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M.B. “Neuro Habitat”
M.B.ことMaurizio Bianchi。宅録ノイズ(宅録インダストリアル)としては最初のアーティストの一人だと思います。私がK2名義でノイズをやろうと思ったきっかけになったアーティストで、名前のイニシャルからのユニット名も彼に倣った。彼のバイオグラフィーは既に書いてますし、また私より詳しい方もいると思いますので、バイオグラフィーは省略しますが、少しだけ。彼は、Tangerine DreamやConrad Schnitzler或いはT.G.に影響を受けて、1979年8月にSacher-Pelz名義でカセット作品を出していましたが、1980年にM.B.と名乗る様になりました。それ以前には伊の音楽雑誌に記事を書いてたそうです。当時は世界多発的にインダストリアル・ミュージックやノイズ・ミュージックが勃興してましたが、それらの多くはメール・アート/ミュージックのネットワークに大きく依存してました。私がM.B.に興味を持ったのは、Fool’s Mateで秋田昌美さんが書いていた「世界の音楽」でのM.B.の紹介文でした。電子音(シンセ)、個人、メールアート、ノイズ・ミュージック、彼の活動の全てに引き寄せられました。特にカセット作品を使っていたこと、そして、de-composition (脱作曲)とrecreate (再構築)。彼は一度作って作品にしたものを、更に加工して別の作品にすると言う手法を用いています。私は今でも自分の曲にはde-composedと付けています。そんな状況の中で、1982年に自身のレーベルMectpyo Soundsからリリースしたのが、この”Neuro Habitat”です(「神経の住処」とでも言うんでしょうか?)。この作品も、そうですが、何度もCDやらLPで再発されています。今回、紹介するのは、BrumeのChristian Renouがリマスターした作品で、多分、一番新しいものじゃないですかね。A面が”Möder Unter Uns”で、ここではChristianはリマスタリングだけではなく、リミックスもしています。B面は”Neuro Habitat”で両面とも長尺の曲が1曲づつ納められています。なので、A面はオリジナルのトラックとは異なっていますし、この作品自体が200部限定なんですよね。それで内容なんですが、B面のタイトル曲は、M.B.お得意のディレイを効かせた電子音の曼荼羅で、中心になるシンセ音とそのディレイ音とが絡み合って、時間感覚の麻痺を誘うような音作りになっています。そしてかなりダウナーです。一方、リミックスもされたA面は単に電子音とディレイ効果と言うよりも、サンプリングによるコラージュやループなどのより複雑な音響処理が為されており、聴き応え充分な仕上がりになっています。どちらかと言うと「Brume plays M.B.」と言う風情でしようか。このトラックに関しては、BrumeことChristianの天才的音響的技術で原曲を更に”recreate”していると思いますよ。こちらは所々にM.B.っぽさもありますが、寧ろフラットな感じです。なので、マニアの皆さん、このリマスタリング盤も持っていた方が良いですよ❗️ Rotireliefヴァージョンは無かったので、オリジナルを。但し、聴く時にはある種の覚悟を持って! https://youtu.be/GKS1Rcm7eH0 #M.B. #MaurizioBianchi #NeuroHabitat #Rotorelief #MectopyoSounds #Remastering #Remix #ChristianRenou #Industrial #NoiseMusic #Electronics #Synthesizer #Delay
Noise, Industrial Rotorelief 2728円Dr K2
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White Hospital “Holocaust”
White Hospitalを、貴方は知っているか‼️と言う訳で、現GRIMの小長谷淳氏が、Vasiliskの桑原智禎氏と一緒に1980年代にやっていた、その前身とも言うべき国産インダストリアル/ノイズ・バンドです。これはWhite Hospitalの唯一の単独アルバムです。LPは高価で取引されてますが、2014年にオーストリアのSteinklang Industriesによって、同時期にリリースされていた”We Wish You Are Merry X’Mas”7㌅と未発表曲を加えて、CD再発されており、こちらの方が入手し易いかと。White Hopistalは1983年に、小長谷氏が桑原氏を誘って結成され、翌年に本作品をリリースしています。その後、分裂してしまいますが、このパワー・エレクトロニクスのスタイルは、恐らく日本初ではなかったのでしようか?担当は、小長谷氏がVoice performance, Synths, Tapes, Metal Percを、桑原氏がChurch Organ, Synths, B, Dr, Perc, backing-Voですが、リチュアルですらあるリズムと狂気のヴォイス・パフォーマンスは凄まじいテンションで、今でも全然通用するレベル、否、今以上にテンションは高いです。A-1”Hymn Of Heaven”の讃美歌的曲からの、A-2”Robotomy Operation”の怒涛のリズム、そしてA-3”Body And Flesh”のトライバルほ曲。この流れは完璧です❗️更にA-4”Transfer-15”のメタパーを使った、よりインダストリアルな曲も、素晴らしいです。B-1”Holocaust”のライブトラックも狂気が放出されてます。B-2”Ginny Voice”は一旦して、少女の声をフィーチャーした小曲、B-3”Fair Warning”は狂気のヴォイスの掛け合いからなる凶悪な曲。B-4”White Hospital”は高揚感のない讃美歌的な曲にテープ録音されたようなヴォイスが絡みます。と言う訳で、この時点で、完成度は高く、ここら辺の音楽性が現在のGRIMの原点であるようです。しかしながら、ここでの音楽は独特なインダストリアル感がありますね。皆さんも国産パワ・エレにも目を向けてみてください。 https://youtu.be/P0r7FK7yagw #WhiteHospital #Holocaust #EskimoRecords #JunKanagaya #TomoKuwabara #PowerElectronics #Industrial #Ritual
