-
Curtagon f:4/28 mm
このレンズについてはあまり情報がないのですが,Kodakのレチナ用交換レンズ(DKLマウント)のなかでは最も広い画角をカバーする広角レンズです。広角側が28mmというのは現在の感覚ではかなり残念な感じですが,レチナが現役だった時代は十分に広角だったと思います。 CurtagonはSchneider-Kreuznachのレトロフォーカス型のレンズ銘の一つで,28mmや35mmがあったようです。exaktaやM42マウントのものも多く作られています。DKLマウントのレチナはレンズビハインドシャッター方式の一眼レフなので,後玉の径に大きな制約があって,最短撮影距離が長いものが一般的です。exaktaやM42マウントのものは最短撮影距離が短いので,現代にあって,あえてDKLマウントのレンズを選択する理由はあまりありません。手元にDKLマウントのレンズが増えてくるとついつい手を出してしまった,という,もはや何が目的かわからないような理由で入手しました。 レチナのDKLマウントレンズは初期には距離計連動式のレンジファインダカメラでも使えるように距離計連動用のカムがついていましたが,後に一眼レフのみに対応してカムが省略されるとともに少し最短撮影距離が短くなりました。Curtagonも後期のモデルでは最短撮影距離は60cmに短縮されています。そうはいっても十分に最短撮影距離は長いので使い勝手はよくありません。 レンズ構成は典型的なレトロフォーカス型だと思われますが,6群6枚構成という説もあるようですが,おそらく6群7枚構成だと思います。DKLマウントのCurtagonについての情報はネット上でもあまり見つからないので実際のところはよくわかりません。 この個体は松屋銀座であった世界の中古カメラ市で売られていたものを入手しました。レンズ銘として「カータゴン」と書かれた値札の大きな紙がバブルケースの上に貼られていたので本体がよく見えず,これがCurtagonだということに気がつきませんでした。ふと値札の下を覗いて気がついた次第です。少しクモリはあるようでしたが,それほど高いわけでもなかったので,購入となりました。
MFレンズ DKL Schneider-KreuznachMOR
-
smc PENTAX-A 50mm F1.2
旭光学は1984年にプログラムAEを含む自動露出に対応したPENTAX Super Aを登場させるとともに自動絞りに対応したsmc PENTAX-Aレンズもラインナップします。Aレンズはマウントの物理形状はそれまでのKマウントから変更はされていませんが(というか,現時点でのデジタル一眼レフの最新モデルであるK-3 Mark IIIまで変更されていません),絞り情報を伝達するための電気接点が追加され,KAマウントとなります。 このとき,50mm F1.2もリニューアルされます。レンズ構成は前モデルを踏襲して6群7枚の拡張ウルトロン型ですが,レンズの曲率などは再設計されているようです。また,絞り羽は前モデルの8枚から9枚に変更されています。フィルムの一眼レフカメラがAF化されてMFのAレンズが少しずつ整理されていく中で50mm F1.2だけは旭光学の一眼レフ用のもっとも明るいレンズとして生き延びます。2000年にはPENTAX LXの特別バージョンが発売されますがその際に標準レンズとしてシルバーの50mm F1.2がセットされます。シルバーの50mm F1.2はLimitedシリーズを彷彿とさせる意匠で高級感のあるものでした。 標準モデルの50mm F1.2はその後も生き続けます。デジタル一眼レフの時代に入ってもカタログに残っていましたが,2011年頃にカタログから消えたようです。27年にわたるロングセラーだったことになります。MFレンズなのでもちろんAFは使えませんが電気接点も絞り環もあるので,歴代のあらゆるKマウントカメラで使うことができるオールマイティなレンズです。F1.2で少し大柄ですが,最近の肥大化したレンズと比較すればむしろコンパクトと言ってもよいと思います。 作例を以下においています。 https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-A%2050mm%20F1.2 #レンズ #MF #smc_PENTAX-A #PK #Pentax #50mm #F1.2 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ PKA PentaxMOR
