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メタルフィギュア “アーガイル&サザーランド・ハイランダーズ連隊” 軍曹・パグパイパー(Argyl & Southerland Highlanders, Piper)
英国King & Country社の秀逸なメタルフィギュア、スコットランドの歩兵連隊『アーガイル&サザーランド・ハイランダーズ連隊』(Argyle & Southerland Highlanders Regiment)のパグパイパーのフィギュアです。 英軍のうちスコットランド🏴の部隊は、ラッパ卒の代わりにスコットランド伝統のパグパイプを奏するバグパイパーを使い、進軍するときや突撃を鼓舞するときに🚶〜🎵🎶♬〜とパグパイプの音色を戦場に響かせるのです。 映画「史上最大の作戦」でも、そのようなシーンがありましたよね。ロバット卿率いるコマンドがペガサス橋に到着する時のシーン。あれです☝️ このフィギュアは英国モノですが、豪州シドニーのメタル・フィギュア専門店、「Peter Nathan Toy Soldier」にて2023.11月に購入。(購入日記はこちら💁 https://muuseo.com/T.S_beer_wagons/diaries/483 ) ハンド・ペイントによる素晴らしい逸品で、K & C社のラインナップのうち、第2次大戦のイギリス第8軍シリーズ(8th Army)のひとつ。 細かく再現された袖の階級章を見ると、みっつの山なのでこの人は軍曹ですね。。 このフィギュアはすでに絶版品となっており、今回、豪州のお店で「最後の一つ」と奥の在庫から出してきてもらいました。 上腕部には、2枚目の写真にある“ハイランド師団”の(HD)の記章が付いておりますが、第2次大戦当時、スコットランドで編成された2つの師団は、第51師団がこのハイランド師団(Highland Division)で、もう一つが第52師団でローランド師団(Lowland Division)、ローランドのほうはスコットランド国旗をモチーフとした記章ですが、ハイランド師団はこの紺色地に赤いHDの文字が入ったものでした。 タータンの柄、抱えているバグパイプなど、見れば見るほど細かく仕上げられております。 キルトのマッケンジー・タータン柄は、ちょっと塗りが大雑把かなw 【部隊解説】 アーガイル&サザーランド・ハイランド連隊は、1794年にスコットランド・アーガイル地方において編成された第98(アーガイルシャー・ハイランダーズ)歩兵連隊(→1796年に第91(アーガイルシャー・ハイランダーズ)歩兵連隊)に改名)と、 1799年に編成された第93サザーランド・ハイランダーズ連隊とが、1881年に統合されて編成された戦列歩兵連隊でした。 統合前はナポレオン戦争、クリミヤ戦争に(シン・レッド・ラインの逸話がこの93連隊です)、ズールー戦争に、統合後もボーア戦争等の帝国主義時代の各植民地戦争、そしてWW1、WW2の2度の大戦に従軍しています。 そして、戦後もしばらく存続していましたが、さいごはイラク戦争に従軍ののち、軍縮、再編の波に飲み込まれ、2006年の陸軍再編により6つのスコットランドの歩兵連隊が大統合し『王立スコットランド連隊』(Royal Regiment of Scotland)が生まれますが、アーガイル&サザーランド・ハイランダーズはその第5大隊(空中強襲大隊 5 SCOTS)に再編成され、現在でも存続しています。
メタルフィギュア King & Country 豪$70T. S
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メタルフィギュア “ジャコバイト反乱軍 高地人兵士” (Jacobite Highlander)
