鉱物の中の鉱物
初版 2023/10/07 12:15
改訂 2024/01/21 10:09
大昔にだれかから聞いた「子供は動物を、大人は植物を、老人は鉱物を好む」という言葉が妙に記憶に残っている。
これが正しいかどうかはともかくとして、自然の事物が動物、植物、鉱物に分けられているのが私には印象的だった。
動物、植物、鉱物、英語でいえば animal, vegetal, mineral というわけで、語の形から見ても三者でひとつのグループを作っているようでもある。
そんなわけで、鉱物といえば、動植物以外の無機物全般をあらわす言葉だと思いこんでいた。
おそらくそう思っている人はいまでも少なくないと思う。
とりわけ鉱物に興味のない人のなかには。
しかし鉱物に興味をもって調べてみると、どうも現在鉱物という言葉は上に書いたような無機物一般を指す用語ではない。
それは構造の面からは岩石と区別されるし、用途の点からは鉱石や宝石と区別される。
御影石も玄武岩も溶岩も鉄も銅も鉱物だと思っていた私にはちょっとした驚きだった。
われわれが集めている鉱物は、比喩的にいえば石の花、つまり鉱物の中の鉱物なのである。
そうはいっても、そういう現代における鉱物の定義が、時代を遡れば遡るほどあいまいになっていくのは理の当然で、古今東西の石に関する文献が広義の鉱物(つまり石全般)に拡散しているのはふしぎでもなんでもない。
冶金術、鍛冶、錬金術、そういうものまで含めた鉱物の世界は広大で、非常に魅力的でもあるが、残念ながら私にはそういったものを追及している時間がない。
trilobite.person (orm)
2023/10/09 - 編集済み自然界を、動物、植物、鉱物の3王国 (regnum) に分けたのは、かのリンネだそうですね。最も、完全なリンネのアイデアというわけではなく、元を辿ればアリストテレスの言のようですが。
私も鉱物のことほぼ分かっておらず、改めて調べてみました。詰まるところ「化学組成とその構造が単一である結晶から成り、かつその結晶を一種類のみ含むもの」って感じなのですかね。そうすると、御影石・玄武岩などの岩石は、複数鉱物のごちゃ混ぜ・スクランブルエッグだから、確かに鉱物の定義を満たさないと成りますね。
そういえば、ちょうど今日京都でミネラルショーをやっていますね。久しぶりに一瞬だけ覗いて、軽く鉱物と化石の世界の勉強でもしてこようかと思います。気分転換がてら。
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ktr
2023/10/09ミネラルショーいいですね。
また成果や感想などがあればお聞かせください。
鉱物の定義、おっしゃるとおりなんでしょうけど、素人には、素人目には判別がむつかしいですね。
ものの本などを覗いても、鉱物、鉱石、金石など、表記の揺れがあるようで、鉱物とはこういうものだ、と頑なに思いこむ必要はないのかもしれません。
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