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人工結晶 チェルミガイト(Tschermigite)
別名:アンモニウム明礬、Ammonium Alum 産地:日本(自作) アルムNa(*1)を作るのに使用した市販の漬物用アンモニウム明礬を再結晶法で結晶化させた。 クロム明礬の模造品として人工的に紫色に着色された結晶が売られていることがある。 天然には褐炭(亜炭)層、瀝青質頁岩、噴気口、石炭の隙間などで八面体結晶の他に霜柱様の柱状結晶として見つかり、その高い水溶性によって乾燥した条件下でもない限り長期的に存在できない。 1852年にボヘミアの北ボヘミア褐炭盆地にあるTschermig村(現在のチェコ共和国Chomutov地区Čermníky(ドイツ語名Tschermich))にて発見され、鉱物名もそこから付けられている。 1968年に村はNechraniceダムの底に沈んでしまい、現在では廃村となっている。 チェルミガイトは12水和物であるが無水物鉱物としてゴドヴィコバイト(Godovikovite)が存在し、石炭廃棄物を焼却した際などにも生成されることがある。 2021年作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 鉱物標本 1.5~2たじ
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貝殻標本 ハスノハカシパン(Sand dollar)
学名:Scaphechinus mirabilis(A. Agassiz, 1863) 採集地:千葉県、館山市、沖ノ島 ウニの中でもやや五角形で平べったい形をしたカシパン類と呼ばれる種類の1つ。日本の北海道南から九州、朝鮮半島の浅瀬に生息する。 普通のウニの口が下部中心に、肛門や生殖孔が上部の真ん中に有るのに対して、カシパンの口と生殖孔の位置は変わらないものの、肛門は体の後方、側面付近に有る。 ハスノハカシパンの名前の由来は体の下部にある模様が蓮の葉に似ているためである。 見た目が似ているものでハイイロハスノハカシパンがおり、こちらは肛門が上面寄りに存在するため最初はこちらと迷ったが、ハイイロハスノハカシパンの生息域は東北北部から北海道にかけてと採集地と被らないことと、まだ小さくて若いハスノハカシパンの個体だと肛門がやや上面寄りになる…らしい、のでハイイロの方ではないと判断した。 2021年4月末、千葉県、沖ノ島の砂浜にて採集。
貝殻 2021年4月 棘皮動物門 ウニ綱たじ
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貝殻標本 ムラサキウニ(Purple sea urchin)
和名:紫海胆 学名:Heliocidaris crassispina (A. Agassiz, 1863) 採集地:千葉県、館山市、沖ノ島 ウニを想像するとまず思い浮かぶ黒く長い棘を持った種。クロウニとも呼ばれ、日本では生殖嚢が食用になる。 日本海側は青森県以南、太平洋側では茨城県以南から中国南東部沿岸や台湾までの潮間帯から浅海の岩礁等に生息する。 海藻類を好んで食べるため、養殖昆布の食害が起こることもある。寿命は9年程らしい。 2021年4月末、千葉県、沖ノ島の砂浜で採集。
貝殻 2021年4月 棘皮動物門 ウニ綱たじ
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貝殻標本 コモンダカラ(Gnawed Cowry)
和名:小紋宝貝 学名:Naria erosa(Linnaeus, 1758) 採集地:千葉県、館山市、沖ノ島 4月8日は 四+八=貝 ということで貝の日らしい。ということで漢字の「貝」の字の元になり、世界各地で古代の通貨としても用いられたタカラガイを投稿。 生前の姿はカタツムリに近く、外套膜で包まれたこの貝殻を背負って浅瀬の底を這っている。 本標本のコモンダカラは殻の背面に白色と褐色の小さい紋が多数ある。オミナエシダカラと似ているが、コモンダカラは殻の側面に褐色で四角い大きい斑点が1個ある。また、開口部左右に14~16本の歯があって、褐色斑点の無い側の歯は側面まで達する。 房総半島以南から西太平洋、インド洋の潮間帯の岩礁に生息する。 2019年夏に千葉県館山市のJR館山駅から自転車で15分程漕いだところにあるビーチコーミングで有名な沖ノ島で採集。表面が削れて紫色の地が出てしまっているものが多かった中で本標本は比較的状態がマシであったものである。
貝殻 2019年 軟体動物門 腹足綱たじ
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鉱物標本 カーネリアン(Carnelian)
