アイテム解説の補助線「Streamline Dragster」
以前こんなミニカーを 紹介したことがあります。 Hotwheels MADFAST (2023 TH) https://muuseo.com/kaikai/items/436 kaikai この文中において "Streamline Dragster" に似ていると書いたのですが、 そもそもそれって何?というのを 自分用の備忘録も兼ねて ここに書いておきます。 前提としてDragsterとは 何なのかと言いますと、 ホットロッド文化の中で生まれた ドラッグレース、ゼロヨン 特化型のレースカーのことです。 MPC "MORE AMERICAN GRAFFITI" JOHN MILNER'S DRAGSTER https://muuseo.com/kaikai/items/618 kaikai 骨組みのような細い車体に V8エンジンを乗っけた 独特の形状が特徴。 現在はリアエンジンが主流ですが、 元々はフロントエンジンでした。 当初は ホットロッドのセオリーに倣い 取れるものは全て取り去るのが カスタムの鉄板だったのですが、 パワーソースや軽量化だけでなく 空力を活かそうとした開拓も 進められていました。 MPC COSMIC CHARGER https://muuseo.com/kaikai/items/194 kaikai こうして実現したのが フレームを流線型のカウルで覆い、 前や後ろのタイヤにカバーを付けた 独特なルックスのドラッグマシン、 Streamline Dragsterです。 車体が受ける空気の流れを ダウンフォースによる トラクションの増強であったり 直進安定性の強化に用いる というコンセプトをもっています。 JOHNNY LIGHTNING MAGMAs T'RANTULA https://muuseo.com/kaikai/items/271 kaikai ドラグスターの歴史において かなり早い段階から こうしたマシンは存在しましたが、 ちょうどエンジン位置が フロントからリアに変わる 1960年代の中期頃に このブームは最盛期を迎えます。 まだ私のコレクションには ありませんが、 1970年頃にドラッグレースの王者 Don Prudhommeや Tom McEwenらが駆った ウェッジ・ドラグスターは この系譜に連なるマシンであり、 ミニカー・プラモデルにもなった 非常に有名なマシンでもあります。 (https://www.motortrend.com/features/drag-racings-twilight-zone-streamline-dragsters/) ↑この記事の大部分を意訳して このLabログを書いてるので 気になったら見てみてください♨︎ このようにして栄えた ストリームラインですが、 現在のドラグスターを見れば 分かっていただけるように 今やウイング以外の空力装備は 殆ど見られなくなりました。 流麗な見た目とは裏腹に 過剰な空力装備は車重の増加や 気流の不安定化という 逆効果を招く羽目になり、 時代の徒花として消えていき 主流にはならなかったのです。 さて、 改めてMAD FASTを見てみますと。 軽量化の観点から言って まず無意味なバブルキャノピーや タイヤ前後のガード、 曲面中心のうねるような造形。 Streamline Dragsterの系譜 と言われれば そんな感じがしないでもない… あながち荒唐無稽な コテコテ謎車とも言いきれない 不思議な魅力がある気がします♨︎