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Moritz R “Nach Herzenslust (思う存分)”
今回は、Neue Deutsche Welle (German New Wave)の代表バンドでもあるDer Planのリード・ヴォーカルにして、全てのアート・ディレクションもこなしているMoritz RことMoritz Reicheltの唯一のソロアルバム“Nach Herzenslust (思う存分)”を紹介します。Moritz Rは、1955年に東独逸のHalle (Saale)で生まれましたが、育ったのは西独のCelleでした。1970年代末より新進気鋭の画家として活動を始めるかたわら、Frank FenstermacherとギャラリーArt Attackの運営を始め、1979年に、Düsseldorfで、Frank Fenstermacher, Robert GörlとChrislo Haasと共にDer Planを始めています。その後、Robert GörlとChrislo Haasは脱退し、PyrolatorことKurt Dahlkeが加入し、鉄壁のトリオDer Planとなります。なお、Der Planは、活動当初、「天使」と「悪魔」と「ロボット」の三位一体からなり、Moritz Rは「悪魔」役で、メイン・ヴォーカルも担当していました。その一方で、Art Attackの方は、Ata Takと改名して、NDWを代表するレーベルとして展開していきます。Moritz RはDer Planのみならず、レーベルのアート・ディレクションも手掛けており、他と一線を画したレーベルカラーを確立させています。Der Planは1992年に解散していますが、2003年に、Moritz Rは、他に2名の若手ミュージシャンと共に、Der Plan 4.0として短期活動していましたが、2014年に、Moritz Rは、FenstermacherとPyrolatorと共に、本家Der Planを再結成し、活動を始めています。なお、2006年-2008年には、Mo EriksenとかMoni Duettmannという名義で、3Dコンピュータ・グラフィックも手掛けています。また、Moritzはグラフィック・デザイナーとして、アルバムのジャケや書籍、企業ロゴ、商品パッケージに至るまで手掛けています。2020年には、Moritz RはBerlinに移り、自身のギャラリーChak Chak Art Shopを運営しています。それで、今回、2021年に、初のソロアルバム“Nach Herzenslust (思う存分)”を日本のSuezan Studioからリリースした訳ですが、その後も、「ポップカタログVol.1 : ポスト・サイケデリック絵画: 独逸の新しい波におけるDer Planの栄光と不幸」という記録集を書いたり、アルバム”JaPlan”の映像作家として活動したりで、多忙な日々を送っています。 と言うことで、本作品の紹介をしていきましょう両面とも8曲ずつ収録されています。先ず、ザックリ言って、Der Planよりも「まとも」なポップ・ミュージックから成るアルバムと言えるでしょう。とは言うものの、崩してある所は崩してある、と言うか、Moritz R (Der Plan)らしい、天然に「変な」ポップ・ミュージックで、全く安心はできないですけど。エキゾチカ、フォーク、アシッド・サイケ、実験音楽からFrank ZappaまでがMoritz Rの手にかかり、軽妙洒脱で破天荒な前代未聞のポップ・ソングへと再生されています(DUの宣伝文より引用)。ほぼほぼ、1人で作られていますが、2曲程、Pyrolatorも参加しています。いやー、Moritz Rがギターとかシンセとか弾けるのにビックリしましたね。そんな訳で、モンド・ミュージック〜シンセ・ウェーブ〜フォークロアなど幅広い音楽が詰め込まれていますので、多分、欧州(或いは独逸)のポップ・ミュージックに興味のある方にはお勧めします❗️発売元が日本のSuezan Studioなので、曲名に邦題が付いています(それもまた楽し!)。 A1 “Herzlich Willkommen! (ようこそ)” A2 “1-2-Test (1-2-テスト)” A3 “In Meinen Träumen (夢の中で)” A4 “Haus In Düsseldorf (デュッセルドルフの店)” A5 “Polywaiian Village (ポリワイアン村)” A6 “Controllfreak Mama (コントロールフリークのママ)” A7 “Rosetta (ロゼッタ)” A8 “Silberner Manta (シルバーのマンタ)” B1 “St-sp-shk” B2 “Ich Steh Auf Drogen (ドラッグ)” B3 “Wochenend Und Sonnenschein (週末と晴天) B4 “Susanne Daubner (ズザンネ・ダウブナー)” B5 “Ich Heiz Mein Haus Mit Holz (うちを薪であたためる)” B6 “Fuselschnaps (安酒)” B7 “Dunkel Wars (暗かった)” B8 “Bernd‘s Tune (ベルントの曲)” A3 “In