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Atrax Morgue “Necro Box”
とうとう買ってしまった!Atrax Morgueのボックス・セット❗️しかも、限定再発物件。まあ、Atrax Morgueの場合、Marco Corbelliが自死した後に、やたらとボックス・セットが出ているので、それらをコンプリートするつもりは無いですが、まあ纏めて聴きたいとも思ったので。Atrax Morgueのバイオグラフィーに関しては、以前にも紹介していますので、そちらをご参照下さい。少しだけ確認事項を書いておきますと、Atrax Morgueは、伊のMarco Corbelli (本名Marco Rotula)のソロ・ノイズ・プロジェクトで、活動期間は、1993年〜2007年で、2007年5月6日に首を吊って自死しており、それを持ってAtrax Morgueは終了しています。彼は、自身のレーベルSlaughter Productionsからも自分の作品を多数出していました。彼はアナログ・シンセと自らの声、そして簡素なエフェクトで、病的かつ極私的なパワー・エレクトロニクスの系譜を作っていました。それで、彼の死後、同じ伊レーベル浦島などが、沢山の再発やボックス・セットをリリースし、再評価されています。それで、今回、入手したのは、浦島からの木箱入り”Necro Box”で、これは再発物でもあります。内容は、Slaughter Productionsから出ていたカセット/CDR作品3つをLPとしてリイシューしたもので、LP1が、1993年リリースの”Necro-sintesi”、LP2が、1994年リリースの”Necrophiliac Experience”、LP3が、1995年リリースの”Basic Autopsy Procedure”となっており、いずれもSlaughter Productionsからカセット/CDR作品としてリリースされていた音源です。 LP1は、Atrax Morgueとしての、またSlaughter Productionsとしての一番最初の作品で、当時はc-60で、Lunus (Devis Granzieraのソロユニット)とのスプリット作品としてリリースされています。ここで聴かれるAtrax Morgueの音楽は、深いリバーブの中にのたうち回る不明瞭で不穏な電子音の咆哮であり、亡者の助けを求める呻き声のようにも思えます。多分、同じ伊のM.B.とかの先達の音(=ノイズ)を追認していったのだと思われます。B2 “Necro-sintesi”は鉄製の何かにコンタクト・マイクを仕掛けて録音しているようですが、やはり深いリバーブの中で悶える亡者達のような不気味な音楽です。かなりダウナーな音楽ですので、気が滅入りますので、ご注意を❗️ LP2も、Lunusとのスプリット・カセット(SPT16)からの抜粋で、元々は自身のレーベルSlaughter Productionsからc-60としてリリースされています。C1 “Macabro Orgasmo”では、アナログ・シンセの不気味な音響が全編に渡って延々と繰り広げられており、余り集中して聴いていると吐きそうになる位、病的な音作りをしています。また、LP1のような深いリバーブは、ここでは排除されています。また、非常に聴き辛いのですが、レイプシーンの歪んだテープ音が混ざってきます。C2 “Necrophiliac Experience 1”は、曖昧模糊とした音響を打ち砕くように力強い電子ノイズが入ってきますし、C3 “Necrophiliac Experience 2 (Part A)”でも不明瞭ながらもやや強度のある音響が聴取されます。D1 “Necrophiliac Experience 2 (Part B)”では、エコーを効かせた男性の語りから成るテープ音のみです。そして連続して、D2 “Necrophiliac Experience 3”では、延々と続くテープ音のショート・ループに、全ての業を破壊するようなアナログ・シンセの特攻が入ってきます。D3 “Necrophiliac Experience 4”は力強いが邪悪なシンセ音とテープの語り音とが拮抗して垂れ流されています。私個人としては、自分が1980年代に作ったカセット作品3部作”ZombieAnatomy”を思い出しました。それ位、悪趣味な音楽です❗️ LP3は、”Basic Autopsy Procedure/Homicide Texture”の名の下にセルフ・コンピとして自身のレーベルから出したCDR(SPCD33)からの抜粋となっています。まあタイトルが「基本的解剖手技」ですからねぇ。E1 “Sektion 1“はLFOを効かせたアナログ・シンセの単音から成り、延々と続く様が強迫的です。続くE2 “Sektion 2”も音程の一定しないシンセ音の不安定と言うか不安を掻き立てる音響の波状攻撃でウンザリします。F1 “Sektion 3”では、エフェクトを掛けたテープの語りとパルス的なシンセが淡々と流れていきます。そして、いきなり、F2 “Sektion 4”では強度を増したペニスの如く、アナログ・シンセが暴れまくっています。また、間の取り方が絶妙ですね。