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1988-1989年頃製作 タッセルスリッポングリニッジ
1990年4月にロンドンのグリーン本店でドーバーと一緒に購入したタッセルスリッポン「グリニッジ」です。ですから一番初めに購入したグリーンということになります。二足で£220でしたから一足あたり£110です(安い!)。滑らかで手触りも素晴らしいカーフのタンナーはおそらくデュプイと思われます。 ラストはスリッポン専用の184です。インソックは筆記体のロゴ、アウトソールの刻印は大きなブロック体です。1988-1989年頃の製作と思われます。 タッセルはカジュアルなシーンで履くことが多い靴ですが、この靴はどちらかというと端正な雰囲気が漂います。それはこの靴が通常のグリーンより細かなカスタマイズがなされていることと関係しているかもしれません。まずアウトソールの下の縁を削り、ソールを7割くらいに薄く見せています(画像7矢印)。この技法を「ヤハズ」と言います。靴をスマートに見せる効果があります。またヒールトップの内側を削り(「アゴを落とす」と言います)、スラックスの生地を傷めないように工夫されています(画像8矢印)。ソールが唐草仕様になっていることも分かります。 履く人のことを考えた良い靴だと思います。
グリーン参る
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1991年頃製作 カドガン 黒
1991年頃製作の黒のカドガンです。黒の大変質の良いカーフが使われています。フレンチカーフだと思うのですが、ドイツボックスに変わる少し前の製作だと思われます。ラストはラウンドトゥの202です。ウィズはDなので202でも細くスマートな靴に見えます。インソックは筆記体のロゴ、アウトソールの刻印も筆記体です。 カドガンのようなセミブローグスタイルは、どんなTPOにも相応しい万能選手だと私は思っています。
グリーン参る
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1980年頃製作 ウェストン ペッカリー製キャップトゥ
1980年前後の製作と思われるウェストンのペッカリー製キャップトゥです。ラウンドトゥですが、幅の狭いスマートな木型になっています。アッパーのステッチも細かく、作りも大変丁寧です。ダークオークカラーのペッカリーのアッパーが使われています。ソールは薄めですが、マッケイ製ではなくグッドイヤーウェルト製です。 ウェストンでもペッカリーを使った靴は製作数が大変少なく、そうした靴は画像7のようにサイズなどは手書き文字になっています。またインソックのスタンプも通常ラインと異なったものになっています(画像8)。このインソックを見たら特別な靴と考えてほぼ間違いありません。 ペッカリーの革は画像6のように微妙な凹凸があり、これが正統派のキャップトゥにもかかわらずエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
グリーン参る
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1970年頃製作 3アイレットダービー KRUGER
本日イギリスから到着した1970年頃製作の3アイレットダービー、クルーガーKRUGERです。インソックはロンドン、ニューヨークの二都市スタンプ。特にスタンプは打たれていませんが、アッパーは象革です。確かに厚い革なのですが、決して固くなく柔軟性があります。腰裏の文字が消えてラストナンバーはわかりませんが、セミスクエアトゥの木型です。 ライニングは前方は布製になっています。 象革は画像7のように格子状の深いシワが入り、表面には小さなポツポツとした凹凸が見られ、どの動物の革とも異なっています。
グリーン参る
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1984-1985年頃製作 ハーフサドルローファー ナイツブリッジ
1984-1985年頃製作のハーフサドルローファー「ナイツブリッジ」です。ナイツブリッジはモンペリエ、ピカデリーと並ぶラインドローファーの代表選手でした。モンペリエよりカジュアルな雰囲気です。アッパーはダークオークのカーフで、ラストはローファー専用の184ラスト。インソックはMADE BY~のロゴで、アウトソールの刻印は小さなブロック体です。 かなり履いたので、ヒールトップを交換し、パイビングも画像7の矢印のように補強しております。
グリーン参る
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1980年代後半製作 フルブローグ・モンクストラップ ピカデリー
1990年、ジャーミン・ストリートのチャーチで購入したフルブローグ・モンクストラップ、ピカデリーです。インソックのスタンプは消えかかっていますが、ロンドン、ニューヨーク、パリの三都市。製作は1980年代後半と思われます。ラストはセミスクエアの73、ウィズはFです。アッパーはダークオークのブックバインダーカーフ。ブックバインダーの質感とマッチしたとても素晴らしい色合いだと思います。 ピカデリーはチャーチを代表する靴です。昔から大変人気があったようで、サイズバリエーションも各店舗で豊富に揃っておりました。 さすがに30年以上履いていますので小さな亀裂がいくつかアッパーにはありますが、まだまだ現役で活躍しています。
