歌う哲学詩人ジム・モリソンのこと。

初版 2018/05/12 17:09

改訂 2022/12/20 13:53

こんにちは、あゆとみです。


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THE DOORS 【STRANGE DAYS】 US STEREO EKS-74014 [US盤] | みんなのアナログレコードコレクション by Muuseo

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ドアーズといえば、好きな曲の1つにムーンライト・ドライブがある。


https://www.youtube.com/watch?v=Oa6lAM1l0Hk


(以下、意訳)

月まで泳ごうよ、そうさ
波に乗ってこう
眠りゆく街が覆い隠してく
夜のとばりを貫いていこう


ファンタジックな歌詞に浮遊感のあるキーボード。

PVの影響もあるだろうが、月に向かってゆったり宇宙遊泳をする宇宙服姿の恋人達のイメージを思い浮かべて聴いていた。


これがジム・モリソンが初めて書いた歌詞らしい。

まだ彼の人生が平和だったころ、キーボードのレイ・マンザレクとベニス・ビーチで出会い、ジムがこの曲の歌詞を披露したところ、レイはえらく感動。そこから「バンド組もうぜ」となり、ジムが「じゃあバンド名はドアーズでどう?」となり、残りのメンバーをほどなく見つけたりと、トントン拍子にバンドが結成されたのだとか。


バンド名ドアーズはオルダス・ハクスリーの著書「知覚の扉」からとったという。本の内容をざっくりまとめると、LSDによって人間が本来持っている無限の知覚を解き放てる、という内容の本だそうだ。

以前はただ、なるほどね〜という感じで何気なくインプットしていた情報だったが、調べるにつれ、この「解き放つ」とか「扉の向こう側に行く」というのはジムの生涯のテーマだったのではないかと思えてきた。

代表曲の1つ、ブレイク・オン・スルー(向こう側に突き抜けろ)もその一例だ。


https://www.youtube.com/watch?v=a3iXEPvG_ss



本来、解き放つ、ということは、いまは自由じゃない、囚われの身、ということになる。どうやら、ジム・モリソンは生涯この「囚われている」自分の殻を破ろうと試行錯誤していたようなのだ。


1960年代後半のサイケデリック・カルチャーの寵児であり、ヘロインの過剰摂取が原因で27歳で亡くなるまで、ワイルドな逸話に事欠かなかった、いわゆる「セックス・ドラッグ・ロックンロール」を体現したような存在のジム・モリソン。だが、デビュー前の彼は本の虫であり、実はIQが149もあったり、名門UCLAで学位をとってたり、ニーチェを愛読し、哲学に傾倒していたりの筋金入りのインテリでもあった。


彼の死後に未発表の文章を集めた著書が発行されたが、そのうちの一冊(Wilderness:The Lost Writings of Jim Morrison, Volume 1)に彼の長年の心の葛藤をとてもよく表しているように思う章があるのでなるべく原文に忠実に訳して紹介してみたい。

セルフ・インタビューという題名のつけられた章で、文字通り自分で自分にインタビューする内容になっている。


なぜこんなに気分がすっきりしないのか教えてくれる?なんでこんなに退屈でむなしい気分なのか。なんだって手に入れた後だっていうのにさ。
友よ、答えは簡単さ。自由じゃないからさ。君は囚われている。
でもさ、俺はザ・自由人なんだぜ。やりたい放題さ。どこにだっていけるし、なんだってできる。
違うな。そんなのリアルじゃない。君の自由感は内側からきてない。君の頭が捏造した自由にすぎないんだ。感覚じゃない。概念なんだ。だから君は満たされない。幸福を感じられない。完全体だって思えない。君が感じているのは自由じゃない。頭でそう思っているだけさ。
自由人ってのは、死んでも自由なんだ。一度自由になれたら永遠に自由になれる。生きてる間に自由になれば来世でも自由。今自由じゃないのは、これまで自由だったことがないからさ。
俺には理解できないよ。

