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Tamiya 1/24 プラモデル トヨタ 86
2022年8月、製作。
時は2012年、10歳の少年はあるスポーツカーに強く惹かれていた。日本のスポーツカーとしては久々の登場となる量産スポーツカー、トヨタ86である。彼は「ハチロク」という名前自体は知っていた。アニメ「頭文字D」で大活躍している主人公の愛車、AE86の愛称である。あのスポーツカーの現代版が出たんだ。そしてそれはなんてカッコいいんだ。一目惚れした。そして、早くあの車のミニカーが欲しいと思った。舐めるように呼んでいた冊子、「トヨタ86のすべて(モーターファン別冊)」の後ろの方のページには、発売予定のグッズの中にトミカの試作品の写真があった。やった。もうすぐ出る。やがて発売されたハチロクのトミカは、赤と銀の2色だった。嬉しかったが、本当はオレンジが1番欲しかった。だって、86といえばオレンジじゃないか。あのちょっと大人っぽいけどキラっとした色合いのオレンジだからこそ、86はカッコいいんじゃないか、と思ったいたはず。
翌年、タミヤからプラモデルの86が発売された。少年は父親にキットを買ってもらった。少年は、リアルな86を作るという「大人な世界」に興奮し、嬉々として制作を始めたが、当時まだプラモデルは全く作り慣れておらず(小学2年生からプラモデルを作るようになったにも関わらず)、そして初めてのエンジン付きの本格的なプラモデルで、全くうまく作れなかった。気が付けば途中で制作を放棄していた。
「オレンジの86の、そしてなるべくリアルなミニカーが欲しい」
少年は、こんな思いを、心のどこかで抱き続けていたのではないか。残念ながら、少年のうちに叶うことは無かった。
今、手元にあるオレンジ色の86のプラモデルを、タイムスリップして当時の少年に送りたい。叶えたくても叶わない夢である。