グリーン参る
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1990年頃製作のポールスチュアート別注チャッカブーツ、バンバリー
1990年頃製作のポールスチュアート別注のチャッカブーツ、バンバリーです。ラストは細身のラウンドトゥの32です。通常のバンバリーとはいくつか仕様が違い、アッパーが一見カーフのように見えて実はヌバック素材であること、出し縫いのステッチが白い糸であること、ソールは空気を多く含んだクレープソールであることなど特徴があります。おそらくポールスチュアートの注文により、こうした特別なバンバリーになったのだと思います。
グリーン参る
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1988-1989年頃製作 ワイルドスミス別注 タッセルスリッポンダークオーク
1988-1989年頃製作のワイルドスミス別注のタッセルスリッポンです。ラストはレディース専用の233、ウィズがCなのでかなり細い靴です。まずダークオークのカーフの革質が何より素晴らしいです。アウトソールの刻印は大きなブロック体です。インソックはプリンセスアーケードのワイルドスミスのロゴ。 メンズのタッセルスリッポンよりレディースは履き口が広めです。そのためトゥ部分が短くなり、可愛らしい雰囲気が漂います。ワイルドスミスのレディース用別注グリーンは品が良く、かつ足に負担が掛かりづらい丁寧な作りになっています。
グリーン参る
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1990年頃製作 ブリタリアン キャップトゥ OVAL
1990年頃製作のブリタリアンBritaliansネームのキャップトゥOVALです。ヤフオクで入手しました。その名の通りトゥシェイプは卵のように丸いのですが、ラストは分かりません。横から見ると201ラストのように爪先がストンと切り落とされたようになっています。アッパーはほとんど凹凸の無い滑らかなカーフが使われています。正面から見るとアイレットはフレア気味になっています。ヒールカウンターにはキングストンと同じ形状の革が当てられています。製法はマッケイなのですが、ソールには出し縫いの糸が見えない「ヒドゥンチャネル仕上げ」になっています。この靴の評価のポイントは画像5の「キャップ処理の効果の是非」です(プレバト夏井いつき先生風)。よく見るとキャップ②の革の上に①の革を載せて縫い合わせています。そのためステッチが革の左側に一列のみ見えている訳です。画像6がより一層分かりやすいですが、何故こんな面倒な仕様にしたのかは謎です。見た目の美しさにも全く貢献していません(笑)。 ところでこのインソックにあるBritaliansとは、BritishとItalianを併せた造語です。By Edward Greenとスタンプされていますが、見たところ靴はグリーンの工場で作られていないようで、イタリア製作の靴だと思います。腰裏の文字も全くグリーンの職人さんの筆跡と違いますし、アウトソールの革、ヒールトップの処理も全くグリーンとは違います。ブリタリアンネームの靴をどんな店で売っていたのかも私は知りませんし、どういった人をターゲットにして作られた靴なのか、謎は深まるばかりです。
グリーン参る
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アメリカの別注 4
●画像1 ダラスの百貨店マービン・ブラウンの別注。このロゴは婦人用のグリーンに付いていた70年代のロゴ。 ●画像2 アメリカのファッションデザイナー、アレキサンダー・ジュリアンの1990年頃の別注ロゴ。まだこのブランドは日本で展開しているのでしょうか。 ●画像3 ロサンゼルスの百貨店Rosenthal-Truittの別注。1980年代中頃の別注ロゴと思われます。 ●画像4 ハウンド別注。HOUNDというスラングとは異なり、画像5の通り店内は比較的上品です。 ●画像6 ジョージ・デーメン別注。80年代に別注を掛けていたようです。 ●画像7 エドワーズ別注。
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世界の車窓から ~ 他国あるいは出生地不明の別注
●画像1 ベルギーブリュッセルのDEGANDという店の80年代後半の別注です。DEGANDは1983年に創業したメンズファッションのセレクトショップ。「世界最高級の500以上のブランドに別注を掛けている」とのことです。 ●画像2 オーストラリアのメルボルン、LYGON STREETにある創業100年以上の「ワットWATT」というところの別注と思われます(あまり自信ない)。80年代後半の別注のようです。 ●画像3 オランダ・マーストリヒトのSHOES&SHIRTSの別注。同社は1988年創業のセレクトショップで、80年代後半から90年代初期にグリーンに別注を掛けていました。 ●画像4 ジョン・ダニエルズというところの別注。どこの国かも全く分かりません。80年代中盤の別注のようです。 ●画像5 スペイン・バルセロナのBEEのロゴ。90年代前半の別注です。 ●画像6,7 カナダ・モントリオールのル・ウォモのロゴ。二種類のロゴが確認できています。80年代後半から90年頃の別注です。 ●画像8 KIRSCH別注。こちらもどこの国のブランドかわかりませんが、80年代前半の別注です。キルシュという名前からはドイツ風ですが‥‥。酒?