-
EF-M 22mm F2 STM
2012年10月にCanon最初のミラーレス一眼であるEOS Mの発売と同時に登場した単焦点レンズです。EOS Mのダブルレンズキットにはこの単焦点レンズと標準ズームのEF-M 18-55mmとEFマウントレンズを使うためのEF-EOS Mマウントアダプターがセットになっていました。EF-EOS Mアダプタが使えることに飛びついたようなところもあるので,EOS Mを調達するときには当然のようにダブルレンズキットを選びました。結果として,このEF-M 22mmもついてきた,というわけです。 35mm判換算で準広角の35mmの画角で開放F値がF2というちょっと明るめのレンズです。35mm F2といえば一昔前のフィルムカメラの広角レンズの王道のようなところがありましたが,それに準じたスペックです。一眼レフカメラ用の35mm F2はコンパクトといっても多少のボリューム感はあるサイズですが,このEF-M 22mmはパンケーキ型の非常に小さく軽いレンズです。標準ズームといっしょにポケットに放り込んで持って歩いてもまったく苦痛ではありません。光量が足りないような状況ですぐに出動できるという意味で,小さく軽いレンズは正義だということを改めて認識させてくれるレンズです。 ...と偉そうなことを言っていますが稼働率は低く,あまり出番はありません。光量の少ないところでは明るいレンズに変えるのではなくISO感度をあげて対応する,というおよそモノグサなことをやっているからです。言い訳をするならば,スナップを撮るときは35mmではなく28mmの画角に慣れているためいまひとつこのレンズだけをつけて写真を撮り歩こうと云う気にならない,ということもあります。 EF-M 22mmで撮ったあまり多くないカットをみる限り,軽くて小さいレンズであるということを感じさせない画が得られます。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/EF-M%2022MM%20F2%20STM においています。 #レンズ #AF #EF-M #Canon #22mm #F2 #広角 #単焦点
AFレンズ EF-M CanonMOR
-
FUJIFILM XQ2
XQ2は2015年2月に発売されて1年半余りでディスコンになった,たぶん富士フィルム最後のコンデジです。レンズ一体型カメラはその後もX70やX100シリーズ,XF10などが発売されていますが,いずれもAPS-Cサイズのセンサーを持つ高級機で,2/3インチの小さなセンサーの本来の意味でのコンデジは実質的にはXQ2が最後だっただろう,という意味です。 富士フィルムお得意のX-transセンサーを積んで小さいけどよく写る高級機,という位置付けで従来機種のXQ1の改良版として発売されました。小さいセンサーといってもコンデジ用センサーとしては大きめの1/1.7インチよりもさらに微妙に大きいセンサーで,かつベイヤー配列ではない富士フィルムの独自設計のセンサーでした。また,広角端でライカ判換算25mm F1.8,望遠端で同100mm F4.9の4倍ズームは明るくてマクロモードでは3cmまで寄れる,という使い勝手の良さもウリで,個人的にはこのスペックはど真ん中に刺さるものでした。とてもコンパクトであるにもかかわらず,外装は質感もよく,プレミアムコンパクトを標榜するに恥ずかしくない仕上がりのコンデジでした。 XQ2の性能も小さな高級機というコンセプトも個人的にはとてもグッとくるものがありました。それで中古を調達したのですが,やはりGPSが搭載されていないことは仕事用としてはとても不便であったこと,コンデジの主流が1インチセンサーに移って,かつ位置情報はスマホと連携する,という方向になったことから,XQ2は自分ではほとんど使わないままにカミさんと娘に貸与して,お仕事用カメラとしてCanon PowerShot G7Xの初代機に乗り換えました。XQ2とG7XではXQ2のほうが少しだけ発売が遅いのですがほぼ同世代といってよいカメラです。XQ2のコンセプトには個人的には大いに共感したものですが,結局,シリーズとして生き残ったのはXQ2よりも高価なG7Xであったことには商品企画の難しさを感じます。 1200万画素のX-transセンサーと富士フィルム独自のアルゴリズムによる色再現はコンデジであっても十分に発揮されていて,というか,それ以前の富士フィルムの技術が凝縮されたようなところがあって,濃い内容のカメラです。