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Ectillaenus giganteus
本種はフランスのほか、スペインやポルトガルでも産出する。 イベリア半島一帯から広く産出するといってもいいだろう。 私はあのへんのものはフランス産で集めたいと思っているので、手頃な標本が入手できたのはよかった。 それともうひとつ、この標本のいいところは、目の存在が確認できることだ。 だいたいにおいて自在頬が欠けている標本が多いので、いったい目があるのかないのか明確でなかったが、これを見てギガンテウスには目があることがはっきりした。 ちなみに、チェコで産出する近縁種の Ectillaenus katzeri だが、こちらは確かに目がないので、盲目三葉虫の仲間に入れてもいいだろう。 英国の Ectillaenus perovalis も調べてみたが、これは目があるのかないのかはっきりしなかった。 全長:61mm
Unknown MORD Bain de Bretagne, Francektr
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Pliomera fischeri
これは二代目のプリオメラで、当初からかなりアラが目立った。 しかし、これ以上に姿勢のよい、頭部の造作が理想的な、ハイポストマまでついた標本はなかなか見当たらない。 このプリオメラという種類は、かつてはそれなりの数が出ていたのに、最近ではふっつり見かけなくなった。 今後はどんどん稀少になっていくのではないか。 本標本は一見ぼろぼろだが、その目をルーペで見ると、微細な複眼の構造が保存されてる。 これもやはり私がこの標本を手元においている理由のひとつだ。 というわけで、いろいろと見どころの多い標本であることは確かだが、やっぱりどうしても気になるのはその全体のくたびれ具合と、母岩から外れている点だ。 これはまあ、諦めるしかないですね。 全長:40mm
Unknown ORD Russiaktr
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Dactylioceras sp.
私が最初に手に入れた化石が本種なので、懐かしさもあって購入してみた。 かつて手に入れたものはノジュールを割っただけのもので、母岩に眠るような格好で入っていたが、今回のものは母岩側も掘り出してあって、独立した標本になっている。 あの硬い母岩をよくここまできれいに取り除いたな、と感心するが、最近は機材の進歩がすさまじく、こういうかつてはできなかったような剖出も可能になったんだろう。 そんなわけで、片面は金属光沢をもち、反面は艶消しの質感をもつ、一種アンドロギュノス的な標本に仕上っている。 アンドロギュノスといえば、Androgynoceras という名前のアンモナイトがあって、これも美しいので人気があるが、いったいどうしてこういう名前になったのか、興味がある。 全長:45mm
Unknown Jura, Lias Whitby, Yorkshire, UKktr
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Perisphinctes sp.
化石集めの初期に購入したもの。 そのころは室内装飾に凝っていたので、なにか飾りになるものというのでこれを手に入れた。 保存はあまりよくないが、165㎜というサイズは装飾品としてはじゅうぶんだろう。 これを買ったころはペリスフィンクテスという名前で出回っていたが、いまはもしかしたら名前が変っているかもしれない。 しかし正式名称はどうあれ、一般的には「マダガスカルの白いアンモナイト」といえば本種を指す。 多産する種類で、もちろん値段は安いが、形としては数あるアンモナイトのうちでも優美な部類に入ると思う。
unknown Jura Tulear, Madagascarktr
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Cyphaspis ceratophthalma
意外なことに、これが Cyphaspis の模式種らしい。 買った当時はそんなことはまったく意識しなかった。 アイフェルという古典的産地に対する憧れだけで買ったようなものだ。 いまでもアイフェルに対する憧れはあるけれども、それを満たしてくれる標本に出会うことはない。 もしかしたら本種が私の唯一のアイフェル標本になるかもしれない。 そう思うと、これは大切にしなければという気になってくる。 本体サイズ:トゲ込みで23㎜
unknown MDEV Gerolstein, Germanyktr
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Cupulocrinus sp.
オルドビス紀オンタリオ産のウミユリ。 詳しいことはわからないけれども、おそらくそれほどレアなものではないはず。 佇まいは前に登録したウミリンゴとよく似ている。 咢の部分がややつぶれ、羽肢もややばらけているが、全体としてはほどよく保存されている。 ウミユリはその名のとおり植物にも似ているが、私にとって魅力的なのはその動物的な部分、端的にいえばエイリアンを思わせる体制にある。 この動物的でもあり植物的でもあるところがウミユリの最大の魅力ではないかと思うが、どうか。 サイズは本体約120㎜。
unknown ORD Ontario, Canadaktr
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Heliolites sp.