グリーン参る
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明治2年(1869)製作 若狭七寸半 五段重「寒菊」
先月入手した明治二年(1869)製作の七寸半の五段重です。お譲り頂いた方の画像をそのまま掲載させて頂きます。 紐、菜種、松葉を使ったもので「寒菊」という名称の変り塗です。七寸半とやや大型のお重ですが、一段の高さが8センチほどもあり、その高さが実用では使いづらいと思います。蓋は二枚付いており、二段三段で分けやすくなっています。木地は薄くさすがに狂いもありません。二方桟の出来も良いです。若狭塗としては大変珍しいことですが、側面の上塗りがかなり剥がれて下の金箔が露出しているところがあります。 「明治二年巳新調」という箱書がありますので、製作からは160年近く経過していますが湯焼けはほとんどありません。
グリーン参る
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1980年代前半製作 5アイレットホールカット NEWYORKER ニューヨーカー
1980年頃製作の5アイレットのホールカット、ニューヨーカーです。画像8の衝撃的な姿で発見され、「救命救急24時コロニル先生」の力をお借りし、蘇生を試みました。 ラストはセミスクエアの王道73でウィズはF、アッパーはブックバインダーカーフです。アイレットは5つで、前後の間隔を狭くしてノーズを長く見せています。かなりスマートな印象の靴ですが、はたしてニューヨーカーが履くでしょうか? インソックのロゴはロンドン、ニューヨーク、パリの三都市。画像7のようにヒールトップの縁を削って赤く着色しており、三都市時代の最初期の製作だと思います。
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イギリスの別注6
イギリスの別注グリーンのロゴを追加します。 ●画像1 70年代に別注を掛けたアラン・マカフィーのロゴ。この時代はまだチャーチにマカフィーが買収されておりませんので、純粋にこの会社からグリーンへの注文です。 ●画像2 ニューマーケットにあるデパート、ゴールディングのロゴ。80年代前半の別注と思われます。1928年にCoesという会社を興した家族経営のお店のようです。 ●画像3 ロンドンの銃メーカー、ホランド&ホランド別注のロゴ。ここは猟銃メーカーであり、ガルウェイなどのブーツの別注を80年代前半からグリーンに掛けていました。現在のホランド社内の人がその事実を知らずにいて大変驚きました。 ●画像5 ピカデリーにあったアーサー・D・マクラーレンの70年代にグリーンに別注した靴のロゴ。マクラーレンは古くからあるビスポークメゾンですが、画像6は1940年代のこの会社のビスポークロゴです。 ●画像6 エスカイヤ別注のロゴ。80年代中後半にグリーンに別注を掛けていたようです。 ●画像7 チェスターバリーChester Barrieは、英国の既製服ブランドです。1935年、アメリカ人のサイモン・アッカーマンが英国中部のクリューで創業しました。創業者の名前をブランド名としている会社が多いですが、チェスターバリーという名前は、英国の都市名チェスターとピーターパンの著者JMバリーから取られたものだそうです。80年代にはグリーンに別注を掛けていました。 ●画像8 ナイツブリッジにあったブーツメーカー、Kember&Co.の別注。70年代から80年代初めにグリーンに別注を掛けていました。ビスポークメーカーがグリーンに既製靴の注文を掛けていたことが非常に多かったようです。
グリーン参る
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1980年代前半製作 フォスター ビスポークバンチドキャップトゥ
1980年代前半製作と思われるフォスターのビスポーク、バンチドキャップトゥです。小豆色の厚みのあるカーフが使われていますが、とても美しいです。スクエアトゥの奇を衒ったところのない靴です。アイレットはフレアがかかり、オリジナルの靴紐は太目のロウ無し丸紐です。コバがかなり張っていて、ウィールも強めに付けられています。 画像5で分かる通り、履き口内側の革が非常に高くカットされており、足を上手にサポートしています。既成靴ではここまで差を持たせません。ヒールのステッチは比較的広めでさほど細かくはありません。インソックのフォスターのロゴはビスポーク専用のもの。画像7でハンドウェルトの凹凸が見えます。ライニングもアッパーと同じ小豆色のカーフを使っています。アウトソールは厚めのシングルソールです。 「男の仕事靴」という感じがします。
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