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smc PENTAX-A MACRO 50mm F2.8
smc PENTAX-Mレンズの後継として絞り環にAポジションが追加され,電子接点も追加された世代のレンズで1984年に登場し,AFのSFXが登場した1987年の翌年,1988年にsmc PENTAX-F MACRO 50mm F2.8に交代します。このAレンズの50mm F2.8マクロはハーフマクロ(0.5倍)ですが,前世代のMレンズまでの50mmマクロはF4のハーフマクロ,後継のAFに対応したFレンズ以降の50mmマクロはF2.8で等倍マクロです。 したがって,50mm F2.8のハーフマクロはPentaxではAレンズだけしかありません。レンズ構成も先世代,後継機とも異なる4群6枚構成です。普通は4群6枚といえばダブルガウス型のレンズ構成を想像しますが,後群の第3群が張り合わせではなく,第4群が凹凸の張り合わせで,クセノター型を想起させる構成です。製造期間がわずか4年で,かつ,同型のレンズが全くない,という意味で希少種なのですが,特に写りがよいというようなこともないので,たいして注目されていなくて,中古の価格もたいしたことはありません。同世代のsmc PENTAX-A 100mm F2.8 MACROが希少品として特別な扱いをうけているのとは対照的です。 レンズの距離環のテーパー部分にレンズ銘を刻印するAレンズのデザインは個人的にはかなり違和感がある,というか端的に言えば,あまり好きになれないのですが,後継のAFレンズに比べるとずっと「普通のレンズ」っぽい(私の基準で)ので許容範囲です。 どうしても等倍撮影が必要という事情があったためにD-FA MACRO 50mm F2.8を入手したため,ハーフマクロのsmc PENTAX-A 50mm F2.8の出番がなくなってしまったのですが,モノとしてはとてもよいレンズだと思います。 撮影倍率が1/2でも撮影対象において特に問題がなくて,かつ,マクロなら普通,MFだよね,という(非常にニッチな)人にとってはMFのフィーリングもよく,開放F値も明るくて唯一無比のレンズだと思います。そういう私は安直にsmc PENTAX-D FA 50mm F2.8 MACROを使ってます。 https://muuseo.com/MOR/items/85?theme_id=30044 #レンズ #MF #smc_PENTAX-A #PK #PKA #Pentax #50mm #F2.8 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ PKA PentaxMOR
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Carl Zeiss Jena BIOTAR 5.8cm F2 T
Carl Zeiss JenaのBiotarです。4群6枚構成の典型的なダブルガウス型のレンズで,グルグルボケで有名です。戦前の初期型は球面形状の絞り羽でしたが,戦後に登場した前期型では通常の平面形状の絞り羽となっています。また,前期型以降はモノコーティングが施されており,レンズ銘板には赤字でTの刻印がはいっています(中期型の途中からTの刻印は省かれます)。 旧ソ連製のHelios-44がグルブルボケで一部のインスタな人たちにウケているようですが,Biotarはそのコピー元となったレンズです。第二次世界大戦の終戦時にソ連はドイツから技術者も含めてレンズに関するあらゆるものを接収してコピーを作り始めています。その後,ソ連製レンズは単なるコピーから独自の発展をしていきます。 Biotarは前期型の一部を除いて全てシルバー鏡筒でした。この個体はブラックの前期型でシリアル番号が327万番代ですので,1949年頃に製造されたと思われます。また,外観からおそらく前期型のなかでも少し改良が加えられた第二世代のモデルだと考えています。前期型は最短撮影距離が90cmでその後のモデルに比べてかなり長いので実用性を考えれば中期型以降のほうが便利です。しかし,中期型以降と前期型以前では少し画作りが違うように感じられ,かつ,前期型のほうが個人的な好みにあっているように感じています。 #レンズ #MF #Biotar #M42 #Carl_Zeiss #Jena #58mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ M42 Carl Zeiss JenaMOR
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Ricoh GR III
