100年前の本

初版 2024/02/27 20:51

改訂 2024/02/27 20:51

ストリンドベリといえば、最近ではその名を知っている人も少ないと思いますが、100年ほど前には世界的に人気のある作家でありました。
私はこの人のものが好きで、本も何冊か持っていますが、そのうちここで紹介したいのは、いまからちょうど100年前に出た本です。

ストリンドベリの著作はエミール・シェリングという人の独訳によって全世界に広まったのですが、そのシェリング版を出していたのがゲオルク・ミュラーというドイツの本屋です。
私の手元にあるのは、そのうち1920年に出た、おそらく普及版のストリンドベリ著作集の一冊で、題名は INFERNO / LEGENDEN となっております。

この著作集をもとに、新潮社が「ストリンドベルク全集」と題した本を何冊か刊行しましたが、そのうち秦豊吉の訳した「地獄・伝説」を見ると、じつになんというか、造本から体裁まで、もとのゲオルク・ミュラー版にそっくりなのが、当時の新潮社という本屋の体質をよく表しています。

ストリンドベリはこのふたつの著書をフランス語で書きあげ、「地獄」のほうはフランス語版で出ましたが、「伝説」はスウェーデン語訳で出ております。
おそらくフランスでは出版社が見つからなかったんでしょう。
しかし「伝説」のオリジナル原稿(フランス語)はそのままストックホルムの王立図書館に所蔵されていて、これに若干の訂正をほどこしたものがパリのメルキュール社から出ております。

そのオリジナルを見ても、エミール・シェリングの独訳のすばらしさはやはり格別で、これが世界的な定訳になったのも当然のことだと思わせられます。

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ktr

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