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Can “Tago Mago”
またCan祭りですね。今回は、永遠の名作とも言われているCanの3枚目のアルバムにして、2枚組の大作”Tago Mago”を紹介したいと思います。この時のメンバーは初期の最強の5人で、Holger Czukay (B), Jaki Liebezeit (Drs), Michael Karoli (G), Irmin Schmidt (Organ, e-Piano)そしてDamo Suzuki (Vo)から成ります。それで、本作品は、A面3曲、B面とC面1曲ずつ、D面2曲と言うように、割と長尺の曲か多いですね。A1 “Paperhouse”はややミドルテンポから始まったと思ったら、アップテンポになり、強靭なハンマービートをぶつけてきます。それに対抗するダモ鈴木のヴォーカルやKaroliのギター/Schmidtのオルガンとの摩擦熱で一気にヴォルテージが上がります。そして、A2 “Mushroom”に移行していきますが、ここでのドラムの音は極めて硬質かつ冷徹なハンマービートで、感情的なヴォーカルとの対比が興味深いです。そして、爆発音と共にA3 “Oh Yeah”は、ハンマービートとオルガンの持続音に逆回転のヴォーカルが乗り、曲が進みますが、やがて、日本語で「、、頭のイかれた奴、虹の上からしょんべん、我等が◯◯と呼ぶ、、、」と聞こえてきて、ダモ鈴木っぽいなあと感心している内に曲は唐突に終わります。そしてB面へ。B “Halleluwah”は、Canの音楽を語る上で、最も重要な曲であり、彼等の開発したハンマービートが延々と続き、そこにダモ鈴木の呪文のようなヴォーカルが乗ると言う基本構造から成っていからです。そして、この曲は催眠的でもあります。約18分半も収録されていますが、最後がフェイドアウトしていることからも、多分、録音の時はもっと長くセッションしていたのではないかと思われます。A面B面は、特にロックのフォーマットのせいか、ガレージ・サイケ色が強いですね。次に、LP2に行きます。C “Aumgn” は、B面とは一転、うめき声のようなヴォイスと様々な楽器/非楽器の音にディレイを掛けて、延々とビートの無い「音のアッセンブラージユ」から成る実験的な曲です。これも、Karlheinz Stockhausenのお弟子さんだからこそ成立するCanのもう一つの側面であり、重要な要素だと思います。後半のLiebezeitの鬼迫に迫るドラミングとSchmidtのオルガンは一聴の価値ありです。更にD面へ。D1 “Peking O”は、はちゃめちゃなリズムボックスとヴォイスを使い方が返って潔い位の無茶振りな曲ですが、最後の方になって、ハンマービートが聴こえてきた時は少し安心しました。D2 “Bring Me Coffee Or Tea”はまたいつものCan節に戻りますが、Karoliはアコギを弾いてますね。それでも、結構、盛り上がって、無事着陸して終わります。このアルバムでは、前半(LP1)は、ロックバンドとしてのCanがハンマービートを発明した範疇での実験を、後半(LP2)は実験音楽をロックのイディオムで実践するとどうなるか?を具現化しているのではないでしょうか? そう言う意味では、Canと言うバンドを多面性を余す事なく表した作品とも言えるでしよう。また、忘れてはならないのが、ダモ鈴木の言語感覚です。一瞬にして単語の意味を拡張してしまうのは、彼の天賦の才能です。そう言うことも含めて、2枚一度に聴き通すのは辛いかもしれませんが、Canを知りたいのであれば、是非とも体験すべき一作品ですね‼️ A1 “Paperhouse” (7:29) A2 “Mushroom” (4:08) A3 “Oh Yeah” (7:22) B “Halleluwah” (18:22) C “Aumgn” (17:22) D1 “Peking O.” (11:35) D2 “Bring Me Coffee Or Tea” (6:47) A3 “Oh Yeah” (Live) https://youtu.be/bRMSjidUB_o [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLjtxOIF4SP1lP4Jk6gCK8veiM7q5O4kSL #Can #TagoMago #SpoonRecords #UnitedArtistsRecords #Reissue #Remastering #Krautrock #HammerBeat #Garage #Psychedelic #ExperimentalMusic #Avant-Garde #ThirdAlbum #2LPs #HolgerCzukay #JakiLiebezeit #MichaelKaroli #IrminSchmidt #DamoSuzuki
