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Ceraurus pleurexanthemus
オルドビス紀ニューヨーク産。 ウォルコットの砕石場で採れたものらしいが、同地の他の標本と比べると、どうも風合いが違う。 産地を偽っているわけではないと思うが、あまり目にしないタイプの標本だ。 本種については、ウォルコットが三葉虫の付属肢を調べるのに使った切片標本の話が有名だ。 エンロール状態のものをスライスして磨き上げた標本の画像はじつにファンタスティックで、サイケデリックですらある。 フォーティはその話を紹介した際に、ウォルコットが本種を C.p.と略記している理由として、種小名の pleurexanthemus が長すぎてややこしいことをほのめかしているが、このものものしい名前はおそらく「花弁状の肋」というほどの意味ではないかと思う。 本体サイズ:尾棘込みで45㎜
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Meadowtownella trentonensis
10mmほどの小型の三葉虫で、細かいトゲで全身を武装している。 しかし、この小さく細かいトゲが防御面で役に立ったのかどうか定かでない。 むしろ何億年も後の人間の目を楽しませるためにトゲを生やしていたとしか思えない。 トゲ以外の特徴としては、外殻上の顆粒があげられる。 この標本では頭部や中軸の顆粒は確認しづらいが、側葉にははっきりとその構造が認められる。 あくまでもルーペで眺めるという条件付きでだが。 さて、本種は Meadowtownella という名前がついているが、本来の Meadowtownella はイギリス産で、Gondwanaspis に酷似している。 いっぽう、異名として扱われることの多い Primaspis は、本来はチェコ産で、こっちは Leonaspis に似ている。 アメリカ産のはどちらかといえば Gondwanaspis 似なので、Meadowtownella という名前で合っていると思われるが、それにしても英国産とはずいぶん見た目が違う。
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Sphaerocoryphe robusta
うちにある標本では唯一の真の稀少種といえるのがこれだ。 サイズは14㎜と小さいが、これでも成体なのである。 私はどういうわけかこの手の頭ボールと呼ばれる三葉虫に惹かれるものを感じる。 しかし手に入れたのはこれだけで、ほかのにはなかなか手が回らない。 理由は簡単で、いずれも程度の差こそあれ稀少種であり、そのため値段がかなり張るのだ。 頭ボールときけば、断片であっても、部分であっても、やみくもに欲しくなる。 たぶん一種の病気だと思う。 本種においては、頭だけでなく、尾棘も魅力になっている。 頭ボールと二股になった尾棘とを兼ね備えている点で、本種は小さいながらも最強の三葉虫だ。 産地:ニューヨークのラスト・フォーメーション
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