Cine-NIKKOR C 13mm のこと
初版 2022/12/09 21:30
改訂 2023/09/07 20:29
13mm-f1.9 とスペック的にはなんの変哲もなく、一般的な8mmカメラ用標準レンズです。でも、その佇まいに惹かれるというか、どうも好きなんです。
Cine-NIKKOR C の ’C’ はカラーフィルム用のことでしょう。フィルムが白黒からカラーへの過渡期、このレンズ ’カラー用だぜ’ と赤字で主張しています。カラーフィルムが普通になり、後年タイプの黒鏡胴 Cine-NIKKOR 13mm には ’C’ はなくなります。
デザイン的には、しぼり値を直観的に表現した ’SUMMER-WINTER/DULL-HAZY-BRIGHT’ の表記など、小さな体に、たくさんの文字が彫られているとこもグッド。
体積的には、ヘリコイド搭載のDマウントレンズでは最小クラスというか、ミニマムですね。たぶん。それでいて、それなりに重みを感じます。
*下記⑤追加にともない、内容更新。
下記写真 左から
①Cine-NIKKOR-REVERE C
②Nippon Kogaku Cine-NIKKOR C
③Nippon Kogaku Cine-NIKKOR C
④WOLLENSAK-REVERE CINE RAPTAR
全て、ブルーまたはパープルの低反射コーティングが施されています。
⑤WOLLENSAK CINE VELOSTIGMAT f1.9
焦点距離の表記はないが、13mm程度。ノンコート仕様。
①のCine-NIKKOR-REVERE C はREVERE 8mmカメラ用に供給していたもので、-REVERE が表記され、代わりに Nippon Kogaku の表記はありません。なんとなく残念。
REVERE 8mmカメラは国産カメラよりも古く、①は瓜生精機8mmカメラよりも前から輸出用として作られていたものと推察。また、シリアルナンバーが8桁もあるものがあり、後年になって国内用と区別するためなのかと妄想。
Cine-NIKKOR C 13mm-f1.9 は瓜生精機が1955年(昭和30年)に製造した国産初の8mmカメラ Cinemax 8 に搭載されていました。
②のCine-NIKKOR C は絞りリングの上側(レンズ先端側)にクビレがあります。やはり、クビレはあるほうが好き。
デザイン的なマイナーチェンジとして、①よりレンズ先端の直径が大きくなりました。フィルター径は同じ。
下記写真 左は①、右は③ 先端部の直径が違います。
③のCine-NIKKOR C はデザイン的なマイナーチェンジがあり、②にあったクビレがなくなる。ちょっと残念。
よく見ると、フォント文字の太さにも違いがあります。
下記写真 左は②、右は③ クビレ有り無しの違い。
④のWOLLENSAK-REVERE CINE RAPTAR は WOLLENNSAK が REVERE 8mm用 に供給した標準レンズです。レンズ構成(4群4枚 ペッツバール型)同じで、大きさや恰好といい、 ①のCine-NIKKOR-REVERE C を真っ黒にしたようなやつ。
文字の向きやローレット加工に違いがあります。また、しぼりのクリック感や ’SUMMER-WINTER/DULL-HAZY-BRIGHT’ の表記などもありません。
古さでいえば、この④はCine-NIKKOR C より古いように見えます。そうであれば、WOLLENSAK 純正で、この後、Nippon Kogaku がライセンス生産したともいえます。んーよくわからない。
ここまで書いて思ったのは、Cine-NIKKOR C は WOLLENSAK 生産で Nippon Kogaku にOEM供給したもの?当時の為替レートを考えると、これはありえないか。
下記写真 左は①、右は④ どちらもREVERE向けですが、見た目の印象は全然違います。まっ黒もイケてます。
⑤のWOLLENSAK CINE VELOSTIGMAT はこの中では最も古く、RAPTAR 以前の VELOSTIGMAT ブランドで、ノンコート仕様です。おそらく1940年代のものです。
時系列で考えると、この小っちゃいペッツバールレンズ、WOLLENSAK が Nippon Kogaku に生産ライセンスを与えたんだという構図がしっくりきます。
国産初8mmカメラ Cinemax 8 に Cine NIKKOR C が搭載されていたので、⑤は国産Dマウント標準レンズの始祖になる?。
それにしても、よくぞこんなに小さなレンズを作ってくれました。ありがとう、ニコン&ウォーレン。他にも’ココが違う’’アソコが違う’などあるかも知れません。何か発見があれば、更新いたします。→⑤を追加で内容更新。