ところが、F3 “Sektion 5”では一転、LFOの効いたシンセが不安気に鳴らされて、やはりAtrax Morgueはこう言うダウナーな音作りが合うなあと納得して、このボックスは締められています。 総じて、このボックスを何回も続けて聴き直すのには、メンタルが強くないとダメだなあと思いました。それ位、病んでいる音楽を作り続けていたAtrax MorgueことMarco Corbelliの心の中は、一体どうなっていたのか?は想像するだけで、今となっては真意は不明です。ですが、このボックスには彼の初期の貴重な音源が詰まっていますので、心が強い時には是非とも体験して頂きたいですね‼️ まあ、とは言っても万人にはお勧めしませんが。 曲調です。 LP1 “Necro-sintesi” A1 “Segni Tanatologici Certi (Pt.I-II)” B1 “Process Ov Death” B2 “Necro-sintesi” LP2 “Necrophiliac Experience” C1 “Macabro Orgasmo” C2 “Necrophiliac Experience 1” C3 “Necrophiliac Experience 2 (Part A)” D1 “Necrophiliac Experience 2 (Part B)” D2 “Necrophiliac Experience 3” D3 “Necrophiliac Experience 4” LP3 “Basic Autopsy Procedure” E1 “Sektion 1“ E2 “Sektion 2” F1 “Sektion 3” F2 “Sektion 4” F3 “Sektion 5 LP1 “Necro-sintesi” https://youtu.be/0yKuyj3e3qE?si=_Uy_cIgIn73IV22V LP2 “Necrophiliac Experience” https://youtu.be/eB2kqb4Q69E?si=5G6XBQEE6rU1NvSO LP3 “Basic Autopsy Procedure” https://youtu.be/ONjHAsNGOPk?si=v0qu0ScHFnwLJIRd #AtraxMorgue #NecroBox #Urashima #WoodenBox #Reissue #DarkAmbient #Electronic #Noise #PowerElectronics #AnalogSynthesizers #Voice #Necro-sintesi #NecrophiliacExperience #BasicAutopsyProcedure #Negativity #Dark #Corpus #Death #1993年-1995年 #Cassettes #SlaughterProductions #Suicide #MarcoCorbelli
Power Electronics / Dark Ambient / Noise Urashima 3300円Dr K2
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V.A. “Tribute To MSBR”
2005年7月31日に彼は亡くなった。その年の4月に彼の運営するノイズ/実験音楽専門店「テンザツ・コム」に妻と一緒に会いに行ったのですが、後で、妻が「なんかひどく疲れてるみたい」と言ってきた。もうその時には大腸癌は進行していたのだなと後からそう思いました。その人物は、元々、四国の松山でエンジニア/会社員として勤めていた田野幸治さんでした。1997年に東京に居を移し、1990年初頭より続けてきた、自身のノイズユニットMSBR (Molten Salt Breeder Reactor)で活動するだけではなく、海外からのノイズ系ミュージシャンやグループの招聘や国内でのサポートやツアーを始め、ノイズ専門誌「電子雑音」を発刊し、国内のノイズシーンの拡大だけでなく、自身もMSBRとして海外ツアーもやっており、その為に、脱サラして先述の専門店まで開店した人物です。個人的にも歳が近かったこともあって、生前は仲良くしてもらいましたし、蒲田のスタジオ80(オッタンタ)でよく企画をして一緒にやったりもしていました。ただ私は2002年に仕事の関係で、市川から大阪→静岡と移っていた為、告別式に出席できなかったのは大変悔やまれるところです。また、彼は漫画(特に金融ものや893もの)も好きで、自身でも描いていました。それとプロレスも好きでしたね。そんな田野さんのやっていたMSBRへの追悼盤を作ると伊のUrashima(浦島)から連絡をもらい、確か、既にリリースされているMSBRの音源を使って、それぞれが新しく曲を作ると言う企画だったと思います。それで、参加者とその曲を紹介していきます。A1 Macronympha (米)はテープのループ音と共に分厚い歪んだ電子ノイズを放射。A2 The Haters (米)はチリチリしたノイズの上にテープ音源と思われる伸縮自在なノイズが被る、いつもとは違う純度の高い曲。A3 SRS (伊)は、純粋な電子音が明瞭な構造を持って提示したおり、歪みは殆ど無い電子音楽です。B1 Government Alpha (日)は、非常にダイナミック・レンジの広いシンセ音を上手く組合わせた上質のノイズ作品で、まるで電子音が生きているかのよう。