-
Dolerolenus zoppii
イタリアの三葉虫などコレクターでも知名度が低いですが、コレクターのバイブルといえる「The Back to the Past Museum Guide to Trilobites/TRILOBITI - Guida essenziale al riconoscimento e classificazione」では、複数ページを割いて載っているのは思い出せると思います。地中海に浮かぶサルデーニャ島、その南西部に古いカンブリア紀の地層があり、本種が代表種として産出します。数少ない同種の標本を参照すると平坦で派手さは無いですが、大き目のフリル状の胸部などの特徴はあります。
Lower Cambrian (Stage 3, Series 2) Dolerolenidae,Redlichioidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-754 Nebida(Punta Manna Member)Trilobites
-
Misszhouia longicaudata
ユネスコ世界自然遺産(澄江の化石産地/2012年登録)から産出した驚異的な保存状態のNaraoiaです。これだけ見ると、ウミウシみたいで三葉虫には見えませんが、良く見ると軟体部だけの化石と分かります。鰓肢と歩肢の構造が良く分かり、現生の甲殻類と同じように絶え間なく動かしていた様子が目に浮かびます。背中の外殻で分離したのでなく、殻の内側の軟体部で分離すると、この様な産状になるそうですが、この様な保存状態は、澄江であっても多くはありません。 (中国名:長尾納羅虫)
Middle Cambrian Naraoiidae,Nektaspida TRI-214-2 HeilinpuTrilobites
-
Agraulos ceticephalus
棘も眼も無い地味な種類です。カンブリア紀チェコ産では、本種の様な地味な幾種か見られます。現在は枯渇していますが、昔はそれなりに産出する種類でありました。見た目で区別が難しいチェコのカンブリア紀地味種ですが、一つの見分け方に母岩や三葉虫本体の色が目安にできます。本種は、鮮やかなオレンジ色の本体なので、区別しやすいです。綺麗なオレンジ色は、生存時からこの色ではなく鉱物置換の影響でしかありません。
Middle Cambrian Agraulidae,Ellipsocephaloidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-342 JinceTrilobites
-
Griffithides praepermicus
2012年後半に始めて市場に登場したのが、中央アジア、カザフスタンからの石炭紀の三葉虫です。世界中本気で探せばまだまだ産地はあるのでしょうが、新産地の標本が突如として現れるのが収集の面白い所であります。まだこの種類や産地については、全く状況が分からない為、Ditomopyge kumpani(WEBER,1933)といった名称で出回っていたりと正確な情報はつかめない状況ですが、三葉虫衰退期の石炭紀にて完全体が見つかる産地は貴重です。この種類は、複数で見つかる事が多く、更に母岩にはコケムシ類など他の生物がぎっしり埋まっていて眺めていて面白い標本です。
Carboniferous Phillipsiidae,Proetoidea,Proetida TRI-434 UlutauTrilobites
-
Eocryphops sp.
Jorfの奇妙な三葉虫の中でもトップクラスに奇妙な種類です。体はStruveaspisそのものですが、小さなサイズしか見かけず、何と言っても複眼が片方に3つしかありません。ファコプスといえば複眼が代名詞ですが、そんな概念を覆す種類で、登場した際は目を疑いました。この複眼は、個体により2つ、4つと数が違う標本は目にした事がありますので、なぜ数が異なるかも謎であります。これだけ数が少ないと複眼というよりは単眼に近い感覚で、視覚機能としては貧弱であったと思われます。同じ母岩に大きなStruveaspisや普通のPhacopsと、小さな本種が同居している標本も目にした事があります。今のところEocryphops sp.という名称も仮称であると考えます。
Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-448 -Trilobites