これがないと始まらない、マウントアダプター
初版 2022/11/14 22:07
改訂 2022/11/24 14:52
ムービーカメラ用の歴史は古く、手持ち可能なカメラでも、120年以上の歴史でしょうか。様々なカメラ・レンズメーカーから色んな規格のものが世に出ています。ユニバーサルマウントとして、9.5mmや16mmムービーカメラ用の’C-mount’、8mmムービーカメラ用の’D-mount’があります。(長い期間、色んなメーカーが作っていますので、ちょっと違う、なんてこともよくあります。)
ビデオカメラが普及した後、これらのレンズは死んだ状態で、普通の市民は知らない、気にも留めない存在になっていました。
2008年にマイクロフォーサーズ規格ミラーレスデジタルカメラがパナから発売され、Cマウントアダプターがすぐに開発され、再び日の目を見ることができました。2011年には、PENTAX Qが発売され、8mmカメラ用 Dマウントレンズも楽しめるようになり、一般家庭のどこかに眠っていたものが出回っています。
余談
Cマウントレンズがデジタルカメラで使えるとわかってからしばらくは、世界中のBOLEXやFILMOを扱うカメラ店からレンズが消えるほどのパニック状態で価格も沸騰しました。まさにバブル。
主なシネ用のマウントデータ 単位(mm)
マウント フランジバック長 マウント径 備
D 12.29 15.8 スクリューマウント
Canon C-8 約13.5 約13.6 バヨネットマウント
BH 14.85 約19 スクリューマウント
PentaKa 8 約15 約17.9 変則スクリューマウント
BOLEX H8RX 15.305 25.4 スクリューマウント
NIZO D 約15.5 15.8 スクリューマウント
C 17.526 25.4 スクリューマウント
MOVIKON 16 約18.7 約30.4 バヨネットマウント
CAMEX 8 約26 約20.4 バヨネットマウント
KODAK S 約39.5 約34.8 変則スクリューマウント
C-M4/3 アダプター
CマウントのフランジバックはM4/3機より短く、カメラ側にオフセットしたヘンテコなアダプターです。慣れてしまい、今では普通のアダプターに見えます。
市販品がたくさんあり、間口が広い方が適応するレンズが多くなります。薄手のものがカメラによく似合います。また、オーバーインフ量も色々で、0.5mm以上の極端なものは別の使い方で重宝します。
C-Fuji X アダプター
より間口が広いものがGOOD。M4/3機でつかえなかったレンズが使えたりします。
C-M4/3 アダプター ステップ付きレンズ対応 自作
古いタイプのFILMO用Cマウントレンズには、時々マウント根元にステップがあることがあります。このステップが曲者で、アダプターに装着した時、干渉して最後までねじ込めないことが多々あります。当然、無限遠が出ず、寄った状態になる。
このステップ、削って落とせばいいんですが、オリジナル状態を優先するためにアダプターを加工しました。アダプターの開口部を広げ、Cマウントのメスネジで挟んで固定します。
C-Q アダプター
市販品がたくさんあります。
D-Q アダプター
市販品がたくさんあり、オーバーインフ量も色々あります。当たり外れは使ってみるまでわからない。
BOLEX H8RX-Q アダプター
BOLEX H8RX のレンズはCマウントと同じスクリュー径ですが、フランジバックが2.2mmほど短い。
BHマウントやNIZO Dマウントのフランジバックと近似のため、これら用のレンズをCマウントへ変換し、Q機で使えたりします。
D-Cアダプター
Cオスネジ、Dメスネジが切ってあるだけのもの。ひとつあれば重宝します。
BH-Q アダプター 自作
D-Qアダプターをベースにマウントを固定した自作アダプター。
3Dプリンターで作製したようなプラスチックアダプターがあり、加工しやすい。
NIZO D-Q アダプター 自作
D-Qアダプターをベースにマウントを固定した自作アダプター。
3Dプリンターで作製したようなプラスチックアダプターがあり、加工しやすい。
KODAK S-C アダプター
KODAK SPECIAL などの16mmムービーカメラはコダック特有のSマウントです。Cマウント変換アダプターが準備されていました。(ちなみに、KODAK S をKODAK M へ変換するアダプターもあります。デジカメでは使用困難ですが。)
軽量なアルミ合金製や重い真鍮製、位置決めピンの受け穴が1穴、2穴、4穴、6穴など、コダック純正やサードパーティー製など色々あります。
位置決めピン受けは一般的には4穴で、古いタイプのアダプターには1穴、2穴のものがあります。マウントの特性上、レンズにある指標が真上に来ないことが多く、位置決め穴が多い方が使い勝手はよいです。
Pentaka 8-C アダプター 自作
Pentaka 8マウントをCマウント(ボディキャップなどを加工)へ固定した自作アダプター。
Movikon 16-C アダプター 自作
Movikon 16 マウントをCマウント(ボディキャップなどを加工)へ固定した自作アダプター。
Movikon 16-M4/3 or Fuji X アダプター 自作
Movikon 16 マウントをM4/3-CまたはFuji X-C アダプターとCマウント(エクステンションチューブなどを加工)で挟んで固定した自作アダプター。
Canon COUPLER-D・C Canon C8-D アダプター
Canon純正カプラー。Canon特有8mmカメラマウントのレンズをDマウントへ変換できるアダプター。
手順として、レンズに付けられている傾斜カムを引いて取り外してから、カプラーをはめ、レンズ側マウント部を回し固定します。
純正品はめったに見つけられませんが、一つあれば、重宝します。
CAMEX 8-C アダプター 自作
CAMEX 8 マウントをCマウントへ変換するアダプターで、レンズへはネジで固定します。苦肉の自作アダプターです。
C-D アダプター
使用頻度は少ないですが、こんなのもあります。
L39-C アダプター
ライカLマウントレンズやM39 ENLARGINGレンズをFILMOやBOLEXへ取り付けられるアダプターですが、デジカメ撮影においては、特に役立たない。
Cマウント用エクステンションチューブ、C-CSアダプター、スペーサなど
Cマウント化した後、フランジバック調整などに役立ちます。
禁断の多重アダプター遊び
何段までできるのか、手持ちアダプターを重ねてみました。
CONTAX C-L39+L39-C+C-D+D-Q で、アダプター4重ですね。これで出かけることはありませんけど。
マウントアダプターが市販されていないマイナーマウントレンズやレンズヘッド状態のレンズ、古いカメラからサルベージしたレンズなど、どうにかして復活させたいという変態チックな欲求があります。そういったレンズで現代の光を撮影できるようになったとき、ちょっとした達成感が味わえて楽しい気持ちになります。家族も犬もほめてくれない、自己満足なんですが・・。