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All-Time Guitar Hits / The Exotic Guitars
今回は王道に戻って、ギター・インスト定番曲にチャレンジであります。A面トップのメンフィスにストリングスがかぶさるところは、さすがと思わせますが、あとは「らしさ」のない、きわめて端正な演奏が続きます。アパッチのギターはきれいだし、4曲目「Wildwood Flower」をなんで、わざわざD♭などという弾きにくい調子でやっているのかなあと思ったら、途中で半音あげて、D、さらにGへ移調するという、さりげない凝り方をしていたりして、なかなか楽しめるのではありますが、もうちょっとムード・ミュージック寄りの方がEG’sの売りじゃないのかなどと、贅沢なことを考えています。 しかし、B面へ移って、特に2曲目「Classical Gas」から「Sleep Walk」あたりのギターの音の美しさ、特に「Exotic Guitar Boogie」でのリフの見事さには脱帽。ラストのジェームズ・ボンドのテーマは、オリジナルのビリー親分の演奏では、ラストでハルと絡むおもしろい部分最後の楽しみなのですが、ここではもちろんそんなものはありません。しかし、さすが、エース級ギタリスト、アル・ケイシーと思わせる丁寧で美しい演奏だと思います。EG’sの全作品の中でこのアルバムがギターの演奏として(アレンジとか、バッキングとかを抜いてと言う意味です)は、一番良い出来ではないだろうか、と思います。 なんにしても、有名曲ばかりなので、あのバンドの演奏、この人のプレイなどと、手持ちのインストアルバムと比べてみると、楽しさ倍増すること請け合い。 Side A 01 Memphis 02 Maria Elena 03 Apache 04 Wildwood Flower 05 Rebel Rouser 06 The Enchanted Sea Side B 01 Raunchy 02 Classical Gas 03 Exotic Guitar Boogie 04 Sleep Walk 05 Walk-Don't Run 06 The James Bond Theme 1971 / Ranwood Records (R 8090)
Al Casey Easy Listening Ranwood Records 1971年addmoremusic
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I Can't Stop Loving You / The Exotic Guitars
EG’sのアルバムで最初に手に入れた盤です。はじめて目にしたグループ名でしたが、裏面を観ると、ギターがアル・ケイシー、アレンジャーがビル・ジャスティスだったので迷いなく購入しました。聴いてみると、セミアコと思われるギターに深めのエコーをかけたサウンドが印象的で、”My Sweet Load”をさほど多くない楽器でオリジナルに遜色なくカバーをしていたり、何よりもドラムが明らかにハル・ブレイン、ベースがキャロル・ケイだと聞き取れて、「大成功!」と歓声を上げた記憶があります。 取り上げている曲は世に親しまれたヒット曲ばかりで、「話題作」と呼ぶにはほど遠いアルバムですが、中身のある良いサウンドに仕上がっています。こういうものが埋もれてしまっていることに「もったいなさ」を感じる私です。 Side A 01 I Can’t Stop Loving you 02 El Condor Pasa 03 Candida 04 September Song 05 My Sweet Load Side B 01 Who’s Sorry Now 02 Till Love Touches Your Life 03 Theme From “Love Story” 04 Honey 05 Hava Nagila 1970 / Ranwood Records (R 8085)
Al Casey Easy Listening Ranwood Records 1970年addmoremusic
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Exotic Country Music / The Exotic Guitars
1970年に出された6枚目のアルバムはいつもの3本のギター・ジャケットではなく、ブレーメンの音楽隊みたいなイラストをあしらっております。EG'sがカントリーをやるとどうなるかという1枚。実は手に入れる前、一番期待していたのがこれ。何となくミスマッチそうでいて、納得できそうで、おもしろいコンセプトだと思いません?果たしてその出来上がりは… と、気を持たせるほどのことはないのですが、確かにEG’sがカントリーをやっております。A面はノスタルジックなコーラスつきで(私、こういうコーラスを聴くと、故レイ・チャールズを思い出してしまいます)、結構オーソドックスにやっています。テネシー・ワルツはいつ聴いても泣けるなあ。ま、そんなことはどうでも良いのですが、これがB面にはいると、けっこうおもしろい仕掛けというか、アレンジがほどこされています。 しかし、奇をてらっているのではなく、EG'sのコンセプトを踏襲して、かなり心安らぐ1枚となっていることは確か。ギターの音もそうですが、キャロルさんのベースが良いです。中でも気に入ったのが、B面トップの「San Antonio Rose」の4ビート風なベースラインや、同じくB面3曲目「Down Yonder」のモータウンでやっていたようなベース。彼女のプレイが好きな人間にはたまりませんわ(^。^)しかし、この「Down Yonder」でのエレキ・シタールはアル・ケイシーなのでしょうか。サイド・ギターか何かで呼ばれていたマイク・デイシーが弾いているような気もします。アルバム中のベストと私が勝手に決めたのは、ラスト「Red River Valley」。「この谷間を去りゆくー」と、おなじみのイントロではじめておいて、ボサノバですわ。誰が弾いているのかエレピの音もおしゃれ。そして、キャロル・ベース!この至福であります。 Side A 01 Funny(How Time Slips Away) 02 Orange Blossom Special 03 Tennessee Waltz 04 Wheels 05 He'll Have To Go Side B 01 San Antonio Rose 02 Ramblin' Rose 03 Down Yonder 04 Peace In The Valley 05 Red River Valley 1970 / Ranwood Records (R 8080)