チェッカーズのフィギュアではアリマセン☝️ 英国の伝統工芸品とも言える、キング&カントリー社の54mmメタル・フィギュア・シリーズより、「ジャコバイトの反乱軍 高地人兵士」です。 英国モノですが、豪州シドニーのメタル・フィギュア専門店、「Peter Nathan Toy Soldier」にて2023.11月に購入。(購入日記はこちら💁 https://muuseo.com/T.S_beer_wagons/diaries/483 ) ハンド・ペイントによる素晴らしい逸品。イングランド政府軍に果敢に挑み掛かるジャコバイト軍のハイハンド戦士の像、躍動的なポージングが素晴らしいですね👏 ジャコバイト…。 17世紀の後半、英国では名誉革命によるクーデターでカトリックのスチュワート王家、イングランド国王ジェームズ2世(スコットランド国王としてはジェームズ7世)がフランスに追放され、プロテスタントのハノーバー王家の統治が始まります。 しかし、これに対し「ジェームズ王こそ正当な王」だと主張して革命派に反旗を翻した一派か「ジャコバイト」と呼ばれる勢力でした。(ジェームズのラテン語読みがJacobであることからそう呼ばれた) ジャコバイト派はイングランド🏴の外のスコットランド🏴やフランス🇫🇷で勢力を強めて巻き返しを狙い、1715年の第一次反乱ではいったんはスコットランド全土がジャコバイト派に支配されるものの、イングランド政府側についたアーガイル公ジョン・キャンベル率いる政府軍に鎮圧されていったんは反旗の火は衰えました。 しかしスチュワート家の巻き返しを狙うジャコバイト派は諦めません。 1745年、追放されていたスチュワート王家のジェームズ3世の子、スコットランドで根強い人気のあったチャールズ王子を盟主とし、再びフランスから英本土に上陸、またたく間にスコットランドで勢力を巻き返したのでした。 これが第二次ジャコバイトの乱です。 しかし、優勢だったのも束の間、体勢を立て直したイングランド政府軍にスコットランドの北部まで追い詰められたジャコバイト反乱軍は、最後は「カローデンの戦い」で壊滅、チャールズ王子はフランスに逃亡。 以降、スコットランドではイングランドの圧政のもと、タータン使用の禁止、ゲール語の禁止など、徹底したイングランド化が図られてスコットランド文化は廃れさせられてしまうのです。 そして、勇壮な戦士だったスコットランド北部の士族(クラン)の壮丁たちは、精強果敢なハイランド兵としてイングランド軍に組み込まれていったのです。 じつは私の好きなスコッツ・グレイ騎兵連隊をはじめ、草創期の英軍のスコットランド兵🏴部隊のうちのいくつかは、カローデンの戦いの頃には既にイングランド🏴側に組み込まれて政府軍側としてジャコバイト軍と戦ったので、カローデンでは同胞相撃つ悲惨な光景が繰り広げられたのでした。
メタルフィギュア King & Country 豪$70 豪州シドニー「Peter Nathan Toy Soldier」模型店T. S
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メタルフィギュア “第2竜騎兵スコッツ・グレイ連隊”(2nd Dragoon Scots Greys)突撃
英国King & Country社のメタルフィギュア、スコットランドの伝統ある騎兵連隊『スコッツ・グレイ連隊』のナポレオン戦争当時の騎兵フィギュアです。 “CHARGING”という商品名で、剣をかざして敵陣に突撃中の勇壮な姿をモデル化しています。 2年ほど前、ロンドンのTradition of Londonという専門店から海外通販で購入しました。職人の手塗りによる素晴らしい逸品、価格は51.85ポンド(送料別)でした。 K&C社のナポレオニック・シリーズで、ナポレオンとの最後の対決であるワーテルローの戦いを再現したモデルです。 スコッツ・グレイ連隊(第2竜騎兵連隊)は、ポンソンビー少将率いる第2騎兵旅団の重騎兵戦力としてゴードン・ハイランダーズ連隊の歩兵とともにフランス軍陣営に突撃を敢行、フランス軍第45歩兵連隊の軍旗を奪うなど活躍しますが、当初400騎以上だった戦力は最後は半数にまで減ってしまったそうです。 スコッツ・グレイ連隊については、チャレンジャー2戦車の掲載ページ(https://muuseo.com/miniature-models-bottles/items/113)もご参照ください。
メタルフィギュア King & Country 51.85£ Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “第2竜騎兵スコッツ・グレイ連隊”(2nd Dragoon Scots Greys)ラッパ手