B2 K2 (日)は、変調したMSBR音源やシンセやフィードバック音を無秩序にカット・アップ・ミックスしたストップ&ゴーな曲。B3 Richard Ramirez (米)も重々しく分厚い音像で、HNW的なアプローチ。上記のアーティスト/グルーブ以外にも田野さんにお世話になったり、関係が深い人達も沢山いた訳ですが、まあ浦島のレーベル・カラー上、この様な絞ったメンツにはなってしまったんだろうと思います。もし、上記のアーティストやグルーブに興味があったり、MSBRってどんなユニットだったのだろうと思ったりした方は、是非とも入手して下さい! 本作品は音源がなかったので、MSBRと参加者の中でコラボ作品があるものを2作品チョイスしました。 MSBR & Richard Ramirez “Sonic Aggression” https://youtu.be/RzI2EyRX8o0 MSBR/Spykes/Government Alpha “Tano Forever” https://youtu.be/EXnDE-J9MUU #VariousArtists #TributeToMSBR #Urashima #Compilation #HarshNoise #KojiTano #MSBR #Macronympha #TheHaters #SsheRetinaStimulants #GovernmentAlpha #K2 #RichardRamirez #追悼盤
Noise Urashima 不明。Dr K2
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Mortal Vision “Nacht Musik”
Mortal Visionと聞いて、ピーンとくる人は相当なマニアだと思いますよ。これは元C.C.C.C.及び現Astroで活躍している長谷川洋さんが、1990年に一時的に、この名義を使って新たなノイズ・ミュージックを模索していたのですよ。元々は京都在住だったAubeこと中嶋昭文さんのレーベルG.R.O.S.S.からカセット作品(こちらも限定です)として、1992年にリリースされた音源を、伊のUrashima(浦島)が、2016年にLPとしてリイシューしたものが、本作品になります。本名名義でもなく、Astro名義でも無い、このユニット名は、基本的に長谷川さんのソロなのだが、いつも使っているエレクトロニクスではなく、ギターのみの演奏で構築されたノイズ・ミュージックなんです。アルバムとしては本作品だけなので、それ故、貴重なブツである訳です。多分、ギター・ノイズの範疇に入るものだが、そもそも、ギターらしい音には聞こえないです。かと言って、エフェクター、バリバリに繋いでいる訳でも無さそうで、凡そ、ギターとアンプとの相性と微調整から生まれた音(=ノイズ)があるのでは?と思わせる位、世に数多あるギターノイズとは一線を画する音楽です。籠りがちな録音も、輪をかけて謎の音を表出させており、時に聞かれるギター独特に音の粒子に「ハッ」と気付かされるようでもある。「夜の音楽」とは、暗くなった時に、一人でこっそり聴いているようにも思えて、言い得ていると思われる。そんな音楽は必要ではありませんか? YouTubeにはありませんでしたので、長谷川洋さんのソロでのライブを(本作品とは関係ありません)。 https://youtu.be/qwto7BjB7dA #MortalVision #NachtMusik #Urashima #G.R.O.S.S. #Reissue #Guitar #Experimental #Noise #HiroshiHasagawa
Noise Urashima 不明Dr K2
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Mauthausen Orchestra “From Homicide To Slaughter”
Mauthausen Orchestra (以下MOと記す)は、1982年にイタリア人Pierpaolo Zoppoが始めたデス・インダストリアル・ノイズ・プロジェクトで、1986年にMOとしての活動を停止しています。この作品は1982/1983年にリリースされたカセット作品から集められた曲をコンパイルしたもので、再発に重きを置いている伊Urashimaが2015年に199部でリリースしたものです。MOは、当初からあらゆるネガティブな事柄(極限でのセックス、異常性癖、ナチズム、拷問や病気)に興味を持って、活動しており、ノイズや歪んだ電子音及び非人間的な(金切り声)ヴォイスなどの暴力的なコラージュがMOの真骨頂です。こう言う指向ってイタリアン・ホラーとかと関係あるのかな?初期の音源は、彼自身のレーベルAquilifer Sodalityからリリースされていました。また、1997年に復活しましたが、MOと名乗るより、単にMauthausenとしかクレジットしなかったりしていました。しかしながら、1988年に録音された音源が、10年後にXn Recordingsからリリースされていますので、完全休止期ではなかったようです。2008年からはアンビエント調に音楽性も変化していきます。死因は不明ながら、彼は2012年6月16日に亡くなっています。また、同国のM.B.