Easy Listening Ranwood Records 1970年代addmoremusic
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Holy Holy / The Exotic Guitars
前作があまりに古くさい「ムード音楽」っぽくて、取り上げている曲は粋な物の、やや不満だったのですが。このアルバムでは再びギーター・インストによるイージー・リスニングに戻っております。だからといって音楽性がどうのとか言うことはないのです。ただ、聴いていると心地よく、眠気を誘ってくれる音楽です。車の運転には向きません。そういうある意味、王道の音楽です。 Side A 01 Holly Holy 02 Unchained Melody 03 Song From Moulin Rouge 04 High Noon (Do Not Forsake Me) 05 Harbor Lights Side B 01 Somewhere My Love 02 Blue Tango 03 Smoke Gets In Your Eyes 04 Grazing In The Grass 05 To Each His Own 1970 / Ranwood Records (R 8073)
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Everybody's Talkin' / The Exotic Guitars
1970年発売のシリーズ4枚目。動乱の世の中、革命だ!造反有理だ!と若者が騒いでいた時代。音楽ではニュー・ロックだ、アート・ロックだ、と新しいもの、革新的なものが求められていた時代に、こんなものがまさに「粛々」と出されていただなんて、なんだか不思議な気がしてきます。 サウンド的にはいままでの中で一番「ムード音楽」っぽい気がします。しかし、逆に取り上げている曲は、「リアルタイム」に限りなく近い曲です。「ロミオとジュリエット」も、いまでは懐メロ扱いですが、日本公開は確か私が高2の時(69年)のはず。うちのバンドのリードギターがオリビア嬢にはまっていた記憶があります。彼女が布施明と結婚したときは驚きましたなぁ。閑話休題。映画と言えばもちろんタイトルにもなっている「真夜中のカウボーイ」から2曲。そっれぞれA面とB面のトップにおさまっています。オリバーがヒットさせた「ジーン」。彼はデビュー曲の「Good Morning Star Shine」とこの曲で、全米トップ5にヒットを続けたのですが、その後全く噂を聞きません。その後、レコハンを続けているとアルバムを数枚見つけました。また、いつかここに飾るかもしれません。 3曲目「笑ってローズ・マリーちゃん」、11曲目「シュガー・シュガー」はいまでも人気のあるバブルガム系ですね。しかし、前者をレッキング・クルーが取り上げていたというのはちょっと新鮮。9曲目は原題をみてもぴんと来ないかもしれませんが「口笛天国」のタイトルで日本でもかなり売れました。口笛がリード楽器を担当していたという不思議な曲でした。演奏(?)していたのは口笛ジャックだったっけ。何だったんだそいつ。最後の「リリース・ミー」もいまでは懐メロ感いっぱいですが、フンパーティングの歌でこの頃かなりヒットしたはず。 というわけで、かなりリアルタイムをとらえた選曲なのですが、最初にも書いたようにアレンジがオーソドックスすぎるというか、なんだか古くさい感じがしてしまいます。キャロルさんのプレイも、「らしい」ところが少ないです。かろうじて「引き潮」にEGsらしさが聴ける程度と言ったら言い過ぎでしょうか。「どうした、エキゾティック・ギターズ!」「頑張れエキゾティック・ギターズ」と、意味のない声援を送ったところで今回はおしまい。 Side A 01 Everybody's Talkin' 02 Romeo And Juliet 03 Smile A Little Smile For Me 04 Ebb Tide 05 Jean 06 To Rome With Love Side B 07 Midnight Cowboy 08 Peg O' My Heart 09 I Was Kaiser Bill's Batman 10 Now Is The Hour 11 Sugar, Sugar 12 Release Me 1970 / Ranwood Records (R 8061)
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Indian Love Call / The Exotic Guitars
