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Cyphaspis elachopos
三葉虫研究史の原点ともいえるDudleyは、古生物研究史においても原点ともいえる重要な役割を果たしました。100年以上前に閉鎖しているDudleyの三葉虫コレクションは、世界の自然史博物館や個人コレクターに収蔵され、手放されることが少なく入手が難しい産地であります。かつてDudley Bugと呼ばれ多産したと伝わるCalymene blumenbachiiですら市場で見かける事はなく、本種の様な元々産出量が少ない種類の入手は、望んでもコレクションできないことが普通です。
Middle Silurian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-496 Wren's Nest and Castle Hill, Dudley,England,UKTrilobites
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Cyphaspides sp.
Jorfとその周辺地域から奇妙な三葉虫が登場しだしたのは2011年頃でした。Cyphaspidesは、それまで存在は知られていたものの実物を目にする機会は無い三葉虫でした。出始めのころは、この種類がProetida(目)の仲間では無く、Lichida(目)の仲間かと思っていました。更に2012年後半になると棘の長いTypeBと呼ばれる、この標本の種類が登場してきます。知られていたCyphaspidesよりも各棘が長く優雅に見えます。状態の良い標本になると更に背中に2列の細かい棘が確認できる標本もあります。
Lower Devonian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-441 Jorf,MorrocoTrilobites
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Cyphaspis walteri
頭部のV字型の二本の角から「Devil's Horn(悪魔の角)」という愛称で呼ばれている種類です。触覚の様に見えますが棘です。この棘が如何なる機能を有していたのかは、謎であります。この種類、群れで暮らしていたのか、まとまって見つかることも多いです。近年モロッコのCyphaspisは、多くの種類が見られるようになりましたが、この種類は誰でも見分けることが可能です。一般受けする種類でもあるので、市場を見ていると贋物も非常に多く見られ注意が必要です。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/dev_010.html
Devonian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-297 -Trilobites
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Otarion diffractum
Otarionいうとモロッコ、ドイツ(Eifel)、アメリカ(Oklahoma)で見つかるデボン紀のCyphaspisも昔はOtarionと呼ばれていました。同じAulacopleuroidea(超科)ですので、デボン紀のCyphaspisの先祖と言えますが、本種は立体感が無いので、別物に見えてしまうかと思います。中葉から伸びる特徴的な棘はこの種類では見当たりませんが、鋭い頬棘は既に持っていました。この種類の標本は自在頬が欠損している標本が非常に多いのですが、この標本には残っています。Harpidella misera (Hawle & Corda, 1847)という呼称の種類とは同一種と思われます。以前はチェコ産の中で入手しやすい種類だったのですが、絶産して時間が経ちますので、近年は入手難易度が高くなりました。
Upper Silurian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-106 KopaninaTrilobites
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Otarion megalops
モロッコ産のOtarion(Cyphaspis)も大きくはないのですが、この福地のOtarionは更に一回り小さい感じです。近年では、世界のどの産地でもCyphaspisの事をOtarionとは呼びませんが、20年以上前はモロッコ産でもこの種類をOtarionと呼んでいる時期がありました。福地では希産種の方で、完全な個体は先ずお目にかかれない様な種類です。頭部だけの部分化石ですが、立体的に保存されており、白く殻が残っているのが分かります
Lower Devonian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-563 -Trilobites
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Maurotarion axitiosum
キャラメルカラーが似合う、長い頬棘が特徴的なシンプルな種類です。シルル紀に北米に棲息していたMaurotarion christyiの直系の子孫と思われます。姿を変えずデボン紀まで生き残りましたが、産出は多くないことから細々と生き残っていたという方が正しいのかもしれません。石炭紀以降のProetidaにもいえますが、過度な装飾は一見環境に深く適応しても、環境が変化していくと追いていけず、絶滅の道を辿りますが、シンプルな形態は環境の変化に強く、長期間に渡り生き延びる事ができる、これは幾つもの三葉虫種が証明しております。
Lower Devonian Aulacopleuridae,Aulacopleuridea,Proetida TRI-492 Bois d'ArcTrilobites