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SEIKO Mechanical Alpinist SARB017
山歩きの伴として不動の人気を誇る「アルピニストシリーズ」。ペットネームとしては1960年代から存在する古参である。私にとってアルピニストと言えば最初から「緑のアルピニスト」だった。社会人になったばかりの頃はまだ「坂井版アルピ」が売られていたので、いつかは手に入れてやろうと長い間考えていた。ところが私の時計蒐集趣味には10年ほどのブランクがあって、緑のアルピニストへの憧憬もいつのまにか消えてしまっていたと思う。 それでも時々は「まだ売ってるかな?」とそれだけの確認のために、型番を検索にかけるといった未練がましいこともしていたり(;´Д`) そして、さすがにディスコンの噂も信憑性を増してきたところで、ついに手に入れた「葛谷版アルピ」。セイコーの定説では「緑ダイアルは売れない」らしいのだが、反してこのロングランセール。確かに新品なのに骨董のような味わいがあり、価格以上の価値と所有欲を満たしてくれる魅力がある。しかし「坂井版アルピ」への憧れが強すぎるためか、ごまかしきれない細かい不満は存在する。 まずはサイズ。「坂井版アルピ」に比べて「葛谷版アルピ」はほんの少し大きい。ムーブメントの違いもあって仕方がない部分もあるだろうが…まことに惜しい。そして「サイクロプスレンズ」が風防から無くなってしまったこと。「坂井版アルピ」の風防はとても雰囲気がよかったのでこれも惜しいのである。ぐぬぬ。 「惜しい、惜しい」と繰り返してもしょうがない。現役で使う分には現行の製品が優れているに決まっている。実際、搭載する「6R」の優秀は体験済みなので、その部分への信頼は絶大だ。アワーマーカーやハンドのデザインも「坂井版」を元に随分と洗練されており、今の時代には「葛谷版アルピ」の方が確実に使いやすいだろう。 現物を手に取った瞬間に「この先10年育てる時計だ」と感じた。細かい傷や打痕が付きステンレスの輝きがくすみはじめ、ダイアル周辺に腐食が生じはじめた時、この時計の真の魅力が見えてくるような気がしているのだが…果たして!?
サファイアクリスタル 39.5 SEIKO レザー砂布巾
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ORIENT MakoⅡ SAA02001B3
機械式ダイバーズの入門編として海外でも人気の「マコ」。私がこれを買った時の理由は非常に明確だった。忙しすぎて時計に構っていられなかった時期に、ぶつけようが大雨で水没しようが大して惜しくない時計を探してのことだった。 気兼ねのない時計を探してはいたが、そこはそれ「時計好きの性」。何でも良いというわけにはいかなかった。このマコの良いところは基本的なダイバーズの性能をある程度満たした上で、シティーユースに配慮した時計であるということ。そのサイズや重量、どちらかといえば控えめな見た目などが相まって、仕事場でとても重宝する一本となっている。 そして何より、どこからか安易にパクってきたデザインでないのが良い。どこから見ても「オリエント」なのだ。全体を覆う和風な香り。海外のファンは日本人の私よりもよりはっきりと、マコが醸し出す「オリエンタルムード」を感じ取っているのかもしれない。 全体的には価格のこともあるし文句が出ようはずもない。だが敢えて贅沢を言わせてもらえれば、ベゼル…もう少しだけ高級感出して欲しかった。リキッドメタル流し込み…とまでは言わないが、ベゼルの印象でかなり損をしていると思うのだ。惜しい! 18年の豪雨の時期には本当にお世話になった時計で心強い味方だった。悪天候の影響をモロに受けて混迷を極めた仕事のつらさを、この健気な時計は日々癒やしてくれていたのだ。というのは全然大げさじゃない。マコを見る度に戦友を見るような気持ちになるのは本当だから。 現行オリエントにとって、マコシリーズは特別な存在感で世界中のファンに愛される時計なのだ。
ミネラル・ガラス 幅41ミリ ORIENT ステンレス・スティール砂布巾
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ORIENT ORIENTSTAR WZ0121DK