フィルム時代のGRシリーズについてはRicoh GR1sにメモしたとおりですが,21世紀に入るとGRシリーズもデジタル化されます。2001年に登場したフィルムのGRシリーズ最後のGR1vから4年を経て,2005年10月にGR DIGITALが登場します。リコーではズームレンズ付きのコンパクトデジタルカメラをCaplioシリーズとして,単焦点の28mm相当の画角をもつレンズは高級機としてGRというラインナップで販売する戦略を考えていたようです。 https://muuseo.com/MOR/items/33 初代GR DIGITALは2005年10月に当時としては大きめのセンサーである1/1.8型813万画素を載せて登場します。この頃,私自身はリコーのCaplio R1 (2004年発売開始)を使っていましたし,フィルムのGR1sも持っていた(あまり使っていなかったけど)のでGR DIGITALにはあまり食指が動きませんでした。2年後の2007年11月に第二世代としてGR DIGITAL IIが登場します。センサーはごくわずかに大きくなって1/1.75型(1000万画素)に置き換えられます。さらに2年後の2009年8月に第三世代のGR DIGITAL IIIが登場し,センサーもさらにほんのわずか大きくなって1/1.7型(1000万画素)になります。「GR史上最高画質」が謳われていて,そりゃ,そうだ,と冷静に眺めてました。2011年11月には第四世代かつGR DIGITALシリーズとしては最後のモデルであるGR DIGITAL IVが登場します。センサーはおそらく基本的な変更はなく,この形としては十分な成熟に達したと思われます。 2013年4月に登場した第五世代のGRはもはやDIGITALが当たり前になったこともあってか,「ただの」GRを名乗って,かつセンサーをこれまでの1/1.7型CCDセンサーからAPS-CサイズのCMOSセンサーに変える,という大きな変更が行われました。またしても,「GR史上最高の写り」を標榜しての登場でしたが,そりゃそうだよな,という感じで正しく冷静に見てました。2015年7月にはWiFiなどを搭載して時代の要求にあうようにアップグレードされたGR IIが登場します。ほぼ2年ごとに更新されてきたデジタル版のGRシリーズはGR IIの後,長い沈黙の期間に入ります。新型の噂もないままに3年ほどが経過したころに「GR再始動」がアナウンスされます。かなり引っ張って2019年3月にようやくAPS-Cセンサー搭載としては第三世代,GR DIGITALから数えて第七世代のGR IIIが登場します。 GR IIではホコリが入ってホコリが写ってしまう,というようなトラブルも少なくなかったようですが,それに対応するために(ホコリ対策だけじゃないけど)センサーシフト方式の手振れ補正が採用されました。GR IIIでは内臓ストロボは廃止になりましたがサイズはGR IIに比べて小さくなりました。当然ながらこの時代のデジカメらしく,液晶タッチパネルや速いレスポンスなど,機能を限界まで取捨選択してスナップシューターとして必要なものだけに絞って小型軽量を実現しています。GR IIIは発売後も比較的高値安定を維持し,発売後2年以上経過してもマップカメラのランキングで10位以内に時折顔を出すということで売れ続けているようです。 GR IIIも発売からぼちぼち丸3年が視野にはいってきた2021年10月に突然GR IIIxという亜種が発売されることがアナウンスされました。GRシリーズ伝統の28mm (35mm換算)のレンズを40mm F2.8と少し標準域に寄せたレンズに変更しての登場です。カメラ界隈の噂にもまったくのぼっていないところで突然の登場に意表をつかれました。 レンズ交換式カメラに標準レンズをつけておいて,GR IIIやFujifilmのX70のような28mm固定焦点のコンデジを持っていけば全て事足りてしまう,というような気がしています。APS-Cセンサーのコンデジでは画質においてレンズ交換式カメラに劣るところは何もありません。凄い時代になったものです。 https://muuseo.com/MOR/items/30 #カメラ #レンズ一体型 #AF #GR #Ricoh #18.3mm #F2.8 #広角 #単焦点 #APS-C #デジタル
レンズ一体型カメラ Ricoh 4群6枚MOR
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Topcor-S 5cm F2