Meinen Träumen (夢の中で)“ https://youtu.be/KMCjy7nZXVs A4 “Haus In Düsseldorf (デュッセルドルフの店)” https://youtu.be/wz04tkSji3Y A5 “Polywaiian Village (ポリワイアン村)” https://youtu.be/hU9vk8qzK2k B1 “St-sp-shk” https://youtu.be/r8VZOH-qRL B2 “Ich Steh Auf Drogen (ドラッグ)” https://youtu.be/XHRdz1ZTk5c #MoritzR #NachHerzenslust #思う存分 #SuezanStudio #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectronicPop #SynthPop #SpecialEdition #YellowSplatterVinyl #300部限定#DerPlan #LeadVocalist #ArtDirection #AtaTak #Pyrolator
Electronic / Neue Deutsche Welle (German New Wave) Suezan Studio 2650円Dr K2
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Kraftwerk “s/t”
すいません、忘れてました。Kraftwerkのファースト・アルバムです。私の持っているのは国内盤です。Kraftwerkについては、もう何回も書いてありますので、バイオグラフィーは省略させて頂きます。本作品はKraftwerkとしてのファースト・アルバムで、重要な位置にあります。この時のメンバーは、Ralf Hütter (Organ, Synth [Tubon]), Florian Schneider (Flute, Vln, E-Perc)に、Andreas Hohmann (Drs)とKlaus Dinger (Drs)とが加わっています。そして、エンジニアは勿論Conny Plankです。それで内容なんですが、A面B面共に2曲ずつ収録されています。A1 “Ruckzuck” は、リズミックなフルートに導かれて、生ドラムのビートが主軸を成し、そこにオルガンの不協和音が挿入される曲で、テンポは次第に早くなっていきます。何度かのブレイクを挟みつつも、最後のブレイクで唐突に終わります。A2 “Stratovarius”は、ディレイを掛けた持続音(シンセとかヴァイオリン?)の捻れるようなイントロから始まり、具体音のノイズやフリーなドラムの連打に中断され、仕切り直しのように、ややスローテンポなビートに乗って、オルガン等のジャムセッションのようになって混迷の中に突き進んでいきますが、また崩れて、再びハンマービートっぽい流れになります。リフは歪んだオルガンでしょうか?しかしまた、派手に演奏は崩れ、オルガンとドラムとヴァイオリンで持ち直しかけたところで唐突に終わります。B面に移ります。B1 “Megaherz”は、フェイザーとワウを掛けたオルガンの不協和音から成るイントロが終わると、極めて微音から立ち上がる静かなパート、更にフルートの優しい調べが控えめに立ち昇ってくるアンビエントな曲ですが、あれ?終わったのかと思うと、また続きが始まります。そして、B2 “Vom Himmel Hoch”では変な歪みを持った電子音にハンマービートっぽいドラムが自由奔放に出し入れされる曲となり、シンセの音も聴取できます。 全体的に聴いてみて、本作品はまだまだ、テクノやポップな音楽と言うよりも、何だかジャムセッションを聴いているような印象が強いのですが、それでも本作品の内部には後の(テクノ)ポップネスを感じさせる萌芽もありますね。まあ、それでも、外面は「実験的な音楽」ですから、その点はインプットして聴いてみてください❗️ A1 “Ruckzuck” (7:47) A2 “Stratovarius” (12:10) B1 “Megaherz” (9:30) B2 “Vom Himmel Hoch” (10:12) https://youtu.be/E4b0-juTiQ8?si=xdzF80rKQaQduvGb #Kraftwerk #Philips #日本盤 #1970年 #Reissue #1979年 #Krautrock #FirstAlbum #Experimental #Flute #Electronics #Drums #RalfHütter #FlorianSchneider #AndreasHohmann #KlausDinger #Producer #ConnyPlank
Krautrock / Experimental PHILIPS 不明Dr K2
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Can “Landed (闇の舞踏会)”