別名:紅玉髄 産地:India 石英の変種であるカルセドニー(玉髄)の中でも含有する水酸化鉄により赤色に発色したもの。サードニクス(紅縞瑪瑙)ほど縞模様が強くなく、レッドジャスパー(赤碧玉)ほど不透明ではない(*1)。古くは古代エジプトの装飾品としても利用されてきた。 語源についてはwikiにはその色からラテン語で肉を意味する"carnis"に因むと記載されているが、他の文献でセイヨウサンシュユ("Cornelian" Cherry)の赤い実に由来するとの記述もあった。こちら実の場合であってもその語源は"carnis"だと思うのでwikiの情報は間違ってはいないと思う。 2010年代に科博の売店で購入。産地はインドとしか記載がないが、カルセドニー産地であるグジャラート州辺りかなと思ってる。 *1:レッドジャスパー →鉱物標本 レッドジャスパー自主採集/研磨品(Red Jasper)
鉱物標本 6.5~7 蝋光沢、樹脂光沢たじ
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人工結晶 アルムK(Alum-(K))
別名:明礬、カリ明礬、白礬、Potassium Alum 産地:日本(自作) 小学校の夏休みの自由研究の定番?のミョウバンの結晶。鉱物名はアルム。硫酸カリウムと硫酸アルミニウムの複塩で、カリウムがナトリウムに置換したものはアルムNa(*1)、アンモニウムならばチェルミガイト、タリウムならばランムチャンガイトという鉱物になる。また、アルムは12水和物であるが、11水和物の希少鉱物としてカリナイト(Kalinite)が存在する。 古代から媒染剤や防水・消火剤、皮なめし剤、水質浄化のための沈殿剤、食品添加物、止血剤、殺菌等々多くの用途で重宝されてきた。 日本では1664年に渡辺五郎右衛門が豊後国鶴見村(現在の大分県別府市鶴見)の温泉を利用して鉄分を含んだ青粘土(スメクタイト)上に湯の花(ハロトリカイト、Fe2+Al2(SO4)4・22H2Oやアルノーゲン、Al2(SO4)3・17H2O)を成長させて採集し、これに灰汁(カリウム)を加える方法でミョウバンの製造に成功させた。しかし製造には広い土地を要した上、設備の維持管理が大変なため採算が取れずに廃業してしまう。後に脇屋儀助が幕府との協議で輸入品の明礬を駆逐して専売状態にすることで国産品が国内に流通するようになった。ただこれも明治になり、海外から安価な代替品が輸入されるようになったことで温泉を利用した国内生産は終わってしまった。 本結晶は薬局で市販されているミョウバンを再結晶して作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 2 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 レッドジャスパー自主採集/研磨品(Red Jasper)
別名:赤碧玉 採集地:千葉県、稲毛海岸 レッドジャスパーと記載したが、人によってはチャートと判断する方もいるはず。 ジャスパーもチャートも主成分は共にSiO2、更に色が赤ならば基本的にはどちらも酸化鉄(赤色)や水酸化鉄(褐色)に由来のため、化学組成だけならば実質同じである。 その違いは成因で、レッドジャスパーが酸化鉄を含む地層の隙間にケイ酸分が浸透充填して生じた玉髄(潜晶質石英)の一種であるのに対して、赤チャートはフズリナ等のケイ質殻を持つプランクトンの死骸が含水酸化鉄と共に堆積して出来た堆積岩の一種である。そのため両者のの性質性状には若干異なる傾向が現れるが、実際のところ鉱物としての明確な境界は無い。 本鉱の場合は ・研磨は比較的容易(チャートだと火打石として用いられる程硬くて磨くのが大変)。 ・脈は多め。色は無色透明が主で、堆積性よりも浸透性の印象。 ・採集場所で瑪瑙も拾える。 等の特徴から判断してレッドジャスパー寄りに推測してる。 レッドジャスパー自体は古くから世界中で御守りとして用いられており、13世紀のドイツの神学者Albertus Magnus(大聖アルベルト)も自身の著書である『鉱物書』にて「太陽のエネルギーと共鳴することで大きな保護力を与えるクリスタル」と記しており、現在でもパワーストーンとして「身心の安定性を保つ」等の効果で紹介される。国内の産地としては新潟県佐渡地方で採れる「赤玉石」が有名。 本鉱は2019年に千葉県稲毛海岸にて拾ったもの。稲毛海岸は検見川浜から幕張海岸にかけて東京駅から電車で一時間もかからないビーチコーミングスポットである。今回のジャスパーや瑪瑙の他に貝化石なども打ち上げられるため、拾う事が出来る。
鉱物標本 6.5~7 ガラス光沢,、蝋光沢,、脂肪光沢,、絹糸光沢、無光沢たじ
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鉱物標本 マラカイト(Malachite)