英国King & Country社のメタルフィギュア、スコットランドの伝統ある騎兵連隊『スコッツ・グレイ連隊』のナポレオン戦争シリーズの騎兵フィギュアです。 こちらは“Bugler”と呼ばれる”ラッパ手”です。 このナポレオニック・シリーズでは、ナポレオンとの最後の対決であるワーテルローの戦いを再現したフィギュアの数々が発売されています。 2016年頃?だったと思いますが、ロンドンのTradition of Londonという専門店から通販で購入しました。職人の手塗りによる素晴らしい逸品で、価格は51.85ポンド(送料別)でした。 流石になかなかのお値段です。 ナポレオン戦争のワーテルローの戦いでは、スコッツ・グレイ連隊(第2竜騎兵連隊)は、ポンソンビー少将率いる第2騎兵旅団の重騎兵戦力としてゴードン・ハイランダーズ連隊の歩兵とともにフランス軍陣営に突撃を敢行…、フランス軍第45歩兵連隊の軍旗を奪うなど活躍しますが…、当初400騎以上いた戦力は最後は半数にまで減ってしまったそうです。 スコッツ・グレイ連隊については、チャレンジャー2戦車の掲載ページ(https://muuseo.com/miniature-models-bottles/items/113)もご参照ください。 このシリーズ、もっと何種類も発売されているので、たくさん集めて並べてみたいところですが、いかんせん”高価”で…、、、さすがになかなか気軽にポチっとできません。。。 ずらっと10騎くらい欲しいんですが…。
メタルフィギュア King & Country 51.85£ Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “第42ブラック・ウォッチ連隊”(42nd The Black Watch)立像
英国King & Country社の秀逸なメタルフィギュアです。 スコットランドの『第42(王立ハイランド)ブラックウォッチ歩兵連隊』(42nd (Royal Highland) Regiment of Foot (The Black Watch))のナポレオン戦争当時の歩兵のフィギュアです。 このシリーズで歩兵は3体持っていまして、そのうちの立像の1体です。ワーテルローでの方陣形の後列の歩兵を再現したものだと思います。 背嚢やザック類なども細かく仕上げられており、腰の青い水筒(canteen)に「B Coy」とあるので、42連隊のB中隊の兵のようです。 このキャンティーン、本物はなんと木製なのです。ウイスキー樽と同じように側板と鏡板を組んで鉄輪で締めて出来ており、当時、樽職人(cooper)が作っていたのでしょう。 通称”Italian Canteen”と呼ばれていたそうですが、なんでイタリアンなんでしょうかね? 背中のリュックには第42連隊の「42」の白い数字が書き込まれています。このリュックは”Mr. Trotter's Knapsack”と呼ばれ、つまり「旅行者さんのナップサック」ということでしょう。身の回りの物などを入れていたのかもしれません。 さて、これらのメタルフィギュアは確か2015年頃にロンドンのTradition of Londonという専門店から海外通販で購入しました。職人の手塗りによる素晴らしい逸品で、価格は20.5ポンド(送料別)でした。 ブラックウォッチ連隊について詳しくは、ウイスキー“ホワイト・ヘザー”の陶器ボトルのページ(https://muuseo.com/miniature-models-bottles/items/116)をご参照ください。
メタルフィギュア King & Country 20.50£ Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “第42ブラック・ウォッチ連隊”(42nd The Black Watch)片膝立ち
