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第36回東京国際ミネラルフェア 公式ガイドブック
新型コロナの制限が明け、海外ディーラーが戻ってきました。特別展は「モルダバイト」、特集記事では美しい標本が見られます。毎回連載されている福田 芳生氏による記事が「三葉虫の解剖と古生態」となっていて三葉虫の解剖学的見地での特集となっています。福田氏は、著書「古生態図集・海の無脊椎動物(1996)」でも三葉虫に多くの紙面を割いて記事を書かれています。今回の記事は、決して目新しい学説による内容では無いのですが、三葉虫の生態にスポットを当てて一般に分かりやすく解説されています。
Tokyo International Mineral Association(東京国際ミネラル協会) 第36回東京国際ミネラルフェア 公式ガイドブック - JapaneseTrilobites
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化石 第92号
国際三葉虫学会は、1973年から不定期で開催されていますが、第5回の学会が2012年にチェコのプラハ、イタリア、サルディーニャ島で開催されています。日本を代表する三葉虫研究者である椎野氏、鈴木氏がプラハでの学会に参加され、その報告がなされています。回によっては抄録的な書籍もあるのですが、記事としては学会の詳細な内容というよりは、雰囲気が伺い知れ、世界の三葉虫研究者と交流している様が伝わります。 【リンク】TRILO2012 http://trilo2012.geocon.cz/ https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaseki/92/0/92_KJ00008229852/_pdf
椎野 雄太、鈴木 雄太郎 化石 第92号 0022-9202 JapaneseTrilobites
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ときめく化石図鑑
同じ収集対象の石であっても鉱物や宝石は、一般の方も"ときめく"対象は多いと思います。見た目の彩色の美しさなど収集人口の差に表れている気がします。それに対し化石はどうでしょうか、アンモライトや黄鉄鉱化や結晶に置換した化石は意外と多くあります。化石の場合は、色合いが地味な物が殆どで、純粋に生物としての造形美や幾何学模様などに美的感覚を得る事ができるのだと感じます。そんな美しい化石を「ふぉっしる」店長でお馴染みの土屋氏が解説しています。三葉虫は、トリアルツルスと足跡の2つが登場しています。標本だけでなく、化石に纏わるエピソードや街中の建築で見る事ができる化石など他のコンテンツも豊富です。
土屋 香 ときめく化石図鑑 978-4-635-20229-9 JapaneseTrilobites
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大英自然史博物館シリーズ1 世界を変えた100の化石
「世界を変えた100の〇〇」という題目の書籍は多く発刊されていますが、化石に絞ると何が該当するだろうか?誰もが知るアノマロカリスや始祖鳥以外に、どの様な化石が登場するだろうか?三葉虫に絞ると何が題材に選択されているだろうか?開く前に色々想像できます。世界を変えたは大げさな気もしますが、生物史の考え方を見直す切欠となった化石が大英自然史博物館のコレクションを中心に解説されています。ここでは、三葉虫に絞りますが、2つ選定されていました。「視覚の始まり」では、デボン紀モロッコ産Erbenochile「天敵避ける棘だらけの三葉虫」では、同じくデボン紀モロッコ産Comura。視覚の始まりではカンブリア紀のオレネルス類ではなく、タワーアイのErbenochileなのは、三葉虫の眼で最も特徴的な種類と解釈しておきます。Comuraは、捕食者からの身を守る術として進化をした結果という概要です。この本の写真は、大きく見やすく、化石を美術品の様に見る事が出来る化石図鑑です。
Paul D.Taylor & Aaron O'Dea 大英自然史博物館シリーズ1 世界を変えた100の化石 978-4-7678-2497-0 JapaneseTrilobites
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NHK地球大紀行展
NKH特集:地球大紀行(1987.1.25~12.27)は、子供の時代にリアルに見ていた世代ですが、当時自分で関連本まで購入するほど嵌り、毎月食い入るように視聴していた記憶があります。ストロマトライトなど初めて知る事が多く、古生物や地学が好きになった切欠だったんだと、今思えば自身に大きく影響を与えた番組でした。この企画展の図録は、同時に巡回した企画展で、私は行ってはいませんが、スミソニアン国立自然史博物館の一級の標本を中心に、国内の多くの博物館からも化石、鉱物、宝石まで幅広く多く展示され、何気に凄い展示内容だった事が分かります。北米産を中心に三葉虫も多く登場しており、 テラタスピスの復元CGは、異様な姿に目を奪われます。 科学技術館 1987.2.11~4.19 市立名古屋科学館 4.25~5.24 北海道開拓記念館 6.2~6.21 斉藤報恩会記念自然史博物館(仙台) 6.30~7.19 西日本総合展示場(北九州) 7.26~8.23 広島市こども文化科学館 8.29~9.23 愛媛県県民文化会館 9.29~10.18 MIDシアター(大阪) 10.25~11.30
濱田 隆士(監修) NHK地球大紀行展 - JapaneseTrilobites