XQ2はごちゃごちゃ言わずにjpeg撮って出しで気軽に使うべきカメラだと思います。発色はとても自然で派手でもなく地味でもない絶妙のバランスです。 昼の屋外での風景はとても自然な色合いで写ります。その一方で,センサーが小さいことはいかんともしがたく高感度耐性はあまり高くありません。ISO800でノイズの嵐となります。感じ方は人それぞれですがISO400くらいが常用できる上限だと個人的には思います。ダイナミックレンジも当然あまり広くはなく,すぐに白飛び,黒潰れします。でも,フジの自動露出のアルゴリズムは結構,アグレッシブでギリギリを狙った露出で攻めます。 お仕事のついでに持っていく旅行用カメラとしてこの小ささは捨てがたいものがあります。ただ,現在のスマホのカメラと比較して勝っているかといわれると,かなり厳しいものがありそうです。それがコンデジが淘汰された理由であることはもちろん理解しているのですが,このようなカメラの選択肢がなくなったことは,カメラ好きの一人として寂しく思います。 このカメラによる作例は5, 6枚目に加えて https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/XQ2 に置いています。 #カメラ #レンズ一体型 #AF #FUJINON #Fujifilm #6.4-25.6mm #F1.8-4.9 #標準 #ズーム #デジタル #2/3インチ #手振れ補正
レンズ一体型カメラ Fujifilm 6群7枚MOR
-
HEXANON AR 57mm F1.2
たとえオールドレンズ がブームになっても,まったくといってよいほど見向きもされないKonicaのARマウントレンズにあって,それなりの人気を誇る数少ないレンズの一つがこの開放F値が1.2の大口径標準レンズです。 コニカ は一眼レフのなかでも特にフランジバックが短い仕様です。そのためかどうかはわかりませんが,1960年に発売されたコニカの最初の一眼レフKonica Fとともにリリースされた標準レンズは一眼レフの長いフランジバックにもかかわらず52mm F1.4という他に例のないスペックでした。コニカ は52mm F1.4のレンズが設計できることを前提にカメラの仕様を決めたのではないか,と思ってしまいます。しかし,Konica Fはとても高価でNikon Fよりも高価だったようで,あまり売れず,結果としてコニカは高級路線から大衆路線へと方針を変更します。 Konica Fマウントのレンズは5年ほどの短命に終わり,フランジバックの長さは変更されないまま1965年のKonica AutorexのARマウントに引き継がれます。Konica Fマウントにラインナップされていた52mm F1.8はARマウントに引き継がれますが,52mm F1.4は消滅してしまいます。かわってAutorexととも1965年に登場したのは57mm F1.4でした。 57mm F1.2が登場した時期は調べてもよくわからなかったのですが,おそらくAutorexが登場してからしばらく後だと思われます。この当時,F1.2の大口径標準レンズの最短撮影距離は60cm程度が普通でしたので,HEXANON 57mm F1.2の最短撮影距離45cmは当時としては他に例を見ない素晴らしいスペックだったと言えます。最短撮影距離の違いは撮影の自由度を大きく左右するのでコニカがこの部分に頑張ったことは称賛されるべきだと思います。 手元の個体はEEタイプで銀色の絞り環を有する第一世代のモデルです。EEタイプにはオールブラックの第二世代モデルもあるようですが,いずれも,距離環は金属製です。第二世代のモデルは酸化トリウムを含むいわゆるアトムレンズがあり,ブラウニング現象によって黄色くなっているものが多いようです。第一世代の銀色の絞り環を有するモデルでもアトムレンズがあるようですが,手元の個体ではブラウニングはあまり気になりません。アトムレンズでないものもあったようなので,酸化トリウムを含まない個体なのかもしれません。 ただ,この個体を使ってみたところ,大幅なアンダーインフで無限遠がまったく出ないことがわかりました。ひょっとすると,過去にメンテナンスをされていてその際に紫外線照射によってブラウニングが軽減されていた可能性も考えられます。いずれにしても,過去のメンテナンスの際に正しく組み立てられていないことは容易に想像されます。 とりあえず,近接ではピントが来るのでこのレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2057mm%20F1.2 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #57mm #F1.2 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 50mm F1.4
