アイテム解説の補助線「Streamline Dragster」
初版 2024/09/07 08:26
改訂 2024/10/13 09:12
以前こんなミニカーを
紹介したことがあります。

Hotwheels MADFAST (2023 TH)
https://muuseo.com/kaikai/items/436

この文中において
"Streamline Dragster"
に似ていると書いたのですが、
そもそもそれって何?というのを
自分用の備忘録も兼ねて
ここに書いておきます。
前提としてDragsterとは
何なのかと言いますと、
ホットロッド文化の中で生まれた
ドラッグレース、ゼロヨン
特化型のレースカーのことです。

MPC "MORE AMERICAN GRAFFITI" JOHN MILNER'S DRAGSTER
https://muuseo.com/kaikai/items/618

骨組みのような細い車体に
V8エンジンを乗っけた
独特の形状が特徴。
現在はリアエンジンが主流ですが、
元々はフロントエンジンでした。
当初は
ホットロッドのセオリーに倣い
取れるものは全て取り去るのが
カスタムの鉄板だったのですが、
パワーソースや軽量化だけでなく
空力を活かそうとした開拓も
進められていました。

MPC COSMIC CHARGER
https://muuseo.com/kaikai/items/194

こうして実現したのが
フレームを流線型のカウルで覆い、
前や後ろのタイヤにカバーを付けた
独特なルックスのドラッグマシン、
Streamline Dragsterです。
車体が受ける空気の流れを
ダウンフォースによる
トラクションの増強であったり
直進安定性の強化に用いる
というコンセプトをもっています。

JOHNNY LIGHTNING MAGMAs T'RANTULA
https://muuseo.com/kaikai/items/271

ドラグスターの歴史において
かなり早い段階から
こうしたマシンは存在しましたが、
ちょうどエンジン位置が
フロントからリアに変わる
1960年代の中期頃に
このブームは最盛期を迎えます。
まだ私のコレクションには
ありませんが、
1970年頃にドラッグレースの王者
Don Prudhommeや
Tom McEwenらが駆った
ウェッジ・ドラグスターは
この系譜に連なるマシンであり、
ミニカー・プラモデルにもなった
非常に有名なマシンでもあります。

(https://www.motortrend.com/features/drag-racings-twilight-zone-streamline-dragsters/)
↑この記事の大部分を意訳して
このLabログを書いてるので
気になったら見てみてください♨︎
このようにして栄えた
ストリームラインですが、
現在のドラグスターを見れば
分かっていただけるように
今やウイング以外の空力装備は
殆ど見られなくなりました。
流麗な見た目とは裏腹に
過剰な空力装備は車重の増加や
気流の不安定化という
逆効果を招く羽目になり、
時代の徒花として消えていき
主流にはならなかったのです。
さて、
改めてMAD FASTを見てみますと。

軽量化の観点から言って
まず無意味なバブルキャノピーや
タイヤ前後のガード、
曲面中心のうねるような造形。
Streamline Dragsterの系譜
と言われれば
そんな感じがしないでもない…
あながち荒唐無稽な
コテコテ謎車とも言いきれない
不思議な魅力がある気がします♨︎