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月刊化石コレクション no.07
全12号の「月刊化石コレクション」の第7号が三葉虫特集でした。各号付録で本物の化石標本が付いてきて、全巻集めると化石年代表ケース(別売り)が作成できるというパートワーク本も兼ねていました。コレクターの身から言ってしまうと、付録の標本モロッコのDiacalymene ouzregui自体には価値は無く、多分他の号の標本も似た様なレベルだと思っています。肝心の冊子の方は、少ないページ数なのにも関わらず、三葉虫について分かりやすく非常によく纏められています。「たくさんの機能がつまった体」では、殻、側葉、目、イボ、トゲについて注目し、解説しています。開運!なんでも鑑定団化石鑑定でお馴染みの川上氏の「三葉虫化石が明らかにした古大西洋」や国内著名コレクターTerry氏のプレパラーションに関する記事など参考に出来る記事がありました。 【参考リンク】朝日新聞出版 https://publications.asahi.com/ecs/backnumber/?id=72
川上 紳一,鈴木 雄太郎 月刊化石コレクション no.07 978-4-02-311127-1 JapaneseTrilobites
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ナショナルジオグラフィック日本版2016年2月号
[化石と絶景の小さな国立公園]という記事にて、カナダ、ヨーホー国立公園が特集されています。ヨーホー国立公園は、あのバージェス頁岩層のある場所であり、冒頭からチャールズ・ドゥーリトル・ウォルコットの偉業から始まります。スティーブン山の山腹に散乱するこぶし大の三葉虫という1ページ写真では、オギゴプシスと思われる化石が大量に散乱している様子が分かります。記事自体は、化石の話は中心ではなくあくまでもヨーホー国立公園の景観とウォルコットの3番目の妻メアリー・ヴォークスの足跡から、地質に限らず大変魅力的な場所である事が分かります。表紙の[不思議がいっぱい動物の目の進化]も三葉虫こそ登場しないものの、関連する興味深い内容かと思います。
McKenzie Funk ナショナルジオグラフィック日本版2016年2月号 1340-8399 JapaneseTrilobites
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ナショナルジオグラフィック日本版2005年5月号
「化石ビジネスの最前線」と題しビジネスとして成立している「化石」の国際取引の現状についてレポートされています。私もそうですが採取者を兼ねないコレクターは、購入してコレクションするのですが、それは流通の終着点であります。そこまでの道のりは、最終消費者は知らなくても、現地の採取者、クリーニングする人、流通させ販売する人など多くの人々を経由することになります。また化石には、コレクションとして高額な美術品の様に取引されてしまいますと、学術的価値における研究者とのバランスが難しく、どの様に共存していくかも課題があります。多くの課題を抱える化石ビジネスに切り込んだ記事に、一コレクターとして深く考えさせるものがあります。記事では、採掘中に事故で無くなったモロッコの三葉虫採取者の未亡人、三葉虫採取で生計を立てるモロッコ人など登場します。
Lewis M. Simons ナショナルジオグラフィック日本版2005年5月号 1340-8399 JapaneseTrilobites
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第42回特別展 「来て!見て!感激! 大化石展」解説書 化石でたどる生命の歴史
大阪市立自然史博物館にて2011年7月2日~8月28日まで開催された夏季特別展の図録です。”大”化石展とあるように非常に幅広い時代と分野から、時代を追ってテーマを決め、実物化石をメインに展示する企画展でした。驚く事に殆どの出展化石は、大阪市立自然史博物館の所蔵品で構成されたものでした。三葉虫に関しては、「4海の生物の繁栄-古生代の生き物-」のテーマの中、他の古生代の化石と共に登場します。特に時代や産出国の区分は無く、アメリカ、モロッコ、ロシアなどの一般種が主体で、2011年という開催年から見て、1990年代までの古い剖出の標本が展示されていました。図録として見たときに各テーマの解説が丁寧で、登場化石も全てフルカラーで数多く掲載されていて、とても見やすい構成となっています。
川端 清司、初宿 成彦、樽野 博幸、塚腰 実 第42回特別展 「来て!見て!感激! 大化石展」解説書 化石でたどる生命の歴史 - JapaneseTrilobites
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化石 第72号
日本古生物学会の日本語機関紙として1960年より発刊されている歴史ある化石雑誌です。日本語で論文を見る事ができる貴重な情本源であり、国内の化石から得られる最新の学説を広範囲に渡り知る事ができます。72号からは、前号までのB5判からA4判に紙面が拡大され、表紙もフルカラーに刷新されました。今号以降、多くの記事がHPで閲覧可能であります。この号では、「総説」にて国内三葉虫研究の第一人者である鈴木雄太郎氏が、「三葉虫:研究の総説および多様性の変遷」という論文が記載されています。(リンクより閲覧可) http://www.palaeo-soc-japan.jp/publications/fossil/
化石編集委員会 化石 第72号 0022-9202(電子2424-2632) JapaneseTrilobites