HEXANON AR 50mm F1.4はHEXANON AR 57mm F1.4の後継として1973年に登場しました。57mm F1.4の時代はまだ無駄が無駄ではなかった時代であったと思いますが,1970年代はいろいろな意味でのコストカットが真剣に考えられる時代に入っていたと考えられます。そういう意味でこのレンズは新しい時代のレンズなのだと思います。 この個体はシャッター速度優先モードが使えるようになったAEタイプの最初の形のモデルです。このモデルの前には絞り優先モードにのみ対応したEEタイプがありました(1973年に登場したのはEEタイプです)。コストカットの時代に入ったのに57mm F1.4に比べてなぜかレンズが1枚増えています。後群の2群2枚はランタン材が使われているとのことで,黄変する可能性が高いレンズです。手持ちの個体はあまり黄変が気になりませんので,黄変の進行状況は個体差が大きいのかもしれません。 このレンズは写りは悪くないし,中心部はシャープなのに優しい写りで嫌いじゃないタイプのレンズです。しかし,どういうわけか,写真を撮っていてピンとこないものがあるのです。これは主観的なものなのでいわゆる相性というようなものなのかもしれません。初期の52mm F1.8が(ジャンクだったのに)それなりにインパクトがあったので,ある意味優等生である50mm F1.4の良さがわからなくなっているのかもしれません。決して嫌いなレンズではないのですが,私の感性とはどこかうまく噛み合わない部分があるレンズです。不思議です。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2050mm%20F1.4 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #50mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
smc PENTAX-FA 50mm F1.4
ペンタックスの標準レンズです。50mm F1.4という標準の中の標準ともいえるスペックのレンズですが,このレンズの起源は,前回の東京オリンピックが開催された年から1年ほどした1965年にリリースされたSuper Takumar 1:1.4/50まで遡ります。初期のSuper Takumar 1:1.4/50は6群8枚構成でしたが,その後に登場した改良版からは6群7枚構成の変形ダブルガウス(ウルトロン)型となり,FA 50mm F1.4に至るまで基本的な設計思想は変わっていません。もちろん,ガラスの組成が変わったり,コーティングやフォーカシングシステムの違いにあわせて少しずつ変化していることは間違いありません。 オートフォーカスのフィルムカメラ時代のペンタックスレンズは距離環のトルクはスカスカだし,全体にプラスチッキーな感じだし,チープ感全開でしたが,このレンズもその例に漏れないいささか残念な仕様です。マニュアルフォーカスカメラ時代のMレンズやAレンズの方がレンズとしての存在感があったように思います。 設計が古いレンズならでは,というような典型的な昔風味の写りです。開放ではとても甘く,ピントの山がよくわからないくらいです。f2.8あたりまで絞ると画面中央の解像度があがり,f5.6まで絞れば画面全体で解像感が感じられる描写になります。オートフォーカスが使えますが,光学系から言っても,写りから言っても完璧にオールドレンズの範疇に入るレンズです。 このレンズによる作例をhttps://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-FA%2050mm%20F1.4 に置いています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-FA #PK #PKAF #Pentax #50mm #F1.4 #標準 #単焦点
AFレンズ PKAF PentaxMOR