ヘリオリテスは床板サンゴの一種で、和名を日石サンゴといい、日本でも産出する。 現生のサンゴを見慣れた目で見るとサンゴには見えないかもしれないが、ハチノスサンゴにしろクサリサンゴにしろ、化石種のサンゴはだいたいこんな感じの形状だ。 本種はゴトランド島のサンゴの化石の見本として、唯一手元に残ったもの。 見本としてなら、大きくてりっぱなものより、こういう小さいもののほうが扱いやすいが、やっぱりどこか貧相な感じは否めない。 サンゴ、腕足類、コケムシなどは、多くの種を絶滅させながらも、綱レベルでは三葉虫時代から現在まで生きながらえているわけで、その生命体としての強さは驚異的だ。 標本サイズ:75㎜
unknown SIL Gotland, Swedenktr
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Stromatopora sp.
ストロマトポラは和名を層孔虫といい、さまざまな形の群体を形成する。 このゴトランド産のものは、ヘルメットを何層も重ねたような構造で、当地では catskull と呼ばれている由。 これほど見た目がつまらない化石も珍しいと思うが、私はどういうわけかこのつまらなさに惹かれるものがあって、ゴトランド産の各種サンゴ類がことごとく放出の憂き目に会うなかで、なんとか手元に残った数少ないもののひとつ。 これを眺めていると非常にリラックスできる。 この安心感は、これが形状的に胎内回帰の夢を孕んでいるからだろうか。 サイズは幅7㎝ほど。
unknown SIL Gotland, Swedenktr
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Nobiliasaphus nobilis
バランドとブロンニャールとに導かれて、だいぶ前から気になっていたもの。 産地はフランスのレンヌの南にある St. Aubin des Château で、時代はオルドビス紀(Darriwilien)、本体サイズは65㎜。 これを購入したいきさつその他については LAB のほうにだいぶ書いたので、ここでは繰り返さない。 あれだけ騒いでおいてかんじんの標本を出さないのは不都合のような気がするので、とりあえず写真を撮ってアップすることにした。 こんなもので騒いでいたのか、とどうぞお笑いください。 私を惑わす元になったバランドの Opsimasaphus nobilis とブロンニャールの Ogygia guettardi の画像もついでにアップしておきます。
unknown ORD South of Rennes, St. Aubin des Chateau, Francektr
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Colpocoryphe rouaulti
カリメネ家の三兄弟である Neseuretus、Salterocoryphe、Colpocoryphe は、いずれも欧州や北アフリカで産出する一般種だが、私はこの三つはフランス産で揃えたいという願望がある。 なぜかを書き出すと長くなるのでやめておくが、今回の Colpocoryphe はフランスの Massif Armoricain というところで採れたもので、モロッコ産かと見まがうほど保存がよい。 サイズも37mmとまずまずの大きさだ。 なによりも顔つきが愛らしく、とても癒される。 Neseuretus は前にアップしたので、残るは Salterocoryphe だが、運よく見つけられるだろうか?
unknown ORD Massif Armoricain, Francektr
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Pleurocystites squamosus
オンタリオのオルドビス系から産出したもの。 海林檎は三葉虫などと比べると知名度は低いが、その奇妙な体制は見る者に訴えるものをもっている。 本種は海林檎のなかでは多産し、かつ保存もよいので、もっともよく市場に出回っている。 私もこれ以外の海林檎はもっていない。 この標本では苞は平らになっているが、本来はもっと立体的で、リンゴのように丸みを帯びていたらしい。 本種には孔菱と呼ばれる菱形の器官がある。 前方の二つはまるで目のようで、苞の全体が人間の髑髏のように見えなくもない。
unknown ORD Ontario, Canadaktr
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Aulacopleura koninckii
古くから知られている古典的三葉虫でたいていの図鑑に載っている。 古典種だけあって正式名称は長く、Aulacopleura (Aulacopleura) koninckii koninckii (Barrande) という。 今回買ったこの標本は外殻がほぼ剥がれていて、いわゆる内型になっている。 それがちょっと残念な点だが、しかし目だけは脱落せずにくっついているので、これでもってよしとしよう。
unknown SIL Loděnice, Czech Republicktr
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Neseuretus tristani
オルドビス紀、フランス産。 カリメネの仲間で、頭の前方に飛び出したクチバシのような突起が特徴。 状態はあまりよくないが、これでもフランス産のなかではましなほうだ。 好意的な目で見ればフランスらしいシャビーでシックな味わいがあるように思うのだが、どうか。
unknown MORD Ecalgrain, Francektr