オリエントの中でプレステージラインとして存在する「オリエントスター」。WZ0121DKはその中でも比較的シンプルな3針時計である。 しかし、この時計最大の特徴は標準装備されたストラップにある。「ソメスサドル」。日本で唯一の馬具メーカーとして知られる革製品のプロ中のプロのストラップが贅沢にも最初から付いているのだ。 それは圧倒的で重厚な存在感。革の質もそうだが、縫製の強度も凄まじいレベルの仕事がなされている。ぶっちゃけ時計を支えるだけならこんなに強度は必要ないと思う。とある時計修理の職人さんなどは「これはソメスが本体ですね!」と感想をもらすほど。言われてみれば確かに…(゚д゚) 時計自体だが、上質な仕上げで各パーツが纏まっており、さすがに無印のオリエントとは格が違う。クラシカルなデザインのケースに鮮烈なグリーンのダイアルがよく似合う。精度もある時点で測ってみたが、まぁそこそこ…といったところだった。日常生活で使う分には全く困らないだろう。 リューズの感触も良い。キリキリと気持ちよく巻き上がる成果をパワーリザーブメーターで確認する楽しさもある。不満点の少ない良い時計だ。幅40ミリくらいだったらなおの事よかったのだが、これより小型だとソメスサドルのボリュームを受け止められなかっただろう。 現在はソメスサドルのストラップを外しNATO化している。これ以上汗を吸わせたくなかったからだが、お蔭で主役の座が時計本体に移ったように感じる。また何れソメスに戻すときも来るだろう。その時、何かしら印象の変化があるだろうか。
サファイアクリスタル 幅44ミリ ORIENT ブライドルレザー砂布巾
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SEIKO SEIKO5SPORTS SNZF22JC
いい意味での下品な時計が欲しくて探した結果これを見つけた。総ゴールドのケースとブレス。艶のあるブラックダイアルの組み合わせはまさしく「下品」…になるはずが、実は普通にカッコよかった。 ベーシックなダイバーズの意匠をしっかり守りつつも、シティーユースのための配慮がそこかしこに見受けられる。リューズがねじ込みでないのは惜しいところだが、カレンダーが黒地に白文字というニクい作りだったりして、なかなかにワクワクさせる時計だ。 ベゼルが見るからに安っぽいのだが、このモデルのMODを多数見つけたので、いつの日か改造に挑んでみても面白いかも知れない。ヨットマスターみたいになるかも?っていう感じのパーツもあった。 「太陽にほえろ!」の刑事たちが好んで身に着けそうなセンスの時計だが、実際に巻いてみると何やらいい感じ。YGも案外落ち着いた輝きなのでひねりの効いたビジネス時計として職場に着けていっても良いかも知れない。 万が一何か言われても「5ですから!」で許されそうだから(゚д゚)
ハードレックス 幅43.5ミリ SEIKO ステンレス・スティール砂布巾
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CASIO G-SHOCK G'MIX GBA-400-1AJF
スマホにインストールしたアプリでスマホの各種機能(特に音楽プレーヤー)を操る「スマートフォンリンク」を搭載した初期のG-SHOCKの一つ。 いわゆるG-SHOCKのデザインを崩すことなく複雑な機能追加に対応している。これも一種のハイブリッド型スマートウォッチと呼べるかも知れない。時計としての機能はさすがに円熟を感じる安定感。独自のデザインコードに基づいた複雑なダイアル周りの作りも丁寧で、各種情報の視認性にも高い配慮がなされている。 一番期待したスマホとのリンク機能であるが、かなり限られた機種でしか使えないことは確か。私の場合も3台のスマホでリンクを試みたが、繋がったのはギャラクシーNOTE8だけだった。公式の情報でサポートを謳われていないスマホとの接続は難しいかも知れない。 ただ、一度繋がってしまえば、腕時計から音楽を選んで再生する楽しさは格別。現在では格安スマートウォッチですら持つ音楽の再生中継機能だが、ほんの数年前にはごく一部のデバイスに限られたお楽しみだったわけだ。 テクノロジーの進化速度の早さに置いていかれた感のあるこの「G'MIX」だが、G-SHOCKとしては何ら欠けるところのない完全な時計なので、今後も普通に使っていきたい。
ミネラル・ガラス 幅51.9ミリ CASIO 樹脂砂布巾
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ORIENT SEM70002CG