(こちらも復活後のニューエイジなスタイルとの時期)とも親交があり、コラボ作”Material Modulations”や”Spiritual Noises”と言ったものも出しています。私は、1980年代に国際コンピレーション・カセットで、初めてMOの音楽を聴いたのですが、それこそ暴力的なシンセノイズのド直球なトラックに打ちのめされましたね。 それで、本作品なんですが、曲名も何もクレジットがなく、ちょっと困ってしまいました。まあ、再発専門(?)の伊の浦島からの素っ気無い編集盤と言うことでご勘弁を。殆どの曲が、恐らくはカセットMTRで宅録され、ラジカセでマスターを作ったかのような、或いはラジカセ一発録りで作ったかのようなチープな音質なので、万人にはお薦めしませんが、マニアの人は是非とも!何だか短波ラジオらしきノイズを含めて、シンセと思われる不明瞭な電子ノイズやテープ音(多分ナチ関係?)が収められています。ただ、先述のようにペラペラの音質なので、正直言って迫力はイマイチです。一番最初に聴いたのが、先述の国際コンピだったので、どうにもこうにも、食い足りないですね。ただ数曲はちゃんとした録音とマスタリングをしてあるので、これはこれで、初期M.B.っぽくてカッコいいです。そんなレコード、聴いてみますか?(悪夢を見そうです!) https://youtu.be/U40uKs2YyYo #MauthausenOrchestra #FromHomicideToSlaughter #Urashima #Industrial #Noise #PowerElectronics #Remaster #ConcentratedCamp #SelfCompilation
Noise Urashima 不明Dr K2
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Merzbow “Remblandt Assemblage”
とうとう辿り着きました!日本が世界に誇るノイズ・ミュージックの始祖Merzbowの登場です❗️しかも、Discogsに寄れば、MerzbowがまだThe Lowest Music & Artsの頃の最初期の作品で、それをリマスター・リイシューした2枚組LPです。”Remblandt Assemblage”はまだ秋田昌美氏が一人で録音をして作製した作品で、相棒だった水谷聖氏は参加していません。Merzbowの歴史は古く、1979年に秋田昌美氏と水谷聖氏のデュオとして結成されますが、そのデュオのネーミングはKurt Schwittersの作品”Merzbau”の誤表記に由来すると言うことです。そして1989年からはMerzbowは秋田昌美氏の完全ソロ・プロジェクトになり、今までに数百枚の作品を世に送り出しています。まあ,ここで多くは語らなくても、皆さんは大体のバイオグラフィーは知っていると思いますので、省略させて頂きますが、ちょっとだけ補足をします。当初のレーベル名は”The Lowest Music & Arts”と言う通り、メール・アート/ミュージックの世界で活動を始めており、カセット作製が主な活動でした。その後、レーベル名を”ZSF Produkt (ズスフ・プロダクトと読む)”に改め、多量のカセット作品をリリースし、同時に世界中のアーティストやグループ及びレーベルとの親交を深めていきます。1990年代以降は,世界中のレーベルからレコードやカセット或いはCDと言ったフォーマットに囚われず、一時期は「月間メルツバウ」と言われる程の多量の作品をリリース。その最たるものが、それまでリリースした作品をコンパイルした50枚組CDボックス”Merzbox”を豪州のExtreme Recordsよりリリースしたことですね。また、cheap electronicsやlaptopなどを用いたライブ活動も活発に行っておりますし、コラボ作やコラボ・ライブも精力的にこなしています。その後は押して知るべし。straight-edgeなノイズ・プロジェクトとして活躍し、現在に至ると言う訳です。 それで本作品についてですが、秋田氏の初期のファインアートの作品に因んで名付けられたように、色んな音を寄せ集めて、ただ置いていくと言った手法が使われているのではないでしようか?多分、ジャパノイズと言われる、ずっと以前の作品ですから、電子音と言うよりも具体音や生音(なまおと)などを使っており、それこそ空き缶を叩いた音やプリペアード・ギターを弾いた音或いはラジオの音などを無造作に配置する、そんな音楽(=ノイズ・ミュージックと言っていいのかな?)になっています。なので、1990年代以降の音圧重視のノイズ・ミュージックではないです。極初期のMerzbowに興味があれば、是非聴いて欲しい作品ですね。ただし、(何度も言いますが)音圧は期待しないように❗️イタリアの浦島、いい仕事します。因みに、ジャケに使われているコラージュは秋田氏によるものです。これも作品理解の為のヒントになるかも❓ [Merzboxのヴァージョンより] https://youtu.be/OhiWMJPTjNM #Merzbow #RembrandtAssemblage #MasamiAkita #Urashima #NoiseMusic #EarlyRecording #Reissue
Noise Urashima 3700円Dr K2