音が味を変える?音楽と食についての話
こんにちは、あゆとみです。 https://muuseo.com/67camper/items/70 音楽と食の関係について色々読んでいたら、こんなおもしろい実験についての記事をみつけた。 モニターにタフィーが配られ、まずは高音のピアノがBGMとして流れる中、試食してもらう。試食後にどんな味だったのかを答えてもらう。 次に、BGMを低音の弦楽器の音楽に変えて、試食してもらう。再び、どんな味だったのかを答えてもらう。 すると、高音のピアノの時のタフィーは大多数の人が「甘い」と答えたが、低音の弦楽器がBGMの時のタフィーは、大多数が「苦い」と答えた。 https://www.youtube.com/watch?v=u5swTEqQTPE https://www.youtube.com/watch?v=mGQLXRTl3Z0&list=PLGgBZqyNcp-bLdU9dF33CQfOzOysR4WTQ 全く同じものでもBGMを変えるだけで印象が真逆になったというわけだ。 音が味を変えた━いや、味が変わったように錯覚させられたということだろうか。 こうした感覚の「錯覚」とも言える現象を「クロスモーダル現象」と言うそうだ。 「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」という別々の五感のうち、一つの感覚が刺激されることによって他の感覚も刺激を受け、見てないものを見た気になったり、聴いてないものを聴いた気になったり、嗅いでない匂いを嗅いだ気になったり、食べてないものを食べた気になったりと、脳が錯覚する現象のことで、例としてよく上がるのが、大トロのお寿司の動画を見ながらトロではないもの(マグロの赤身、サーモン、アボカド)を食べても大トロの味がするというものだ。PlayStation VRはこの現象を活用した製品だとか。 https://muuseo.com/hachi/items/232 「クロスモーダル現象」研究の第一人者、オックスフォード大学のチャールズ・スペンス博士が行なった別の実験についても記事は伝えている。 まずはモニターに「ベーコン・エッグ・アイスクリーム」が配られる。 一瞬目を疑ってしまうような名前だが、実在するアイスクリームらしい。(美味しいのか?という疑問はひとまず置いておこう) この実験では最初に、ニワトリがコッコッコと鳴いているBGMをかけ、モニターにアイスクリームを食べてもらう。次に、ベーコンがジュワーっとフライパンで焼かれているBGMをかけて試食してもらう。 その結果、ニワトリの声を聴きながら食べた時は大多数の人が「卵の味が強い」と答えたが、ベーコンを焼く音を聴きながら食べた時は同じく大多数が「ベーコンの味が強い」と回答したのだという。 https://www.youtube.com/watch?v=GXVqXllMeFg https://www.youtube.com/watch?v=1nINoMsSqUY https://www.youtube.com/watch?v=5EzoMS9gGug https://blogs.scientificamerican.com/food-matters/pitchfork-the-relationship-between-sound-and-taste/ 聴いている音で味が変わって感じられるなんて、サウンドはまるで食事にとっての魔法のスパイスのようではないか? このマジックに気づいて、ビジネスに変えた人の一人にシェフのバーバラ・ワーナーがいる。 ある日彼女は、仕事場のステーキハウスで夕飯をとっていた。その夜のメニューは、プティ・フィレミニョンステーキとガーリック・マッシュポテトだった。 https://www.youtube.com/watch?v=3tA0Pd5C4TQ ヘッドホンからはルチアーノ・パヴァロッティが歌う誰も寝てはならぬが流れていた。 https://www.youtube.com/watch?v=rTFUM4Uh_6Y やがて彼女はいつものステーキがいつも以上に美味しく感じられることと、聴いている音楽との間に関係があるのではないか?と思い立った。それが彼女の新ビジネス「ミュージカル・ペアリング」(www.musicalparing.com)の始まりだったという。 https://www.youtube.com/watch?v=P12YxRNlxmI ざっくりいうと、食事と最高に相性のいい曲をペアにして、客にもっと美味しい食事体験をサービスするビジネスだ。 曲も適当に選ぶのではなく、一つ一つの要素まで細かく分析して、マッチするように厳選されているらしい。 提供の仕方も、店でただBGMをかけるのではなく、客にそれぞれヘッドホンが与えて、一品ごとにその品とペアの曲をがっつり聴きながら食べるところがとても斬新で面白い。 もっともいくつか疑問点はある。 1曲が大体5分だとして、5分以上時間をかけてゆっくり食べる人はどうなるのだろう?その一品を食べ終わるまで、何回も同じ曲をリピートして聴くのか? いくら食事と曲との相性が最高だと言っても、もともと好きじゃないタイプの曲だった場合は、楽しめるのか? などなど。 ただ、彼女のこのビジネスは大好評のようで「グッドな食事をグレートに。グレートな食事をパーフェクトに」をモットーに、西海岸のサンフランシスコから東海岸のニューヨークまで数多くのレストランで名だたるレストランの食事をプロデュースしているそうだ。 実際に彼女が「ペアリング」した一例をあげてみよう。 「クリームブリュレ」とハリー・コニック・ジュニアのIt Had to Be You。 https://www.youtube.com/watch?v=Cmg5scf0Ilw https://www.youtube.com/watch?v=Cmg5scf0Ilw ミュージカル・ペアリングを実際に体験するにはアメリカに行かなければいけないが、気軽に試せる無料のアプリもあるようだ。 https://itunes.apple.com/jp/app/musical-pairing/id948847052?mt=8 こうしたサウンドを使って味覚を活性化させる動きは、ますます食品業界に拡がっていく気配があるようだ。 前述のスペンス博士はスターバックスの店内で流すBGM作りにも関わっているそうだし、同じような効果を狙って、牡蠣レストランやスーパーの鮮魚店売り場で波の音を流したりする動きもあるらしい。 この点を意識しながらレストランやスーパーに行くとまた違う楽しみができそうだ。 https://muuseo.com/muuseo_staff/collection_rooms/8#!page-2 まずは元が美味しいものありきだとは思うが、たとえ味覚の錯覚であれなんであれ、美味しいものがさらに美味しくなるという話なら、食いしん坊の私には願ったり叶ったりなのである。 #クロスモーダル現象 #Barbara_Werner #パヴァロッティ #Nussun_Dorma #誰も寝てはならぬ #musical_paring #ハリー・コニック・ジュニア #it_had_to_be_you