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乙女の祈り ~CLASSIC IN BOSSANOVA / シンガース・スリー/池野成秋とプレイ8
シンガース・スリーは伊集加代子が中心になったコーラス・グループ。伊集加代子と言われてもピンと来ない人が多いかも知れませんが、名前は知らなくても、日本人なら間違いなく聞いたことのある声の持ち主です。ネスカフェ・ゴールドブレンドの♪ダバダ~の人です。11PMのシャバダバシャバダバも、旧ルパンのダッダバダッダバダ~も、新ルパンのルパン・ザ・サ~も、全部この人です。ハッキリ言って、我が国の♪シャバダ~のほとんどがこの人です。ちなみに、『アルプスの少女ハイジ』のオープニング・テーマ「おしえて」を歌ってるのも、この人です。なにしろ、スタジオコーラス・CMソングなど数千作品に参加した「スキャットの女王」なのですから、もう日本人のDNAに刷り込まれた声だといって過言はないでしょう。 そんな伊集加代子が率いるシンガース・スリーが、ジャズ・ピアニスト池野成秋によってボサノバ化したクラシックの名曲をシャバダバと彩る名盤。これぞラウンジの極み、なんてイマ風、と思いきや発売は1968年!私ゃ、まだ生まれてませんよ。そんな時代ですから、ラウンジなんて言葉は使わず、上質のイージーリスニングと呼びたいですね。こんなオシャレで小粋な音楽が大昔に既に存在していたとは!それを21世紀になって聞けるとは!いやぁ、嬉しい復刻ですねぇ。ジャケットに使われてる書体がやたら古臭かったり、デザインがちょっと怖い気もするんですが、中身は素晴らしいので、すぐに買いましょう。
DIW 1968年大吉GUY
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Linda & the Big King Jive Daddies
ボーカルのリンダちゃんの蓮っ葉かつ下品な歌声が諸兄の股間を直撃するノリノリの一枚。1998年に名古屋で結成、アメリカに渡ってSLIMSTYLE RECORDSというインディーズ・レーベルから発売したCDの売上枚数が3万枚を超えたという伝説のネオスイング・バンド。スマイリー加藤による、いかにもキッチュで安物っぽくていかがわしい雰囲気をまとったジャケットが、コカコーラとドーナツなイメージを必要以上に強調していて素晴らしい。収録曲もナット・キング・コールの「ルート66」、ローズマリー・クルーニー(そして江利チエミ)の「カモナ・マイ・ハウス」、デューク・エリントン作曲の「I’m Beginning To See The Light」などのカバーがてんこ盛りで、これまたテールがピンと尖ったフォード・フェアレーン・ギャラクシー(色はピンク!)でパラシュートスカートなイメージを醸し出し、気分は否が応でもギブミー・チョコレート、古き良きアメリカなのです。このトータルコーディネイトにも程がある販売戦略の直撃を食らった人たちは夜な夜な腰を振り振り聞き入るのでありました。残念ながらリンダちゃんがアメリカに行っちゃってバンドは解散(他のメンバーはサラリーマンをやっているらしい)、これは彼らが残した唯一のアルバムの再発盤なのだが、未収録音源の入ったオムニバス『JUMP AROUND THE WEST COAST』や、リンダちゃんひとりの『ROCKIN' GOLDIES SHOW』、『SWEET DEVIL』とアルバムを発表しているので、ハマった方は追いかけてみましょう。
DIW 2003年大吉GUY