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Longines マスターコレクション190周年記念モデル L2.793.4.73.2
スイス・サンティミエにて1832年に創業し、以来航空時計やスポーツ計器等幅広い成果よって時計の歴史に名を残してきたロンジン。その190周年を記念して発売されたのが本品である。 同社の代表的なモデルである「マスターコレクション」をベースに、アーカイブから発掘された懐中時計等のフォントの意匠を取り入れた。 文字盤はシルバーカラーだが、サンドブラスト仕上げのために光の受け具合でグレーにもブルーにも移ろう。そこに刻まれる数字は手彫りではなく、なんと80分をかけて機械彫りされるというのだから驚きである。 ロンジンのロゴは筆記体の復刻ロゴで、手元の懐中時計(ムーヴメント1934年製)と比しても同じであることがわかる。青焼き針も非常に美しい。 裏はシースルーバックで、美しい仕事が見られる。 ケース直径40ミリ、厚さ9.35ミリと取り回しがよいのも素晴らしい。 これだけの仕事を詰め込んで、50万円を超えない価格というのは信じられないことである。 過去の模倣でもなく、いたずらに流行に流されることもない、ロンジンの確かな哲学を感じられる1本である。
腕時計(自動巻) ロンジン 2023年蒼樹たけ
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SEIKO PRESAGE SARW035
服部時計店を前身とする日本時計の雄、SEIKOが作り出した伝統的な琺瑯(ホーロー)を素材としたモデル。 琺瑯は戦前の時計の文字盤に使われ、艶やかな白は100年を経た今日も色褪せないという抜群の耐久性を誇る。これは素材となる金属の地に釉薬を吹き付けて焼成することで出来るが、時計の文字盤には凹凸があり、液状の釉薬が溜まってしまい均一な吹き付けが困難という問題があった。それを実現したのは富士琺瑯工業つくば工場の琺瑯職人 横澤満氏の技術によるところが大きい。 本品はそうした琺瑯の地に、精工舎が1896年に発売した初の国産懐中時計「20型タイムキーパー」の文字盤をあしらってしまった。これにブルースティールの針というのだから実に美しく完成されていると思う。 過去と今、そして未来へと続くSEIKOの歴史が詰まった逸品であろう。
腕時計(自動巻) SEIKO 2019年蒼樹たけ