Noise, Industrial Eskimo Records 不明Dr K2
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Gerechtigkeits Liga “Hypnotischer Existenzialismus”
正義同盟を意味する独逸語のGerechtigkeits Liga(「ゲレヒティクカイツ・リガ」かな?以下G.L.と表記する)は西ドイツのBremenで1981年に結成されています。中心人物はTill Brüggemannで、それからカセット、ヴァイナル、VHSなどの媒体を多数リリースしており、本作“Hypnotischer Existenzialismus (催眠的実存主義の意?)”を初のコンセプチュアル・アルバムとして、SPKで有名なSide Effect Recordsより1985年にリリースしています(その前に12インチ”The Game Must Go On”をリリースしてます)。その時のメンツはTillとThomas Furchとのデュオでした。しかし、中央ヨーロッパや米国での人気もあって、この作品は翌年、米国SFのThermidor Recordsより再発されています。そして、1987年にはTillはロンドンに移っています。彼等は1980年代から1990年初期までは主にメール・アートやカセット・カルチャーの世界で活動しており、国際コンピなどで聴くことが出来るようでした。その後、沈黙しますが、Tillはライブをやろうと決意し、メンツを変えています。そして2006年にミュージシャンでプロデューサーであるDJ Ragnarの協力の元、ライブ活動を始めます。同年にはIsegrimm RecordsがアンソロジーCDをリリース、また2008年にはVinyl-On-Demandが過去作の2枚組LP+7inchシングル+DVD(初期のVHSの再発)のボックスセットをリリースしています。その後も、多数のヴァイナルなどをリリースしていますが、2011年には自身のレーベルZyklusより”Dystopia”LPをリリースします。この作品には古い友達であるJohn Murphy(Kraang)が参加しています。Johnは2015年に死去しますが、彼のやってたパンドLast Dominion Lostに、彼の死後Tillは加入し、元々のG.L.は消滅したようです。 それで、本作品ですが、適度にトライバルなリズムを使い、その上で、テープ音やそれらのショート・ループ、更には過剰なディレイをかけた電子音が横わると言う、如何にもSPKのグレアムが好きそうなインダストリアル・ミュージックに仕上げでいます。メール・アートの地下人脈で培った音楽ですね(私もメール・アートをやっていたので、何となく分かります)。意外とヴォイスは入れないのが、彼等のスタイルでしようか?割と短かい曲が多いのですが、それだけアイデアがあったのでしよう。そんなTillが率いたG.L.の地下工業音楽はどうでしょうか? https://youtu.be/nTOgbwLvaYQ #GerechtigkeitsLiga #HypnotischerExistenzialismus #SideEffectRecords #Berlin #Post-Industrial #Tribal #TillBrüggemann #ThomasFurch
Noise, Industrial Side Effect Records 不明Dr K2
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Throbbing Gristle “D.o.A. The Third and Final Report”
この一枚が私の音楽活動を180度変えてしまいました。そうです、Throbbing Gristle (TGと略します。その意味は「脈打つ男根」と言うスラング)のセカンド(?)アルバムです❗️これを高校2年の駿台夏期講習で東京にいた時に購入したのが運の尽き。それまではテクノ・ポップが大好きだった私の脳みそに、このアルバムはショックを与えたのです。今まで聴いたことの無言うタイプの音楽?音楽なのか?そんな不気味さがその時はありましたねぇ。しかもメンバーにはテープとマシン担当と言うPeter “Sleazy” Christophersonがいるし。そもそも、普通、バンドと言ったら、ギター、ベース、ドラムそれにいてもキーボードだろう?なんだ⁈ この編成は?とその時は思いました。しかも、収められてる曲にはコンピューターのバグ音、ロックの残骸、ヴァイオリンの弾き語り(GenesisがCoseyをChrisに寝取られたことに対する悲しみの曲)、エレ・ポップ調の曲(ABBAのサンプリング)、フィールド録音、シングルの早回しなどテンでバラバラな内容。特に、名曲 ”Hamburger Lady”は全身に火傷を負ったオランダ人女性のことみたいで、かつ音も鬱々とした単調な曲で。またジャケも小児性偏愛のサブリミナルが入っているし。田舎の高校生には疑問だらけ、刺激だらけのアルバムでした。それを理解しようと一生懸命聴いてましたね。そんな訳で、このアルバムは、私のインダストリアル・ミュージック強いてはノイズ・ミュージックへの入り口となったターニング・ポイント的な作品だったのです。今でも刺激的なアルバムなので、未聴の方は今からでも聴いてみてください。きっと何かを得ることができますよ。因みに、D.o.A.とはDead on Arrivalのことで、救急車が到着した時に心肺停止の状態の意味です。 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLMMTrEN3GJc5fXFn_8fq-WBKGUSB0kFau “Five Knuckle Shuffles” https://youtu.be/03zSxCaaaLM #ThrobbingGristle #D.o.A. #IndustrialRecords #Industrial #HamburgerLady #Weeping
Noise, Industrial Industrial Records 2200円位?Dr K2