Krautrock / Experimental / Psychedelic Spoon Records (UNITED ARTISTS Records) 不明Dr K2
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Michael Ranta “Yuen Shan”
今回は、米国生まれの独逸在住パーカッショニスト、Michael Rantaを紹介します。その中でも、彼のソロ名義のアルバムとしては3枚目”Yuan Shan”を紹介します。それで彼のバイオグラフィーですが、元々は、ミネソタ州Duluth生まれで、1960年〜1967年ではイリノイ大学で、打楽器についてはJack MackenzieとThomas Siweに師事し、作曲についてはLejaren HillerとHerbert Brünに師事していました。その後、Rantaは1967年〜1970年に、独逸Kölnで、Mauricio Kagel, Helmut Lachenmann, Josef Anton RiedとKarlheinz Stockhausenの元で働いています。その時に、1970年に開かれた大阪万博でStockhausenの曲で参加しています。翌年には、日本のNHK電子音楽スタジオでも働いていました。その後、1973年〜1979年には台湾に住んでおり、芸大よりの依頼で、Gwang-renアカデミーで音楽史学の教授になっています。そこで、長い年月(40年以上?)をかけて、”Yuen Shan (Round Mountain)”の打楽器と8チャンネルテープの為の作曲に取り掛かります。その後、1979年にRantaは、Kölnに戻り、打楽器アンサンブルTransitを結成し、翌年には、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習会を開催し、更に1981年にはケルン打楽器フェスティヴァルも開催しています。また、一方では、KölnのTanzforumやUrania劇場でも働いており、1989年には、Ulmer劇場のバレエアンサンブルの為に”Die Mauer (The Wall)”と言うバレエ曲や、Jaroslav Poncarsの映画”Tibet”にも”Ton zum Himmel (Gate for Sky)”と言う曲を作曲しています。また、1989年には、ケルン・ドームの750年記念式典での、Günther Oellersの曲”Die Steine der Singenden (Singing Stone)”にも出演しています。 それで本作品”Yuen Shan”ですが、実はこの曲は、2005年に、Rantaは、Cabaza Percussion Quartetと共にCDで音源を残しています(私は未聴)。また、前述のように、この作品は、1972年に着想を得て、完成するのが2014年と言うもので、大きく4曲(“Yin‐Chu”, “Gu‐Luan”, “I‐Shr”, “Li‐Huai”)から構成されています。それで、Ranta自身はガチガチの即興音楽家ではなく、元々はきちっとした作曲をやる方でもあるので、一聴すると即興演奏のようにも聞こえますが、そこは間違えないで下さい。また、本作品では、鳴っている音が、生のパーカッションの音か?予め録音した「音素材」か?分からないようにも感じますが、恐らくは、予め録音されていた音素材の方がメインなのではないでしょうか? A面はいきなり無音から始まりますので、聴いていて不安にもなりますが、様々なパーカッションを使って、彩り取りな音風景を紡ぎ出しています。個人的には、C面の”I-Shr”が好みですねぇ、最後にちょっとしたアクセントもありますし。そんなRantaのソロ作品ですが、気になる方は一度お聴きすることをお勧めします。因みに、Metaphonは、ベルギーの音響系ノイズの重鎮Timo Van Luijkが2007年から運営しているレーベルで、要注目です❗️ C面”I-Shr” https://youtu.be/6RA90X_-wAs #MichaelRanta #YuenShan #Metaphon #ModenClassic #Experimental #Percussionist #Percussions #FieldRecording #Composition
Modern classic / Experimental Metaphon 不明Dr K2