と、こんな感じで延々と、本当の「自由」についての自分との対話が書かれているのだ。結論が出ているわけではないので、もう少し彼が長く生きていたら、1つの章で終わらず、一冊の本になっていたことだろう。


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ジム・モリソンはドアーズの成功によって、確かに富も名声も手に入れたし、自由奔放に生きていた印象がある。だがこの「囚われている」感はずうっと彼の頭から離れなかったようだ。一体なぜなのだろう。原因を探るために彼の生い立ちもみていこう。


ジム・モリソンの父親は海軍少将という軍エリートで、ジムは裕福な家庭に生まれた。その一方で、非常に厳格なしつけの元に育てられた。暴力でのお仕置きとかは一切なかったが、子供が泣くまで延々と口で責めるしつけ法だったらしい。

富も名声もある偉大な父親からの厳しいしつけ。

成長するにつれて父と息子の間に確執が生じることが容易に想像できる。

ひょっとしたらジム・モリソンが自由になりたかったのは、幼少期に抑圧しなければいけなかった自分自身の記憶とか、互いをうまく表現できずにぶつかりあっていた父親への愛憎入り混じった想いだったのかもしれない。


ドアーズのデビュー後、ジムは父親にCDを送った。ジムが表紙のファースト・アルバムだ。

https://muuseo.com/k-69/items/703#!page-2

The Doors / The Doors (No.42) [1967年のアルバム] | みんなのアナログレコードコレクション by Muuseo

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初めてのアルバムで、全米2位の快挙。本来なら諸手を上げて大喜びしたり、お祝いパーティを開いたりしてもいいくらいだろう。

ところが、電話で父親は「お前に音楽の才能はない。他の道に進みなさい。」と言い放ったらしい。ジムとしては、愛憎交えども、尊敬する父親に少しでも認めて欲しかったから送ったアルバムだし、シンプルに「よくやった」という一言が欲しかったのだと思う。ジムはとことん傷つき、以降、死ぬまで父親と絶縁状態を貫いた。


ーと、ここまで読むと、まるで愛のない冷たい父親のようだが、ジムの死後に彼が受けたインタビューを見てみると、ひどく不器用な昔気質の人物像が見えてくる。

https://www.youtube.com/watch?v=zcTCREfM67s


もっとも、ジムの父のスタンスは当時から変わらない。ジムの歌については「正統派かどうかの視点からみれば才能ないでしょう」と言い切っている。「でも、パフォーマンス力はあったと思う。」と、認めるところは認めているのだ。そこのところをジムに伝えることができていたらジムの中でまた何か変わったのかなあとも思う。


父親の本音が一番感じられたのは、ジムの墓石に彼が選んだ言葉にある。(オリジナルはギリシャ語)


True to His Own Spirit.

己の心に忠実。


これを読むと、彼はちゃんとジムを彼の生き方を評価していたのだ、のだとわかる。

彼なりに等身大のジムを認めていたのだ。

繰り返すようになるが、生前その思いをジムに伝えることができなかったのがただただ切ない。


アメリカでのドアーズのフロントマンとしてのキャリアに背を向け、自分の本来やりたかった執筆活動に集中するためにガールフレンドとともにパリに移住したジム・モリソン。死ぬまでのたった4ヶ月間の新生活は楽しかったのだろうか。

至福を感じたのだろうか。

死ぬ前に「自由」を感じることができたのだろうか。


https://muuseo.com/amdati72/items/91#!page-2

The Doors 「Absolutely Live」 [音] | みんなのアナログレコードコレクション by Muuseo

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yodiyuki


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    揖斐是方

    2021/04/13

    没後半世紀の今年、おそらく日本以外の全世界でモリスンの静かな輪廻が再開されると思います。今日死んだ母親は、何故自分の弔いに嵐をこえてを流してといっていたのか。人生という嵐のなかを駆け抜けて行くライダーたち、人間とはそんな嵐を通り抜けた時にこそ、魂は急速に自由を獲得するのかもしれません。

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