③初の「自採水晶」

初版 2024/04/14 22:13

改訂 2024/04/14 22:13

2017年8月5日。記念すべき日となった。

5月のGW明けから石好きがますます加熱、6月14日から、それまで購入していたブレスレットを自作するようになっていた。

今考えると何とも下手である。

パルコの石屋でもビーズを購入し、あれこれ作っていた。このオレンジ色の石は琥珀、通常の琥珀から虫入りだけを長時間、店員さんと共に探して3つ見つけたものだ。まだ現役。

当然、ブレスレットと並行して、国産水晶の収集も考えていた。7月、スマホであれこれネット情報を探していると、見つけた。「増富で水晶を拾える」

みずがき湖ビジターセンターに即電話し、どこで採れるか聞いた後、地図をもらえることとなった。

その後、両親と折り合いをつけ、大学4年の夏休みは、山梨県北杜市増富に行くこととなった。増富温泉はラジウム温泉で、低温ながら放射線によるホルミシス効果により、ジワジワと暖かくなる温泉。真夏の保養にピッタリだった。

8月4日から二泊三日の行程で、いざ増富へ。初日はみずがき湖ビジターセンターに赴き、地図を入手。ついでに拾われた水晶も見せてもらったが、大きいものは握り拳ほどのサイズ。「増富すげぇ」と驚いたが、今考えると上流の八幡山ズリから流された水晶なのだと思う。

夕方に現地到着、宿「金泉閣」に荷物を置いた後、散策程度で見て回るも、石英は確かに見つかったが…という印象。遅いので、ゆっくり温泉に浸かって休むことにした。

翌日が本番。

場所は、増富温泉郷横を流れる本谷川。温泉街から上流に向かって川原を歩き、その中の岩から丸まった水晶を探す。付近は花崗岩だらけで、岩の隙間を見れば確かに水晶らしきものは見つかる。

2時間ほどで温泉街付近から見切りを付け、少し進んだカーブミラー辺りから川原に降りていく。

途中途中では、隙間にそれらしきものは見つかるが、同業者がほじくったり、頭が飛んでいるのでそのままスルー。

柱面がはっきり分かるが頭はない。
通称「水晶の釜」だが、ガマではない。

せせらぎと言うには勢いの強い本谷川。付近には丸まった石英ならたくさんある。温泉街から離れただけあって、探訪者も少ないのか、あまり人が見た痕跡はない。

3時間ほど探した辺り、父親が声を殺して「(あった、あったよ!!)」と見せてきた。

興奮でブレる画像
ここに落ちていたそうだ。

完璧としか言いようのない、褐鉄鉱にめり込んだ水晶だった。

その後、自らも必死になって水晶を探した。4時間経過し、もう宿に戻る予定を30分過ぎたあたり、流れが穏やかな川原に膝をつきながら探していると…あった。ファントム水晶。必死過ぎて、そして衝撃が大きく嬉しすぎたのか、採取時の写真がないのが悔しい。

10分後、立て続けに小粒ファントムを発見する。

4時間ちょいの成果はこちら。正直、八幡山の産なのか増富産なのかは不明。本谷川で採取したことは確実。

サンプルの花崗岩含め小さいのが多め。
父は大きい2つを手に入れていた。

この日の夕食の美味しさといったら格別だった。鰻が出たのだが、川のせせらぎを聞きながら、ふわふわの蒲焼きを食べた、あの時が忘れられない(写真は忘れている)。

かくして、初の水晶採取は、川削りながらも立派な「水晶」と言えるものを手に入れることができたのだった。

翌日の帰り、こちらに寄って石を購入。そこでとんでもない物を見つけるのだった。

山梨県北杜市須玉町増富 増富鉱山 タビー水晶

https://muuseo.com/Matsu_Crystal/items/174

水晶好きな松ちゃん

そう、昨日訪れたまさかの「増富」の水晶。3000円で売られていたのを見て、即買いしたのだった。

自分の行った場所、記念の場所、そこで採られた美しい水晶。

2024年の今でも、増富の水晶としてこれを超えるものを手に入れられていない。

国産水晶を5月、8月と立て続けに購入し、さらに自採も達成。ここからいよいよ、水晶収集に歯止めが効かなくなって来るようになる、そう思っていた。

しかし、当時は大学4年。就職の二文字が常に頭をよぎっていた時期で、8月の水晶採取中、他の大学生は皆就活に忙しかった。

面接初日、横浜の青空

ここから翌年まで、水晶欲をぐっと抑え、来年度に備えることとした。この時はまだ、歯止めが効いていた。それだけ就職の不安が大きかったのだろう。

以降、しばらくは休みの日にブレスレットを制作することで、欲を満たす日々が続くのだった。

「都内某所の松ちゃん鉱山」鉱山主の松ちゃんと申します。

日本各地で採取された水晶の魅力に取り憑かれ、その美しさと希少さを広めるため、日夜現金採取をしております。大量の標本があることから、「鉱山」と標記しております。

館長のきまぐれで撮影、展示となります。

現在、四国島の香川県産水晶、産地が明確に分かる徳島県の水晶を探しております。(2022.10.30)情報をお持ちの方、連絡をお待ちしております。

ご質問や展示依頼は、当館のメッセージ、またはTwitterのDMにて随時受け付けております。

https://twitter.com/Matchan_Mine

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