Can祭りの始まりか!?と言う訳で、今回は独逸プログレ史の重鎮でもあり、現代音楽作曲家Karlheinz Stockhausenのお弟子さん達が結成したバンドCanの7枚目のアルバム”Landed (邦題「闇の舞踏会」)を紹介します。また、私よりも詳しい方はいらっしゃると思いますのが、我慢して下さい。Canのバイオグラフィーについては、以前に書いたので、ここでは割愛させて頂きます。この時期のCanにはダモ鈴木もMalcolm Moonyも在籍しておらず(つまり、Vo不在)、メンバーは、Holger Czukay (B, Vo, Recording), Michael Karoli (G, Vln, Vo), Irmin Schmidt (Kbd, Synth [Alpha 77], Vo), Jake Liebezeit (Perc, Wind Instrument)の4人で、一曲だけOlaf Kübler (Tenor-Sax [B1])が客演しています。なお、Holger CzukayとToby Robinsonがミックスダウンをやっています。変幻自在な曲調で、とにかく、飽きさせないです。個人的には、B2 “Unfinished”の混沌さが好きですが、A1 “Full Moon On The Highway”の疾走感も捨て難いですね。また、A4 “Vernal Equinox”でのスペーシーなシンセとガレージなギターもカッコいいです。ヴォーカルは誰がどの曲でやっているのかは定かではないですが、専属のVoがいないので、ヴォーカルの説得性にはやや欠ける印象はあります。しかし、それを補う程に曲は良く練られているので、聴き応えは充分です。ですので、Canの4人による魅力の詰まった、このアルバムを体験して下さい❗️ A1 “Full Moon On The Highway” https://youtu.be/4_6co9_sw9o [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lJ6OSsuGvdmmVYxqdMSCNGRGo17mjR59g #Can #Landed #闇の舞踏会 #Victor #VirginRecords #Krautrock #ProgressiveRock #StudioAlbum #HolgerCzukay #MichaelKaroli #IrminSchmidt #JakiLienrzeit #OlafKübler
Krautrock, Experimental Victor (Virgin Records) 不明Dr K2
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Manuel Göttsching “E2-E4"
さあさあ、来ましたよぉ〜。世紀の名盤、Manuel Göttsching先生の”E2-E4”です❗️しかも、これ、オール1人で作り上げていると言う衝撃 (これはそんなに大したことではない。宅録の人はほぼほぼ1人でやっているから)❗️ここで、Manuelのバイオグラフィーを簡単に。まあ、皆さん、知っていると思いますが、1970年代〜1980年代にかけては、ソロと共に、Ash Ra TempelやAshraのリーダーとしても活躍しています。またその為に、Kosmische Musik(cosmic music)としてのKrautrockで最も影響の大きかったギタリストでもあります。Cosmic Jokersへの参加でも知られていますが、彼のスタイルやテクは、1980年代〜1990年代のポストEnoのアンビエントやBerlinの電子音楽シーンに多大な影響を及ぼしています。それで彼の生い立ちからちょっと説明しますと、元々、VerdiやPucciniと言った音楽に親しんできて、その一方で、米英国連合軍の放送するラジオを聴いていたそうです。初期のロックンロールはまだ彼には早すぎて、1960年代になって、彼が、最初にピーンときたのが、米国Motown MusicやRolling Stonesなどの英国のブルースロック・バンドでした。それで、彼はそれまでやっていたクラシック・ギターを辞めて、エレキギターを取ります。学生時代に彼は、クラスメイトとカバーバンドをやり始めますが、結局、Rolling StonesやBeatlesのカバーを演奏しても、それは単なる楽しみでしかないと回想しています。ただ、Blue Chairの”Summertime Blues”をカバーしてみて、また、フリージャスの流れも影響して、彼とクラスメイトはよりフリーな音楽を目指すことになります。そうして1970年にできたのが、Ash Ra Tempelです。そのパンドには、Tangerine Dreamを脱退したばかりのKlaus SchulzeあるいはHartmut Enkeが在籍していました。そうして、セルフタイトルのアルバムをAsh Ra Tempelは1971年にリリースします。その後、Klausは、ソロで活動する為に、Ash Ra Tempelを脱退します。Ash Ra Tempelは、1972年にスイスに住んでいたTimothy Learyとコラボ(“Seven Up”)をしたりしています。オリジナルメンバーであった3人にVoとしてRosi Müllerが1973年に加入し、アルバム”Join Inn”をリリースしますが、その年にKlaus SchulzeとHartmut Enkeが同時に脱退し、Manuel GöttschingとRosi Müllerだけで次のアルバム”Starring Rosi”をリリースしていますが、Harald Grosskopf (Dr)とDieter Dierks (B)がヘルプしたみたいです。