コロコロと可愛らしい「オリエントスリースター」の70年代風レトロデザイン時計。ラドーのダイヤスターによく似た鉄仮面型のケースに、視認性を大幅に犠牲にした雰囲気重視のカットガラス風防を装備。身に着けるだけで数十年の過去を容易に遡らせる支配力の強さは、同時にこの時計の持つ魔性を現している。 特にシャンパンゴールドのダイアルは、近年あまりお目にかかれない種類の美しさ。古臭いオリエントのブランドロゴもこの時計の場合はとても雰囲気にマッチしている。アワーマーカーやハンドも高級感とは程遠いショボい作りなのだが、安っぽいというよりは陳腐化した過去を懐かしむような…そんな風に哀愁を帯びて見えるのだ。気のせいかも知れないが。 手巻きが無いムーブメントだったり、カレンダー送りはプッシャーを押し込むスタイルで面倒くさかったり、巻板ブレスの長さ調整が鬼のようにやり辛かったり…使ってみれば言いたいことは色々と出てくるのだが「可愛らしさ」の一点で全ての短所に勝る。「七難隠す」というヤツだ。
ミネラル・ガラス 幅40ミリ ORIENT ステンレス・スティール砂布巾
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Knot CS-36 & SQ-32
お世話になったご夫婦が転勤で東京に行ってしまう際に、引越しのお手伝いに伺うタイミングでプレゼントしたのが「Knot」の時計。身内以外で人さまに腕時計をプレゼントするなんてめったにない機会なので、むしろ私の方が思い出に残る経験をさせてもらった。 当初の私の計画では、シルバーのラウンドケーススモセコにシルバーのミラネーゼ。イエローゴールドのカレにブラックのミラネーゼを合わせて貰うつもりでペアのセットを見繕ったのだった。しかし奥さまの方がイエローゴールドのカレにシルバーのミラネーゼをまさかのチョイス!「こっちの方が可愛いよ」と言われて恐る恐る見てみたら、確かにそっちの方がハイセンスだった。負けた… 思いの外喜んでもらって、その笑顔で元がとれたと感じた。美男美女のご夫婦なので腕に巻かれるKnotの時計も満足だろう。
サファイアガラス 幅36ミリ(オーバル)幅32ミリ(スクエア) Knot ミラネーゼ(ステンレス・スティール)砂布巾
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SEIKO SEIKO5SPORTS SKZ209JC
「5スポーツ」の中でも世界中で屈指の人気を誇る「ブルーアトラス」の愛称を持つ本機。「7S36」搭載の性として手巻きもハックも当然ない。 だがこの存在感は何物にも代え難い。2万円の時計でこの完成度、この質感。厚みが多少気になるが、ケースサイズも適正で装着した際の収まりはすこぶる良い。 そして何よりインナーベゼルのコンパス機能だろう。9時位置のリューズで操作するのだがこれが楽しい。回転が軽すぎて簡単にクルクル回ってしまうのだが、むしろ率先してクルクル回したくなるメカメカしさ。時刻調整用の4時位置のリューズはスクリュー式だ。200メートルの防水性能は普段使いに於いても心強いもの。そして独特の位置にあるリューズを守るガードの形状が、アトラスのケースデザインを特徴的で印象的なものにしている。 奇抜なアシンメトリー形状の外観を持ちつつも、どこかクラシカルなアトラス。その落ち着きは各アワーマーカーの見事なバランスによるものだと思う。回転ベゼルにインナーベゼルが重なる41ミリは、当然のことダイアルの面積が狭くなるのだが、最大限の視認性を確保するためのデザインが完成している。ハンドのデザインも全体の雰囲気を崩さないものが選択されていると感じる。 デザイン、機能、価格、それぞれが全てにおいて「最適」なアトラスは、数ある「5SPORTS」の中でも記憶に残る一品だろう。
ハードレックス 幅41ミリ SEIKO ステンレス・スティール砂布巾
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ORIENT ORIENTSTAR SDAAA003B0
