実は合わなかった

初版 2022/07/28 18:51

改訂 2022/07/28 18:51


すごく思い切ったわりに、報われなかったディアブロ。


この手のクルマは「ちょっと貸して」というわけにいかない。だから文献情報か、ネットか、実物を眺めるくらいしか判断材料がない。

人生最後はカウンタック、と以前は決めていたので、ランボルギーニにはどうしても乗ってみたかった。

しかし現金はなかった。



当時持っていたこの2台を出して、いろいろ売って、差額100万円までこぎつけた。

当時オートローンを二つ払っていて、3つ目を借りて購入。


素敵な御縁に恵まれて74カレラを手に入れて、初めて道路を走った時は鳥肌が立った。憧れのターボにナンバーがついた時は加速に笑いっぱなしだった。4歳の時にこれに乗ると決めて39歳で手に入れた308に乗った時は涙で前が見えなかった。

ところがディアブロときたら。


最初期モデルの宿命で絶壁メーターが立ちはだかって前が全然見えない。横も見えない。フェラーリと違ってドライバーのことなど全く考えていないから右斜め後ろなんかまったく見えない。唯一の良心?バックカメラはマフラーの熱で歪んでしまっている。クラッチはナーバスでレリーズシリンダーがやばそう。低速トルクが細い。タイヤが太いおかげで発進が厳しい。燃料計が信用できないし電圧計の値は低い。さすがにバルブが48本もあるおかげか回転抵抗が大きく感じる。シングルタイミングチェーンが切れるっていう伝説が脳裏をかすめる。0.5リットルしか入らないデフオイルが漏れてデフブロー100万円なんて話も。

首都高の料金所、車体の幅が前後で違いすぎてどこを基準に走ったらいいのかわからない。合流は右後ろが見えないおかげで息を止めて突っ込むしかない。大丈夫なのかこれ。


目黒のクルマ屋から引き取って千葉の倉庫へ帰るまで、手に汗握りっ放し。こんな苦行みたいなクルマを買ったのか。

事実、持っている間に体重が8キロ落ちた。


中学生の時に見た深夜番組「クルマはえらい」で、掛布さんだったか?がカウンタックに試乗して、これは違うと言っていたのを思い出した。トルクで走るクルマじゃない。V8フェラーリほど軽快でもない。930ターボと308にアメ車のトラックというのはもう非の打ち所がない理想の組み合わせだった。そういうことに気がつくのは、いつも手放してから。


個別のコメントに書いているが、240万円で買った930ターボも400万円で買ったフェラーリ308もいまでは1500万円のクラスに落ち着いている。1000万円で買ったディアブロだけが、いまだにたいして上がっていない。そのディアブロももう手元にはない。


人生とは失ってみてあたりまえの有難さに気がつくものだ。

だから乗り倒しましょう。

#思い出

#欲しい

100台以上クルマ買ってきて手元に写真とミニカーしか残っていません。いずれ実物の博物館を作りたいのでまずは画面越しに作りました。概ね1960年頃から1990年代中盤くらいのクルマが好みです。

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