別名:孔雀石、岩緑青 産地:Democratic Republic of the Congo 緑色の顔料として、そして宝飾品としても紀元前から利用されてきた銅の二次鉱物。銅の青錆(緑青)と同じ化合物である。名前の由来はゼニアオイ"μαλαχή"の葉の緑色に例えられて古代ローマの大プリニウスに記述された所まで遡る。仏頭状に産することの多い本鉱は研磨すると同心円状の孔雀の羽のようなな模様が現れるため、日本語では孔雀石と呼称される。 研磨品は紀元前2000年頃の古代エジプトで既にラピスラズリ(青)や紅玉髄(赤)などと共に装身具に用いられた。また、その防虫性からクレオパトラがアイシャドーとして利用していたエピソードも有名である。 また、緑色顔料としても古代から利用されてきたこの緑青だが、実は粉砕して粒度を細かくすると鮮やかさが失われ白っぽくなってしまう欠点が広く知られていた。そのため良品は水で何度もデカンテーションして粗めの粒度のものに揃える等の手間が必要であったそうだ。 よく緑青は猛毒だという迷信があるが、国内の大学や国の研究機関も調査しており、緑青そのものの毒性は他の金属と同程度(もちろん人体にはあまり良ない)という結論が得られている。迷信の理由は選鉱技術が未熟だった昔、銅ヒ酸塩鉱物の混入によってヒ素中毒が発生したためだとする説が有る。 本標本が採掘されたコンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)は東部国境地帯を大地溝帯に接しており、金、銀、銅、鉄、マンガン、コバルト、石炭、その他貴金属から放射性元素まであらゆる鉱物資源の産出量が世界トップレベルの資源大国である。これらは同時に紛争鉱物として国内の政情不安定化を招いたり、採掘されたウランが広島原爆に用いられたり等、人間社会に負の影響も与えてきたのだが。 閑話休題、大地溝帯という特殊な環境も相まってDRC南部には隣国のザンビアにまたがるカッパーベルトと呼ばれる広大な銅鉱山地帯が広がっている。このカッパーベルトの起源は今から38億~25億年前の太古代まで遡る。当時の海はまだ60~120℃と煮えたぎっており、陸地もほとんど存在ぜす、ようやく地殻がプレートとして別れ始めて原初の生命が細菌や古細菌等に分化し始める時期でもあった。カッパーベルトはそんな原初の地球にあった数少ない陸地の海岸線沿いに銅鉱物が堆積していったことで出来たらしい。DRCのマラカイト含む銅鉱物はそんなカッパーベルト産のものが多いのだが、本標本はDRC産としか記載されていないため実際にDRCの何処で採れたかは不明である。 2010年前後、科博にて購入。記憶が正しければ鉱物標本という形で私が初めて購入したものだったはず。
鉱物標本 3.5~4 金剛光沢、ガラス光沢、絹糸光沢、無光沢、土光沢たじ
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鉱物標本 フローライト(Fluorite)
別名:蛍石、Fluorspar 産地:Rogerley Mine, Rogerley Quarry, Frosterley, Stanhope, County Duram, England, UK おそらく最もメジャーな蛍光鉱物。通常は八面体結晶やその塊状として産出し、加熱もしくは摩擦により発光することから和名で蛍石と呼ばれる。英名は1797年にCarlo Antonio Galeani Napioneによって製鉄の融剤(spar)として用いられたことからラテン語の流動(fluere)に因んで命名。また、フッ素元素(fluorine)や蛍光(fluorescence)もフローライトの名前に由来して付けられた。 良く蛍光として見られる青く発光するものはドーパントとして含まれる微量のエルビウムによるものらしい。他にも有機物により白色発光するものや赤色に発光するものもあるそうな。 実は水にわずかにだけ溶解するらしい(0.016g/L, at 18℃)。 このフローライトは2019年夏の科学技術館で開催された博物館ふぇすてぃばる!で購入したロジャリー産のもの(ブースの人いわく)。 #鉱物
鉱物標本 4 ガラス光沢たじ
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人工結晶 ピペリン(Piperine)
香辛料でお馴染みのコショウに含まれる辛味成分アルカロイド。1819年にHans Christian Ørstedによりコショウの実から発見。なお、紫外線が当たるとE,E体のピペリンから異性体であるZ,Z体のシャビシンに変化してしまう。 web上のブログにあった抽出実験の記事を参考に家庭でも出来るレシピに魔改造。ギャ○ンのブラックペッパー1瓶使って強引に抽出・再結晶をしたら想像以上に綺麗な結晶が出来てしまった。 2020年作成。 #結晶
アルカロイド C17H19NO3 1.193たじ