英国King & Country社の秀逸なメタルフィギュアです。 スコットランドの『第42(王立ハイランド)ブラックウォッチ歩兵連隊』(42nd (Royal Highland) Regiment of Foot (The Black Watch))のナポレオン戦争当時の歩兵のフィギュアです。 このシリーズは3体持っていまして、そのうちの“片膝立ちポーズ”のフィギュアですが、この姿勢はまさにワーテルローの戦いで1万騎のフランス騎兵の突撃に対抗してイギリス歩兵部隊がとった「方陣」の陣形の、最前列の兵が取った姿勢です。 ひとつの方陣ごとに、500人の歩兵が横隊で3列に並び、最前列はこの片膝態勢で銃剣を45度の角度で構え、2列目、3列目が立って隙間なく並び、そしてその列はぐるっと四角く一周繋がって、全方位からの攻撃に耐えられるよう方陣となります。 そして、最前列の槍ぶすまと後列からの射撃で、敵の騎兵に突っ込まれるのを防ぐ陣形です。 ワーテルローでは、ナポレオン麾下のネイ元帥率いるフランス騎兵・1万騎の津波のような突撃を受け、イギリス軍は広い戦場にこの方陣を20個組んで迎え撃ち、数個の方陣は無残にも破られ壊滅したそうですが、残りが持ちこたえてフランス騎兵を撃退、最終的に会戦の勝利のきっかけを生んだのでした。 このフィギュアは、たしか2年ほど前、ロンドンのTradition of Londonという専門店から海外通販で購入しました。職人の手塗りによる素晴らしい逸品で、価格は20.5ポンド(送料別)でした。 ブラックウォッチ連隊について詳しくは、ウイスキー“ホワイト・ヘザー”の陶器ボトルのページ(https://muuseo.com/miniature-models-bottles/items/116)をご参照ください。
メタルフィギュア King & Country 20.50£ Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “第42ブラック・ウォッチ連隊”(42nd The Black Watch)立射
英国King & Country社の秀逸なメタルフィギュアです。 スコットランドの『第42(王立ハイランド)ブラックウォッチ歩兵連隊』(42nd (Royal Highland) Regiment of Foot (The Black Watch))のナポレオン戦争当時の歩兵のフィギュアです。 このシリーズは3体持っており、そのうち立ってマスケット銃を撃つ“立射ポーズ”のフィギュアです。 たしか2年ほど前、ロンドンのTradition of Londonという専門店から海外通販で購入しました。職人の手塗りによる素晴らしい逸品で、価格は20.5ポンド(送料別)でした。 ブラックウォッチ連隊について詳しくは、ウイスキー“ホワイト・ヘザー”の陶器ボトルのページ(https://muuseo.com/miniature-models-bottles/items/116)をご参照ください。
メタルフィギュア King & Country 20.50£ Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “ゴードン・ハイランダーズ連隊” 大尉 サルート(Gordon Highlanders Captain)
こちらも英国King & Country社の秀逸なメタルフィギュア、スコットランドの歩兵連隊『ゴードン・ハイランダーズ連隊』(Gordon Highlanders Regiment)の士官のフィギュアです。 たしか2年ほど前、ロンドンのTradition of Londonという専門店から海外通販で購入しました。職人の手塗りによるもので、価格は46ポンドくらい(送料別)でした。 K & C社のラインナップのうち、第2次大戦のイギリス第8軍シリーズ(8th Army)のひとつで、細かく再現された両肩の階級章を見るとこの人物は大尉(Captain)ではないかと思われます。 上腕部には、3枚目の写真にある“ハイランド師団”の(HD)の記章が付いておりますが、第2次大戦当時、スコットランドで編成された2つの師団は、第51師団がこのハイランド師団(Highland Division)で、もう一つが第52師団でローランド師団(Lowland Division)、ローランドのほうはスコットランド国旗をモチーフとした記章ですが、ハイランド師団はこの紺色地に赤いHDの文字が入ったものでした。 