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Olenellus nevadensis
ネバダ産のオレネルス・ネヴァデンシス (Olenellus nevadensis) です。 O.gilbertiやclarki、chiefensisなどと比較すると、市場で見かける機会が少なく、比較的希産と言える種です。 風化が進みやや表面が荒れていますが、尾棘含み67mm、含まずで45mm程度となかなか大型のサイズの標本です。 鑑別しづらいオレネルスの仲間でありますが、頭鞍先端〜頭部先端の間隔が他の同属に比較しても広い事、頭鞍が縦に長い六角形であること、胸部下部に長い棘が集中する事などから、ぱっと見で鑑別可能かと思います。 もっとも本標本では、特徴の一つの胸部下部の長い棘の付近が不明瞭ではっきりしません。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Pioche Nevada, USA Olenellus nevadensistrilobite.person (orm)
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Paedeumias yorkense
ペンシルバニア州のキンザーズ累層 (Kinzers fm) より産出の、ピードミアス・ヨーケンス (Paedeumias yorkense) です。 オレネルス類にしては、割としっかりした胸尾部を持ち、前後に長細い体躯を持つ種であります。希産ではありますが、厚みがある種なのか、他のオレネルスに比べると全体像がしっかり残っている標本が多い印象です。 産地のキンザーズでは、オレネルス超科 (Olenelloidea) が多く出る事が有名です。代表的な種には、本種以外に、Wanneria walcottana, Olenellus thompsoni, O. getziなどが確認できます。ただ、これらがランカスター群産であるのに対し、本種はヨーク群産と少し離れた場所から産出する事が知られています。 また少しややこしい話ですが、ヨーケンスは"オレネルス"ではなく、"ピードミアス"の属名を冠しております。 このオレネルスとピードミアスの違いは極めて微妙で、分類学上、それぞれが独立したクレード (単系統群) を成しておらず、入れ子構造になっているのが現状で、その分類は未だ議論が続いているようです。 実質ほぼ同属扱いであり、Olenellus (Paedeumias) terminatus、Olenellus (Paedeumias) transitansのように、両属併記となっている種も多く見かけます。 この標本はコレクションの初期の、最も蒐集に脂が乗っていた2016年頃に入手した標本です。久しぶりにコレクションケースから出しじっくり観察して、当時を思い出して懐かしい気持ちになりました。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Kinzers York county, Pensylvania Paedeumias yorkensetrilobite.person (orm)
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Yiliangella forficula
こちらは、中国のイーリャンゲラ・フォルフィキュラ (Yiliangella forficula) であります。カンブリア紀前期 (特にSeries2, stage4) に当たる時代の化石を産する、馬龍生物群 (Malong biota) の紅井哨紅累層 (Hongjianshao fm) のものです。 中国の化石特有の黄土色の母岩に、鉄錆色の本体が生える化石です。優美で流れるような胸尾部の棘は、どこか柔らかそうで、モロッコのGygantopygusなどを思わせます。頬部が失われてはおりますが、本種に関しては完全な標本はほぼ無いと言ってよく、これで上位の保存状態であります。 大型で実に美しい中国の標本ですが、砂泥質の母岩が脆く、標本箱の中に置いているだけでも、徐々にポロポロと崩れるのが玉に瑕です。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Malong biota, Hongjianshao (紅井哨紅) Near Kunming, Yunnan, China Yiliangella forficulatrilobite.person (orm)
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Olenellus fowleri
オレネルス・フォウレリ (Olenellus fowleri) の標本です。 こちらは米国の個人コレクターの方の、オールドコレクションを譲り受けたものです。 オレネルスの仲間はどれも似通っていて、区別が非常に難しいのですが、本種フォウレリは、一目にわかりやすい姿形をしております。幅広い頭部に、頭部の中心に偏った三日月状の眼、そして胸・尾部の長めの棘など、まるでネヴァディア・ウィークシ (Nevadia weeksi) を彷彿とさせる形状をしております。ただそれも、本種では第3胸節の側葉から伸びる長い棘があることで、ウィークシとは容易に鑑別可能です。 オレネルス類は、胸尾部が異常に保存されずらく頭部ばかりの標本が多いのですが、こちらは本種ではほぼ欠損している串状の尾部まで綺麗に残っています。 何より75mmというサイズは本種としては規格外で、10mm程度のオレネルスと比較すると (写真5番目) その巨体感がよくわかるかと思います。存在感のあるプレートです。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Pioche Nevada, USA Olenellus fowleritrilobite.person (orm)
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Olenellus fremonti
カンブリア紀の巨大なオレネルス、オレネルス・フレモンティ (Olenellus fremonti) です。 オレネルス類はカンブリア紀を代表する一派で非常に多くの種がいますが、その多くは似通った形状をしており、なかなかその区別は難しいです。 この中でも、オレネルス・フレモンティは頭鞍が発達しており、頭鞍先端が頭部の辺縁に重なる事から、比較的容易に区別が可能です。100mmを越える巨大なサイズにまで成長する事も特徴的で、本標本も150mmをオーバーしており、大迫力の標本であります。5億年以上前の化石ですが、まるで母岩の中を泳ぎ回っているようなハッとする美しさと生々しさがあります。私のコレクションを代表する重要標本であります。 オレネルスは当時大繁栄した種であり頭部標本の部分化石だけならば、出回る機会は比較的多く、オレネルスの中で比較的希少なこのフレモンティでも、しばしば頭部化石を見かけます。一方、オレネルスは胸部〜尾部が脆弱で、余程の幸運に恵まれなければ化石化しにくい種でもあります。それ故、このように全身が残る標本はかなり希少と言えます。頭部化石のそれなりの多さと、全身化石の希少さを総合的に考慮して、レア度としては★3としました。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Pioche Lincoln county, Nevada, US Olenellus fremontitrilobite.person (orm)