滑らかな曲線のトノー型ケースが美しいオリエントスターでは数少ないタイプのモデル。初めて見た瞬間に妙な使命感が湧き上がり入手。 光沢のあるダイアルは品の良いギョーシェが特徴的。お得意のパワーリザーブメーターがデザイン的なアクセントとしてミッドセンチュリーな空気感をもたらす。 アプライドのアワーマーカーは繊細というよりは武断的な印象。ハンドが少し迫力に欠ける作りなのでアンバランスに思わなくもない。明確な縁取りで大きく開いたオープンハートがこれまた絶妙な位置にある。トノー型というオーバルに比べてバランスの自由度の低い形状の中で、この丸い穴の位置決めは難しかっただろうと推察する。デザイナーさんいい仕事してますよ(〃∇〃) スケルトンの裏蓋からはムーブメントが覗けるが、ローターに覆われたムーブメントを見ても感動は少ない。ただ巻き上げ効率の良い安定した精度はさすがに「機械式のオリエント」だと思う。 標準装備のレザーストラップは高級感はそこそこだが付け心地は素晴らしい。オリエントの上位ラインであるオリエントスターの面目躍如といったところか。 最近は少なくなったが各社が競ってトノー型を揃えていた時代もあった。その頃の懐かしい雰囲気が味わえる美しい一本だと思う。
サファイアクリスタル 幅37ミリ ORIENT レザー砂布巾
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CASIO PRO TREK PRT-500
20年くらい前にプレゼントして頂いたモノ。「プロトレックがいいよ~」とおねだりしたら買ってくれた。ありがたやありがたや。 今見ると回転ベゼルがいい感じだ。貰った当時はリューズやプッシャー関係が扱いづらくて本物の局地で使うと苦労しそうだなぁ~と思ったが、街で使う分には全く問題なかった。 何といっても魅力は3針のシンプルなダイアルに浮かび上がるデジタル表示。この時私はこのような仕掛けを初めて見た。ダイアル全体がまるでアクアリウムを覗き込んだように神秘的な趣があって、作り込んだアプライドのアワーマーカーが湖底に沈んだ宝石のように見えたっけ。 バックライトを点けた時のきれいなダイアルをまた見たくなったので、近々電池交換してみよう。
ミネラル・ガラス 幅47ミリ CASIO ラバー砂布巾
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KENTEX MARINEMAN SEAHORSEⅡ S706M-12
防衛省と契約して作られた自衛隊時計で知られる「ケンテックス」は国産にこだわり抜いたメーカーでもある。私が所有しているのは「マリンマンシーホースⅡ」マイナーチェンジ前のモデルだが基本的な性能に変更はないようだ。 ISO6425をクリアした潜水性能を持つ本格ダイバーズだが、MOP使用のダイアルやセラミックのベゼルが美しく、ラグジュアリー・スポーツといった趣がある。ケースデザインなどはクラシカルなのでシティーユースでも違和感なく使えている。 完全日本製ということで手放しに応援したいのだが、だからこそ苦言を呈したい。 まずはサイズ。次は絶対に40ミリ前後で出して欲しいと思う。必ず化けるから!そして発光の鈍い夜光も何とかすべし。ブレスのバックルも価格からすると何ともお粗末。ここをケチると腕時計は途端に安っぽくなってしまうのだから。 色々文句を書いたがそれは応援すればこその気持ち。記念モデルのシーアングラーもサイズが変わらず購入を断念せざるを得ない。搭載ムーブメントと防水性の都合でサイズをシュリンクするのが難しいのは解るが、40ミリ径になればどれだけカッコ良くなることか…日本の時計の未来のために、戦え!ケンテックス!
サファイアクリスタル 幅44.8ミリ KENTEX ステンレス・スティール砂布巾
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CASIO G-SHOCK GST-W100G-1AJF
Gスティールの基本モデルのような存在。極めてマッシブなデザインだがGショックを見慣れた人にはこれぞスタンダードと思えるだろう。 Gショックの構造にステンレスを挟み込むだけでこうも印象が変わるのかと、購入した当時は見惚れていたものだ。このシリーズの成功がなければ現在大人気のフルメタルケースのGショックは生まれなかったはずだ。 電波ソーラーのクオーツでフルオートカレンダー。ごちゃごちゃしたダイアルだがゴールドのハンドと立体的なアワーマーカーでアナログ時計としての視認性も充分担保している。BAUHAUSに影響されたシンプルな時計の対極に位置するのは、実はGショックなのではないかと強く思う。 最近はサイズで違和感を感じるようになり、あまり着けなくなって申し訳ないのだが、楽しい時計であることは間違いない。ベーシックなGショックの風貌にほんの少し高級感をプラスして使えるシーンを増やしたオトナのGショックだ。
ミネラル・ガラス 幅52ミリ CASIO 樹脂、ステンレス・スティール砂布巾