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Esmeraldina roweii
Holmiidae(科)は、初期のオルネルスの仲間ではマイナーな部類ですが、良く知られる種の中では、モロッコの大型種Cambropallas telestoと同じ分類となります。本種とCambropallasが同じとは言われてもピンとこないかもしれませんが、共通の特徴に背の棘があります。(Cambropallasは後半だけですが)頭部の太い頬棘以外に短く鋭い3つの棘が後方にあります。頭部は細かい粒々に覆われているのが分かります。胸部と尾部は非常に柔らかな構造である事が推察でき、中央部の縦に伸びる棘も柔らかめに見えます。この様な体の構造により、胸部の化石化がし難い産状の種類です。
Lower Cambrian Holmiidae,Olenelloidea,Olenellina,Redlichiida TRI-269 CampitoTrilobites
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Anataphrus vigilans
見た目が可愛い種類は、見ていて愛おしくなってきますが、このAnataphrusという種類はカエルの様なキャラクターで、三葉虫界の癒し系代表です。オクラホマ州のHomotelus bromidensis(Esker,1964)に近縁ですが、Homotelusと比較すると体の大きさの割に眼の張り出しが大きく、モノコック形状の体にチョコンと飛び出しているのが分かります。川崎市の歯科で国内著名コレクター氏の HPにある個体と、赤字の通し番号が近く同一時期に採取されたものと分かりますが、入手できたのは2000年代前半だけだった様で、既に絶産したのでしょう、もう入手する機会が無くなっている種類です。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-357 MaquoketaTrilobites
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Ditomopyge zhirnovskiensis
世界的に貴重な石炭紀の三葉虫産地の中で、私が知る限り最も保存状態が良いと思うのが、ロシア、ヴォルゴグラード州の産地です。白磁の様な白い母岩に白い殻の三葉虫がは美しく、もはや美術品のようです。石炭紀の種類に興味が無いコレクターでも一目置ける存在かと思います。大型で立体的で細部の保存が良く、体表の細かな突起まで残っております。しかし供給量が極めて少なく、入手がとても難しい産地の一つとして知られます。この標本は途中から折れていますが、石炭紀の種類としては珍しく尾部まで達する長い頬棘をまとう優雅な姿をしています。学名は、以前から混沌としていて、Pseudophillipsia(Carniphillipsia) rakoveci=Paladin transilis(WEBER,1933)が混同していますが、同一種と認識しており、近年Ditomopyge zhirnovskiensis(Mychko, 2017) に再編された模様です。
Upper Carboniferous(Pennsylvanian) Phillipsiidae,Proetoidea,Proetida TRI-191 -Trilobites
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Pseudophillipsia artiensis
世界的に激減するペルム紀の三葉虫において、日本以外で最も保存が良く大型の個体が産出するのが、ロシアのウラル山脈からの種類です。Pseudophillipsia artiensisという名称以外にDitomopyge artinskiensisという名称でも見かけますが、同一種類と見ております。市場に出回る本種は、遊離頬が外れた標本が出回る大部分を占めております。この標本は、遊離頬は外れてしまっていますが、同個体のものと分かる遊離頬が両方とも近辺に残っています。ペルム紀の三葉虫としては貴重な複眼がはっきりと確認できます。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea, Proetida TRI-551 ArtiTrilobites