲1分以内の曲を作って欲しいと書かれていました。招待状に対する反応は良く、殆どのアーティストがOKと返事をくれて、彼のPipe Studioに録音しに訪れたり、来られないアーティストは自前で宅録したりして、素晴らしい51曲が集まりました。しかも各曲は4、5曲づつ纏めてあり、その間の時間は3秒となっています。ここで参加アーティストは敢えて書きませんが、面白い選曲になっています。全ての極を好きにならなくても、1曲位は好きな曲に出会えるとMorganは言っています。なので、皆さん、是非ともこれを聴いてお気に入りを見つけて下さいね! https://youtu.be/1Bj3_erK4cc #Miniatures-ASequenceOfFifty-OneTinyMasterpieces #VariousArtists #MorganFisher #OneMinutes #PeteSeeger #Compilation #ConceptAlbum
Alternative music / conceptual Japan Records (Pipe Records) 不明Dr K2
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The Work “Slow Crimes”
まだ、私が大学生だった頃、色んな音楽を聴いてましたが、その中で、実験音楽と言うか即興音楽なんかにも興味があった訳です。その延長上で、丁度、来日したThe Workにも興味がありました。当時はあのHenry CowのTim Hodgkinson率いると言った感じで、宣伝されてましたね。私はその来日公演を友達と観に行ったんです。その時は結構、カッコいいと思いました。そう言うこともあって、The Workのファースト・アルバムを復習として購入した訳です。それで、The Workのバイオグラフィーを少し。1980年に、マルチ奏者兼作曲家のTim Hodgkinsonが、G兼作曲家のBill Gilonisを誘い、 BのMick HobbsとDrのRick Wilsonと共に結成したのが、The Workです。しかし元々はTomがBillと一緒になってテープ・コラージュで色々実験をしていたのが、1979年で、その時、インディーズ系レーベルWoof Recordsを設立、同時にバンドも結成しました。それでMickとRickの協力も得て、The Workとなります。彼等は1981年にデビュー・シングル”I Hate America” (これも持っていますが、傑作です!)をWoof Recordsからリリース。欧州ツアーを開始します。このライブ録音からカセット・ライブ・アルバム”The Worst of Everywhere”も1983年にリリースしています。ちょっと前後するのですが、1982年に、The WorkはBonnで行われたRock In Opposition Festivalに出演し、ヴォーカリストの Catherine Jauniaux(カトリーヌ・ジョニオー)と共演し、そこから、彼女をゲストに迎えて、本作品”Slow Crimes”の作製に取り掛かり、1982年にWoofよりリリースします。ここではAvant-gardeの要素を加えたパンクとして考えていたみたいですが、これは後付けで、寧ろAvant-gardeにパンクの要素を加えたのではないでしょうか?兎に角、複雑なリズムが凄いです。The Workは同年、来日公演を予定していましたが、Rickがインドのケラーラ州で chenda寺院のドラミングを習得する為に脱退します。更に、音楽性の齟齬があり、Mickも脱退。これを持ち直したのは、元Henry Cowで一緒だったChris Cutler (Dr)とJim "Amos" Welton (B)です。この編成で来日しています。当時しは、Tim HodgkinsonとChris Culterの生演奏が観られることで、私は大喜びでした。大阪公演の際に演奏はカセットで録音され、後で”Live In Japan”としてリリースされています。この来日公演が終了すると、バンドも解散しました。1989年にThe Workはオリジナル・メンバーで再編し、アルバム”Rubber Cage”を録音しています。その後、2年に渡る欧州ツアーを敢行し、1992年、彼らは最後のアルバム”SEE”を作成し、進行中の欧州ツアーにおいて、ライブ演奏しています。1994年に独逸のFreiburg im Breisgauで録音されたライブ・アルバム”The 4th World”は、2010年にAd Hoc Recordsからリリースされています。その際、モノラル録音だったマスターをステレオになるように処理されています。これがThe Workの最後のアルバムになります。大体、こんな感じでThe Workの活動は終わりました。 それで内容ですが、引き攣るようなTimのヴォーカルと、複雑なリズム・パターンと展開、時に挿入されるサックスなどの管楽器、当時ならポストパンクの文脈でも語ることもできるでしょうが、やはりレコメン臭い(悪意はありません!念の為)旋律が強いです。この骨折するような曲はやはりレコメン系ですね、決してドライブしない展開とか。ただ、曲はどれも短めなので、そう言う意味では「パンク」っぽいかもしれませんね。それと先述の女性VoのCatherine Jauniauxのヴォーカリゼーシヨンも堪能できます。結構、カッコいい曲が多いので、おススメです!アヴァン・ロックにパンクのひと匙を振りかけたエネルギッシュな演奏を是非ともご賞味下さい。 https://youtu.be/YV_jsiqCKgI #TheWork #SlowCrimes #WoofRecords #RecommenedRecordsJapan #AvantRock #TimHodgkinson #BillGilonis #RickWilson #MickHobbs #LiveInJapan #RockInOpposition
Avant-Rock Recommend Records Japan 不明Dr K2
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Dome “Dome 2”
「ロックじゃなければ何でも良い」と発言したパンクバンドWireの2人(Bruce C. GilbertとGraham Lewis)が1980年に結成した実験的音楽を実践するユニットがDomeです。本作品はセカンドアルバムで、ギターやベース或いはシンセと言う楽器と音が出るもの(=非楽器)などを用いて、畳みかけるように作成したらしい。アンビエント風の曲から始まりますが、その硬質て繊細な音の感触が非常にカッコいい、クールなアルバムです。私は元々、Wireの大ファンだったので、日本盤で,近くのレコード店で購入。聴いた瞬間、ぶっ飛びましたね、モノクロのジャケもグーです。 A1 “The Red Tent I” A2 “The Red Tent II” A3 “Long Lost Life” A4 “Breathsteps” A5 “Reading Prof. B” B1 “Ritual View” B2 “Twist Up” B3 “Keep It” A3 “Long Lost Life” https://youtu.be/G5EDf3_hfYI [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLIMNk9tpcZ-QCECd0kmHBk2mFGC5U1ivt&si=_VS4uTTCeUt2owxr #Dome #Dome2 #Wire #BruceCGilbert #GrahamLewis #Experimental #Industrial #DomeRecords #RoughTrade #2ndAlbum #日本盤
Experimental / Industrial Dome Records / Rough Trade 2500円位Dr K2