今ひとつ、キャロル・ケイという人のベースがよくわからないという方に申し上げます。1曲目のプレイが典型的キャロル・ケイです。音の一つ一つ、リズムのキレ具合の一つ一つに、彼女の刻印が記されています。これを聞いてから、スプリームズ&テンプスの「君に愛されたい(I'm Gonna Make You Love Me)」なんかを聴いていただくと、「あー、同じだぁ!」と納得していただけると思います。アニマルズの"Sky Pilot"とかジョー・コッカーの"Feelin' All Right"とか(以下略w。 で、私、エキゾティック・ギターズのアルバムの中で、これが一番好きかもしれません。まず、元の曲が好き。私がガキの頃に心をときめかせた曲がいっぱい並んでします。「ラ・パロマ」、「真珠貝の歌」、「ブルーレディに紅いバラ」、「小さな花」、「ムーン・リバー」…。マジで、懐メロ一直線。真珠と言えば、あと、タンゴなんかも聴いたなぁ。家がカバン屋の親友の倉庫にプレーヤー持ち込んで‥。 エキゾティック・ギターズの演奏が私の心を刺激するのは、ロック小僧だった私の、それとは別な何というか、今音楽を聴き続けているベーシックな部分をチクチクとつついてくるからなのかもしれません。 さらに、このアルバムには、「リパブリック賛歌」みたいな、オイオイ(^^ゞとなるような曲も取り上げられたり、「剣の舞」で聴かせるさりげなさそうでいて、実はかなりすごいプレイなどが聴けます。相変わらずギターの音がいいですねぇ。忘れているかもしれないのでもう1回書いておきます、ギターはLAのトップ・セッション・ギタリストの一人アル・ケイシーです。 Side A 01 Indian Love Call 02 La Paloma 03 Battle Hymn Of The Republic 04 Pearly Shells 05 Red Roses For A Blue Lady 06 Sabre Dance (From Balet Gayne) Side B 07 Viya Con Dios 08 Galveston 09 The Green Door 10 Petite Fleur 11 Trying 12 Moon River 1969 / Ranwood Records (R 8051)
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Those Were The Days / The Exotic Guitars
The EG'sの2枚目は、「Those Were The Days(悲しき天使)」。この盤の聴き所はベースにキャロルさんと推定されるプレイが多いことです。1曲目、少し聞こえにくいかもしれませんが、このフェンダーベースのサウンドは…。で、期待が生まれます。「南太平洋」みたいなアレンジがほどこされた「The Sound Of Music」で、少し肩すかしをされますが、3曲目で期待は確信に変わります。肩すかしと言いましたが、これはキャロルさん探しという意味だけで、演奏はなごみの極地。このギターは12絃でしょうか?よくわかりません。しかし、見事なラウンジ音楽になっています。で、2曲目がなごみなら、3曲目は「クール」です。ドラムスはハル・ブレイン、ベース、キャロル・ケイで確定だと思います。 私としてはA-3曲目やA-6曲目のクールでしかも哀愁味のあるサウンドが好みですが、A-2、B-1のほどよい甘さも捨てがたく、日本人にも耳なじみのある曲が多いので、リアルタイムで日本でも出していれば結構売れたのではないかと思うのですが、どうでしょう。何にせよ演奏のレベルはとても高いことは保証できます。 Side A 01 Those Were The Days 02 The Sound Of Music 03 A Taste Of Honey 04 I Walk Alone 05 Love Is Blue 06 Autumn Leaves Side B 07 Twilight Time 08 A Man And A Woman 09 Only You 10 Music To Watch Girls By 11 Blue Velvet 12 The Bells That Ring For No One 1968 / Ranwood Records (R 8040)
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The First Album / The Exotic Guitars
68年から、最後のアルバムが出る77年まで、合計10枚のアルバムを残しているエキゾチック・ギターズ(今後はEG'sと呼ばせていただきます。Booket T. & The MG'sのまねですw)の1枚目です。アルバム名は特につけられていないのですが、1枚目と言うことで勝手にこう呼ばせていただきます。全く無名のグループですが、繰り返し、同じレーベルから出されているということは、「そこそこ売れた」と言うことを表しているとは思います。内容はいわゆる「エレキ」とは趣が異なっており、完全なイージー・リスニングというかエレベーター・ミュージックというか、もっと言ってしまえば、「ムード音楽」と呼びたくなるような音楽です。しかし、北欧系インスト顔負けの「哀愁のエレキ」的なサウンドを持っているので聞いていて大変心地よいものがあります。1曲目にかかった少し深めのエコーにゾクゾクする私です。哀愁のテケテケも入って、言うことなし!終わり方は「二人の銀座」と同じじゃないですか。全アルバムを通してアレンジを担当したビル・ジャスティスの技ありと言ったところか。 奏者のクレジットは、リード・ギターのアル・ケイシーだけが入り続けるのですが、すべて通して聴いた結論を先に申し上げると、ドラムはずっとハル・ブレイン。ベースはほとんどがキャロル・ケイ。サイド・ギターにトミー・テデスコほか数名。バイブはジュリアス・ウェクターか? 私は、このサウンド相当気に入り、オール・タイム・BGMとして採用しています。 どうでも良いことですが、B−1「セ・シ・ボン」が流れると、「セ・シ・ボン。洋酒喫茶セシボン」と歌ってしまいます。悲しき関西系じじい。60年代深夜ラジオCMの定番でした。うーん、懐かしい。そしてその懐かしさを増幅させる太くて、美しい響きのエレキ・ギター。あなたも、ぜひどうぞ。 Side A 01 I Will Wait For You 02 Spanish Eyes 03 My Happiness 04 Heartaches 05 Wonderful By Night 06 Yellow Bird Side B 01 C'est Si Bon 02 Blueberry Hill 03 Alley Cat 04 Strangers On The Shore 05 Melody Of Love 1968 / Ranwood Records RLP-8002
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