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神奈川県立博物館資料目録(自然科学)第10号;櫻井欽一コレクション標本目録第1集 化石
櫻井欽一氏(1912-1993)は、鉱物学者として、この筋では知らぬものはいない程の足跡を残した方ですが、鉱物だけでなく貝類や化石に関しても膨大なコレクションを残されていました。桜井氏の死去後、「桜井コレクション」と呼ばれた多くのコレクションが散在することなく、国立科学博物館と神奈川県立生命の星博物館に寄贈されています。化石コレクションの一部は、「原色化石図鑑」にも多く採用され、国内の多くの関係者の目にする所となってきました。この目録では、神奈川県立生命の星博物館が引き継いだ凡そ2,500点の化石コレクションが整理されています。一部カラー写真で紹介されていて、その他は、①番号②学名③和名④分類⑤時代⑥産地と区分され掲載されています。三葉虫も外国産を中心に多く掲載されており、標本の種類や状態から見て昭和30年から50年代にかけ収集されてきたコレクションと分かります。
濱田 隆士ほか 神奈川県立博物館資料目録(自然科学)第10号;櫻井欽一コレクション標本目録第1集 化石 1342-8993 JapaneseTrilobites
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化石芸術 Fossil Art
2001.12.4~2002.11.10まで、国立科学博物館、福島県立博物館、飯田市美術博物館、岩手県立博物館の4箇所を巡回した企画展です。同じ石でも鉱物系は美しいものが多く芸術的と一般に理解されやすいのですが、化石となるとコレクターなど魅了された人はそう感じても、一般に同感かと問われると自信は無いと思います。ここで展示された化石は古生物そのものの体化石もあるのですが、多くが生痕化石であり、その幾何学的な文様が自然芸術として鑑賞の対象となっています。大型の標本が多く見ごたえもする化石なので、これならば興味の無い一般でも美しいと感じる方が増えたのではと思います。また図録の解説が非常に丁寧に読み応えのある内容で仕上がっており、生痕化石の図鑑としても見る事が出来ます。三葉虫は、這い跡として幾つか関連する化石があるのですが、カンブリア紀パキスタン産、オルドビス紀オーストラリア産、カンブリア紀スペイン産と余り見かけない標本が登場します。
Adorf Seilacher 化石芸術 Fossil Art - JapaneseTrilobites
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地球展 極地の過去と現在を中心として
1970.12.19~1971.5.9まで、小田急百貨店(東京)あべの近鉄百貨店(大阪)山口県立博物館(山口)岩田屋(福岡)名鉄百貨店(愛知)今井百貨店(北海道)と全国6会場を回った企画展です。極地の銘打っているだけに北極圏や南極の岩石や化石が多く出展されている事が分かります。三葉虫に限るとスペッツベルゲン島(ノルウェー領スヴァールバル諸島)のオレネルスや南極大陸のプティコパリアなどが登場しています。これらは、今では入手できるような化石ではなく、ノルウェー古生物博物館や米国国立科学財団から提供された標本の様です。それ以外にも三葉虫が国立科学博物館所有の標本で多く登場します。今でこそ三葉虫化石は海外の標本を入手できますが、昭和40年代初頭までに収集できた種類が何なのかという事がコレクターとして興味深いです。バージェスの大型のオギゴプシスや中国遼寧省産と思われるレドリキアなど今では入手が困難な種類も多く登場していました。
国立科学博物館事業部 地球展 極地の過去と現在を中心として - JapaneseTrilobites
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知りたいサイエンス,カンブリア爆発の謎;チェンジャンモンスターが残した進化の足跡
5億4千万年前のカンブリア紀に起きた「生命の爆発的進化」これを紐解く上で重要な産地であるバージェスと更に保存状態と多様性で群を抜く澄江動物群。飛躍的に研究が進んだこれらの産地からの状態の良い化石から分かってきた生命の進化の謎を、一般書ならではの分かりやすい解説で紐解きます。カンブリア紀初期では重要な役割を果たした三葉虫の発生の起源についても記載しており、エディアカラ紀のパーバンコリアを起源とする説を有力としています。
宇佐見 義之 知りたいサイエンス,カンブリア爆発の謎;チェンジャンモンスターが残した進化の足跡 978-4-7741-3417-8 JapaneseTrilobites
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バイオディバーシティ・シリーズ6 節足動物の多様性と系統
現生の全動物の85%以上を占めるとされる節足動物は、現代においても最も多様性に満ち繁栄している動物と言って良いでしょう。三葉虫類の様に絶滅してしまった仲間から現生の主な系統である鋏角類、甲殻類、単肢類など分類に関する基礎的な解説がされています。現代において分子系統学的手法により、多くが確定してきていますが、これらの分類は幾多の改変を繰り返している事が分かります。三葉虫綱にていては、鈴木 雄太郎氏が執筆しており、初期の類縁関係やアグノスタス類の帰属などについても言及しています。 三葉虫類の分類について、文章中では特定の考え方を支持するのではなく、その分類の歴史やそこに至った経緯などを解説しています。
石川 良輔ほか バイオディバーシティ・シリーズ6 節足動物の多様性と系統 978-4-7853-5829-7 JapaneseTrilobites