ゴードン・ハイランダーズ連隊はこの師団を構成する部隊の一つとして、フランス戦のダンケルク撤退で壊滅的な打撃を受け、再編後は北アフリカのエルアラメイン戦や、シシリー島の戦い等々に参加しています。(一部の部隊はシンガポールに派遣され日本軍とも戦っています。) ところで、キルトのタータン柄を見ても若干色目が実物と違っているため、最初はどの連隊か特定するのが難しく(※商品名もScotish Officerと、特に連隊を指定していない)、シーフォース・ハイランダーズ連隊にも見えますが、同連隊のマッケンジー・タータンだとこの柄の上に赤い細い線が入っているので…、そこで、頭にかぶっている帽子(グレンゲリー)の左側のシルバーの記章をよく見てみるとゴードン・ハイランダーズ連隊のバッジであることが分かりました。(写真は、wikipediaの同連隊の解説ページにある記章です) タータンの繊細な柄、腰の前に下げているスポーランや、エンフィールド拳銃を入れているであろうホルスターなど、見れば見るほど細かく仕上げられており…、素晴らしいです。 この人、普段は私の結婚指輪の管理人です。 帰宅すると、朝まで指輪をこの人に預かってもらっています。 補足: ゴードン・ハイランダーズの起源は1794年に創設された第92ゴードン・ハイランダーズ歩兵連隊で、ナポレオン戦争では有名なワーテルローの戦い等に参加しています。 その後、1881年に第75スターリングシャー歩兵連隊と統合され、ゴードン・ハイランダーズ連隊となり、この体制で第2次大戦までを戦い抜きます。 そして現代、冷戦崩壊後の1994年の大改編により、クイーンズ・オウン・ハイランダーズ(シーフォース&キャメロン)連隊と統合されて『ハイランダーズ(シーフォース、ゴードン&キャメロン)連隊』となります。 その後、2006年の大統合により6つのスコットランドの歩兵連隊が統合し、現在の『王立スコットランド連隊』(Royal Regiment of Scotland)を構成、ハイランダーズはその第4大隊(機械化歩兵部隊)としてその名を残して現在に至ります。
メタルフィギュア King & Country £46 Tradition of London(メタルフィギュア専門店)T. S
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メタルフィギュア “第7クイーンズ・オウン軽騎兵連隊”(7th Queen's Own Hussars)
このコレクションルームの第1弾は、英国King & Country社の素晴らしいメタルフィギュア『第7クイーンズ・オウン軽騎兵連隊』(7th Queen's Own Hussars)のナポレオン戦争期の騎兵フィギュアです。(※フサーズ=軽騎兵) このフィギュアは、いまから26年前の1992年8月に祖父母と英国に旅行に行った際、ロンドンの専門店で購入したものです。なぜ覚えているかというと、今回見てみたら台座の裏に購入日が書いてありました…。 職人の手による素晴らしい彩色が施された逸品で、当時の軽騎兵=フサーズ特有の派手な肋骨服を綺麗に再現したモデルです。 ナポレオン戦争の頃は”7th (The Queen's Own) Regiment of Light Dragoons”(第7クイーンズ・オウン軽竜騎兵)という名称だったため、このフィギュアの腰の後ろにあるバッグ(毛布を巻いたもの?)の側面に、そのイニシャルの『7 LD』(ライト・ドラグーン)と極めて細かい字で描かれています。 第7クイーンズ・オウン軽騎兵連隊は、今から約330年前の1690年にスコットランドで編成され、1715年のジャコバイトの乱の鎮圧をはじめ、1750年代~の7年戦争、ナポレオン戦争に従軍します。 ナポレオン戦争においては各地を転戦、とくにイベリア半島において有名な「コルーナへの撤退戦」の殿軍を務めて多くの犠牲を出しますが、本隊が英本国へ脱出するチャンスを稼ぎました。 その後再編成された第7軽騎兵連隊は、かの有名な「ワーテルローの戦い」に参加します。 英軍戦線の最右翼を担当した連隊は、この戦いで最も激しい戦闘の一つであったウーグモン城館を巡る戦いに参加、合計で14回の突撃を敢行しナポレオン率いるフランス軍と激闘を繰り広げ、戦いの前には120騎だった兵力は最後は19騎にまで減りながらも、最終的な英軍の勝利に貢献したのでした。 