一方、ソロ活動として、1975年にアルバム“Inventions for Electric Guitar”をAsh Ra Tempel, Manuel Göttsching名義でリリースしますが、これはもう、完全にManuelのソロアルバムと考えられています。そして、1981年に録音し、1984年にリリースしたのが、本作品のソロアルバム”E2-E4”です。これも完全なソロでするので、音は全部、彼1人が演奏しています。機材は、ARP Odyssey, ARP Sequencer, AKG BX-5, Dynacord DRS-78, Dynacord TAM-19, EKO Computerhythm, EMS Synthi A, Farfisa Syntorchestra, Korg Polysix, Moog Minimoog, Pearl Syncussion, Publison DHM-89B2と、Sequential Circuits Prophet-10です。アルバムにはA面4曲、B面5曲となっていますが、特に切れ目などは無いように思えます、、。と言うか、この作品はアンビエント・テクノのお手本の様な内容で、実際、伊のSueño Latinoは、”E2-E4”をサンプリングして1989年に"Sueño Latino."と言う曲にしていますし、Carl Craig, the Black DogやThe Orbなどに大きな影響を与えています。何よりも画期的なのは、この時期にシーケンサーとドラムマシンを使って切れ目の無い延々と続くミニマルな曲に仕上げているところでしょう。そして、全然押し付けがましさの無い、淡々とした音楽に仕上げた点ですね。正に元祖アンビエント・テクノの真骨頂ですね。本当、気持ち良くなる音楽ですが、何かをしていても邪魔にはならないです。皆さん聴いてみて、ポアされちゃって下さい! https://youtu.be/ys0HyevZpQg #ManuelGöttsching #E2-E4 #DiskUnion #KrautRock #CosmicMusic #AmbientTechno #Sequencer #Synthesizer #AshRaTempel #Ashra
Krautrock / Ambient Disk Union 不明Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Yü-Gung”
今回は,Einstürzende Neubautenの初来日の記念にリリースされた12㌅EPです。来日前の「廃墟求む」の新聞広告が懐かしいですね。当然、私も観に行きましたよ、後楽園ホールに。その前後辺りで、このEPがWAVEから配給されていたと思います。ライブでも演奏された、名曲Yü-Gungには涙がちょちょ切れましたね。しかし、ライブで実際に観ると,どうも主旋律とかドラム代わりのメダパー叩いていないように思えて、テープか何かを使っているのかな?とちょっと落胆しました。それと、このEPのB面に入っている”Sand”のカバー曲は今聴くと良いですが、その時は、彼等にはもっと混沌したサウンドを求めていた私は,この普通のポップスをカバーしたのが、どうも腑に落ちなかったですね。しかも、Blixaの歌い方も抑制的だしね。何れにせよ、ここら辺が、Neubautenの転機点であったことは確かですね、より音楽的にと言う意味で。以前のように会場の床に穴開けたり,火をつけたりしていたアナーキーなステージからより音楽として聴かせるように方向転換したのだと思います。なおA面のプロデュースはAdrian Sherwoodミックスヴァージョンですね。この後にリリースされた”Fuenf Auf Der Nach Oben Offenen Richterskala”はもう買いませんでした。彼等のターニングポイントであった作品ですが、今聴くと新鮮ですので,皆さんも是非聴いてみてちょ❗️ A “Yü-Gung” B1 “Seele Brennt” B2 “Sand” “Yü-Gung”(Adrian Sherwood remix) https://youtu.be/c7B8Rr4mIpg “Yü-Gung” (original mix) https://youtu.be/4H2bYIEAFsU “Yü-Gung” (1990 Live version) https://youtu.be/AnEaOCQsoHs [full EP] https://youtu.be/pFDoTnylJO8?si=F35QFTDFS92NDSRk #EinstürzendeNeubauten #Yü-Gung #Experimental #Sand #CoverSong #WAVE #日本盤 #SomeBizarre #12inchEP #AlexanderHacke #BlixaBargeld #F.M.Einheit #MarcChung #N.U.Unruh
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental rock WAVE (Some Bizarre) 1500 円Dr K2