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Odontopleura prevosti
sその名の通りOdontopleurida(目)の代表の様な種類ですが、化石としての見た目は地味です。この標本は、右自在頬が欠損していますが、見つかる多くの標本は、両方とも欠落している事が多いので、一つでも残っているのは貴重なのです。ルーペや写真で拡大して見ると棘が沢山生えていて、美しい種類であることが分かります。Odontopleuraは、チェコのシルル紀から数種類が報告されていますが、何れも大きくはならず1cm程度の小さな種類です。
Silurian Odontopleuridae,Lichida TRI-160 LitenTrilobites
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Raphiophorus rouaulti
Lonchodomasの仲間はオルドビス紀が全盛でしたが、後の時代のシルル紀にも少数ながら生き残っていました。この標本は、小さな母岩の中に複数の白い殻の個体が分かり、不完全ながらも特徴が分かります。この仲間は、モロッコのオルドビスにも複数個体がまとまって見つかる事が知られている様に、群れで暮らしていた習性があると思われます。
Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-341 Liten Lodenice,Czech RepublicTrilobites
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Odontopleura ovata
この標本はNegativeだけの標本なのですが、細かい棘の位置など体表面の保存状態が極めて鮮明です。Negativeだけの標本は、一般的には価値が低いとされ比較的安価に入手できますが、小さな標本は肉眼で観察するより、ルーペや写真で観察して始めて細かい棘の状態が分りますので、十分に価値があると感じる例です。チェコからは、様々な種類のOdontopleuroidea(超科)の仲間が産出しますが、いずれも1cm程度の小型の種類ばかりで明確な違いが分りません。自在頬が欠損していたり不完全な状態の標本が多く、種の同定が難しい標本が多く感じます。体表の細かい陥没は棘の名残で、実際には繊毛のような細い棘が無数に生えていたのではと推測します。
Middle Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-428 LitenTrilobites
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Cheirurus insignis/Trochurus speciosus
チェコのシルル紀三葉虫は、とても小さいので、ルーペや写真で観察しないとパッとしないのですが、拡大してみると大型標本に劣らない魅力ある種が多いです。2種共存している標本ですが、どちらも尾部だけの部分化石とはいえ入手困難な種類です。Cheirurusは、時代も違いますが、遠く離れた日本の福地の種類に大きさも雰囲気も似ています。Trochurusも尾部だけですが、複雑な模様は、デボン紀のLobopyge/Acanthopygeの先祖であると一目で分かります。 Blue:Cheirurus insignis/Orange:Trochurus speciosus
Silurian Cheiruridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida/Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-521 LitenTrilobites
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Aulacopleura koninckii
シルル紀チェコ産では、最もポピュラーな種類です。白い体に細い中葉の特徴がありますが、Proetida(プロエタス目)に属していますが、平坦でカンブリア紀のPtychopariida(プチコバリア目)の仲間の様に見えます。初期のAulacopleuroidea(超科)と考えられていて、分類上は、デボン紀のCyphaspisの先祖に当たりますが、似つかない形態をしています。小さな複眼と小さくて鋭い頬棘が確認できます。群れで暮らしていたのでしょう、3体の個体が一緒に産出しています。
Middle Silurian Aulacopleuridae,Aulacopleuroidea,Proetida TRI-47 LitenTrilobites