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Japonoscutellum japonicum
「日本のスクテラム」と名付けられたスクテラムの頭鞍の標本です。見慣れていないと、これが三葉虫の一部であると気が付かないような標本です。スクテラムの仲間はモロッコ産で多産するイメージがありますが、モロッコに於いても相対数は少なく、それは国産に於いても同様の貴重度であります。更に珍しい所として、スクテラムは後世のデボン紀に繁栄しましたが、シルル紀におけるスクテラムの仲間は、産出例が横倉山以外では世界的に見ても少なく、初期のスクテラムの仲間の姿として注目すべき存在に思います。
Upper Silurian Styginidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-593-2 Yokokurayama(G3)Trilobites
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Japonoscutellum japonicum
国内における最古の地層の一つとして、シルル紀研究の記念碑的存在の横倉山。昭和40年代までは土佐桜と呼ばれる建築材の産地として知られていました。化石についても1970年代〜80年代にかけ採掘が進みましたが、現在では採取が出来ない状態とのことです。三葉虫も30種以上の報告がありますが、完全体ではなく、部分化石として見つかるのが一般的であります。「日本のスクテラム」と名付けられたスクテラムの尾部の標本ですが、今となっては貴重な標本となりました。
Upper Silurian Styginidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-593 Yokokurayama(G3)Trilobites
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Proetus sp.
国内のシルル紀を代表する産地、横倉山で産出したProetusの仲間は、P.subovalis、P.subcarinatus、P.sugiharensis、P.magnicerviculus、Decoroproetus granulatusが知られていますが、本標本の小種名は同定されていません。ペルム紀まで長きに渡り生き残ったProetusの仲間ですが、シルル紀はまだ出現初期の段階であり、地味な存在で優勢的な立場でもありませんでした。この標本は尾部のみですが一目でProetusであることが分かり、既に確立した姿をしていたことが分かります。 嘗て良質な建材として持て囃された、土佐桜の薄い桃色をした石灰岩の特徴が良く表れた標本です。
Upper Silurian Proetoidea, Proetida TRI-594 Yokokurayama(G3)Trilobites
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Sphaerexochus hiratai
高知県にある横倉山は、かつて国内では数少ないシルル紀の化石産地として知られました。ここから産出する三葉虫は国内採取者の憧れの存在であったと聞きます。今は採取できないため、この産地の古い標本は入手が難しい状況です。Sphaerexochusという種類は、シルル紀からオルドビス紀にかけて生息したファコプスの仲間ですが、どちらの時代でも世界的にも産出量が少ないと言えます。特にシルル紀のSphaerexochusは、世界各地で産出はするものの完全体は図鑑の中の存在でしかありません。本標本は、最大の特徴である丸く膨らんだ頭鞍だけの部分化石ですが、愛嬌のある顔を想像することができる標本です。
Upper Silurian Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-633 Yokokurayama(G3)Trilobites