赤瀬川先生のようになりたひ

初版 2019/07/12 00:22

「ライカもいいけど時計がほしい」という本があります。高名な現代芸術家で作家でもある赤瀬川原平先生(故人)の書かれたものですが、読むと間違いなく時計が欲しくなるという恐ろしく毒性の強い内容です。先生についてご存知ない方もおられるかもしれませんが、赤瀬川先生は尾辻克彦名で1981年、芥川賞を受賞されています。また超芸術トマソン」の生みの親として有名です。



「ライカもいいけど~」には先生が好きになった時計たちについて、その出会いからお付き合いまでが独特の優しい文体で綴られています。文体は極めて優しいのですが、時計の魅力とその価値についての洞察は鋭く、私の時計趣味にも多大の影響が及んでおります(敢えて進行形です)


面白い本なので是非皆さんにも一読願いたいと心から思います。ですから細かい内容には触れないようにします。ただ一点のみお伝えしたい。


本に記された赤瀬川先生の時計コレクション。正直、特別高価なものは見受けられません。勿論買えないわけではないと思います。芥川賞作家なので。

「ライカもいいけど~」の最後に先生のコレクション一覧があるのですが、それを見れば私にも一目瞭然でした。先生の場合「欲しい」「欲しくない」が完璧に明瞭なのです。


ブランドへのこだわりの無さは潔いくらいです。アラビアのアワーマーカーで3針の時計がお好みのようで、その中でも特にシンプルなミリタリーテイストのコレクションが多いように思います。「ブランド不明」というモノもありますが、唐突な出会いをされたに違いないと微笑ましく拝見しました。


この本を読み返すと自分のコレクターとしての雑念の多さに気付かされます。一番「捨て去りたい」と思うのは、腕時計を自分を大きく見せるための道具にしてしまいがちな部分です。不純です。これはダメなコレクターです。


赤瀬川先生の本を読み返すたび、モノ好きの基準点に立ち返ることができるような気がします。様々な尖ったムーブメントを先導して時代を作ってきた先生に習うのはおこがましいですが、自分がモノを集めて使うそのことで新しい価値観を見つけてやるぞ!くらいの気概を持てればいいなぁ~と思っています。それが純粋にモノを愛でるという…ある種の覚悟につながる気がするんですよね。



#参考

#腕時計

#赤瀬川原平

#本

「腕時計愛」「自作PC愛」「音楽愛」

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