その後、インドの大反乱(セポイの乱)等の数々の戦歴を重ね、第1次大戦では中東戦線でトルコ軍と戦い、戦後は第2次大戦の直前の1935年、遂に騎兵たちは馬から降りて“機械の馬”である戦車に乗り換え、部隊は戦車連隊に改編されました。 連隊が最初に装備した戦車はマークⅡ歩兵戦車です。 1940年、第2次世界大戦が始まると第7軽騎兵連隊は北アフリカに派遣されます。緒戦のフォート・カプッツオの戦いにおいてイタリア軍に圧勝しましたが(戦車112両撃破/2万名の捕虜を得る→オークニーの捕虜収容所へ送られた連中でしょうか?)、後に“砂漠の狐”の異名を取るロンメル将軍率いるドイツ・アフリカ軍団が北アフリカ戦線に登場するや、形勢は逆転します。 ロンメルが指揮するドイツ軍の反撃により、今度は逆にイギリス軍がエジプト方面に押し返され、すっかり戦力を消耗して手持ちの戦車がたった2両にまで減少して壊滅状態となった第7軽騎兵連隊は、再び第一線から下げられて再建されることになったのです。 しかし、逼迫する情勢は連隊に休息を与えることはありませんでした。 アジア方面において破竹の進撃を続ける日本軍により、ビルマ方面の英軍が危急を迎えていたのです。そこで連隊は、アメリカからの戦略支援物資として提供された「M3ハニー軽戦車」により再編成されるや、今度はジャングルと泥沼のビルマ戦線に送り込まれたのでした。 連隊が投入された頃には既に戦線は崩壊しつつありました。 イギリス・ビルマ方面軍はインドに向けて総退却を始め、このなかで第7軽騎兵連隊は、ナポレオン戦役以来の殿軍を務めて味方の撤退を助け、最後には退却路をさえぎるチンドゥイン河を前に全ての戦車を放棄して兵のみが渡河、残る150マイルを徒歩で撤退を続けて無事にインパールまで撤退することが出来たのですが、またもや壊滅状態となった連隊は第一線から後方に下げられ、エジプトにおいて2年間かけて再編成にはいります。 その後、新たな兵と戦車で再建された連隊は、ドイツ軍と対峙するイタリア戦線に送り込まれ、1945年5月の欧州戦役の終結まで戦い続けたのです。 このように、第7軽騎兵連隊の戦歴を振り返ると、毎回のように苦しい戦いに送り込まれ、その度に全滅状態となりながらも新たな兵員により再編成を繰り返しては激戦に送り込まれています。故郷を遠く離れた異郷の地で命を落とした多くのスコットランド軽騎兵達…。 数多い英陸軍の戦車(騎兵)連隊のなかでも、最も過酷な戦歴を誇る連隊のひとつではないかと思います。 戦後は香港に駐留したのち、1958年の軍縮再編の波により“キングス・オウン第3軽騎兵連隊”と統合して“クイーンズ・オウン軽騎兵連隊”となり、さらに冷戦崩壊後の陸軍の大改編により、1993年に“王立クイーンズ・アイリッシュ軽騎兵連隊”と統合して“王立クイーンズ軽騎兵連隊”(Royal Queen's Own Hussars)として改編され、現在に至ります。 近年では、歴戦の戦車連隊として最新の“チャレンジャー2戦車”を装備し、イラク、アフガニスタンにも派遣されています。 重戦車を装備している現在でも、”軽騎兵=Hussars”を名乗っているあたりが、伝統を重んじるイギリス軍らしくていいですね。 いつか、アフリカ戦線でのクルセーダー巡航戦車、ビルマ戦線のM3ハニー軽戦車、香港駐留のコメット巡航戦車、そして現代のチャレンジャー2戦車など、7th Hussarsの歴史を1/35模型でも再現して、この騎兵フィギュアと並べてみたいものです…。(一部のキットを買ってはあるのですが、時間が…。←言い訳) ※2020.5.11追記 軽騎兵の原語“Hussars”ですが、以前は“ハッサーズ”だと思っていたのですが、映画「遥かなる戦場」(The Charge of the Light Brigade)を観たら、発音としては『フッサーズ』とか『ッフサーズ』のように、最初の『Hu』に力を込めない発音でした。日本語的に書けば『フサーズ』が最も近いかと。 ですので、上記本文もそのように書き直しました。
メタルフィギュア King & Country ロンドン 1992年8月T. S