辰砂&白雲石(Cinnabar on Dolomite)

0

中国貴州省碧江区銅仁鉱山の辰砂&白雲石。
最もお気に入りの鉱物標本です。

リッチな練乳かき氷の様なドロマイトに、短い六角柱形の辰砂が散りばめられています。
辰砂は脈状や粒状のものがほとんどの中で、この産地のものは綺麗な結晶が付きやすいです。
六角柱の形をしているものもたまに見かけます。

辰砂の結晶の中には黒ずんでしまっているものや透明度の低いものも多いですが、こちらは透明度も赤さもしっかりしています。
真っ赤に透ける結晶でありながら、金属光沢も顕著で表面がテカテカと輝きます。

真紅の美しい見た目からは想像できませんが、水銀の鉱物です。
実際の水銀より弱いながらも毒があります。
昔は顔料や不死の妙薬として使われたそうですが、水銀の毒性を考えると非常に恐ろしいことです。
かの始皇帝も不老不死を目指して水銀を摂取し続けた結果、水銀中毒で亡くなったといいますが、これがもしかしたら辰砂だったのではと思っています。
……始皇帝の王墓に流れているのは純粋な水銀の川だそうなので違うかもしれませんが。

母岩となる白雲石は削った氷のような形の結晶が多く付いており、なかなか良い標本です。
中国産辰砂はこの白雲石が母岩になることが多いです。

こちらは少々黄味がかっていて雪のように真っ白とはいきませんが、十分綺麗だと思います。
この標本のメインは辰砂になるわけですが、全体的な美しさとして、真っ赤な辰砂を際立たせる白いドロマイトは必要不可欠です。

Default