1957年頃に発売されたレオタックスTVやその後のFVについていたレンズです。Topcor-S 5cm F2はSがつかない初期型,Sがついた白鏡筒の前期型,黒絞りの中期型,黒鏡筒の後期型と変遷します。中期型までが真鍮製の鏡筒で,それぞれ異なる光学系で写りも異なるようです。巷では中期型の写りがもっともよい,という話もあります。 戦前からの光学メーカーとしては東京光学と日本光学が有名で,陸のトーコー,海のニッコーと戦時中は呼ばれたようにそれぞれ陸軍や海軍に光学機器を納めていました。東京光学は1981年に民生用カメラ事業から撤退し医療機器や測量機器などに特化します。1989年にはブランド名だったトプコンが社名となり,2008年には測量機器メーカーのソキアを完全子会社化して測量機器部門を強化しています。一方の日本光学はニコンと社名を変え,現在もカメラやカメラ用レンズを製造しています。 東京光学は当初はバルナックライカコピーのレオタックスにTopcorレンズを供給するのみで自前のカメラは作っていませんでした。しかし,1954年のM型ライカ(M3)の登場によりバルナックライカが時代遅れになったため,日本のカメラメーカーは一斉に一眼レフに向かいます。その流れにあわせるように東京光学は1957年にexaktaマウントを採用したペンタプリズム付きフォーカルプレーン式一眼レフカメラTopcon Rを発売します。レオタックスカメラはそれと相前後する1959年に倒産します。それ以降,東京光学は一眼レフカメラとそのレンズの製造を1981年まで続けています。 東京光学がL39マウント用のレンズをいつから作っていたのかよくわかりませんが,M3が出るまでの1950年代前半が全盛期だったと想像されます。黒絞りの中期型Topcor-S 5cm F2が出た頃は既にバルナックライカコピーのレンジファインダーカメラの終焉が予見されはじめていたと思われます。その一方で,十分に熟して充実した内容のレンズが作れるようになったタイミングだったといえるのかもしれません。 Topcor-S 5cm F2は4群6枚構成の典型的なダブルガウス型のレンズです。この個体は絞りを閉じていくと開口部が少し歪な形になってしまいます。おかげで相場より少し安く入手できました。絞り羽根が歪んでいるようなので,きちんと整備をしないと寿命を縮めることになることはわかっているのですが,実用上の支障がないためついつい横着をして放置したままでいます。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Topcor-S%201%3A2%20f%3D5cm に置いています。 #レンズ #MF #Topcor #L39 #Tokyo_Kogaku #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ L39 Tokyo KogakuMOR
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M-ROKKOR-QF 40mm F2
1973年にライツミノルタCL用の標準レンズとして登場したレンズです(前期型)。日本ではM-ROKKOR銘で,それ以外の国ではLeica Summicron-C銘でした。両者はほぼ同じものだと考えてよいと思いますが,ガラス硝材が日本製かドイツ製かといった違いがある,という話もあり,私にはそこらへんの真偽のほどはよくわかりません。M-ROKKORはロッコールレンズの慣例にしたがって,最初のうちはレンズ構成(4群6枚)を表すQFがレンズ銘板に示されていましたが途中からQFの表示がなくなります。これは他のロッコールレンズ(MC ROKKOR)と同様の扱いだったのでしょう。QFの表示が消えても光学的には全く違いはなかったようです。 その後,1981年にミノルタCLEが発売されますがそれとともに標準レンズもリニューアルされます(後期型)。ミノルタCLEは小型なだけでなくレンジファインダー機で自動露出が使える,という画期的なモデルでしたが,ライツ社はそれを潔しとせず,CLのときのようにダブルネームでの販売を認めなかったようです。後期型は前期型とレンズ銘は同じですが,銘板上の表示からシリアルナンバーが消えていたり,ピントリングレバーの形状が少し単純化されていたりするので前期型とはすぐに区別ができます。レンズ構成はおそらく変わっていなくていずれも典型的なダブルガウス型だと思いますが,後期型で少し改良されている,という話もどこかに出ていました。実際のところはわかりません。 また,距離計連動用のカム(写真では後玉側に見える真鍮色の部分)が前期型ではCLに特有の傾斜カムであったのに対して,後期型では普通の平行カムとなっています。前期型を普通のライカMマウントカメラに取り付けると無限遠で誤差がでる,ということでライカMマウントカメラは前期型は非推奨レンズというか,CL専用レンズという扱いのようです。後期型は一般的な平行カムなのでそのような問題はありません。 前期型の純正のフードはラバー製のものだったようですが,現在ではすでにちぎれていて用をなさないものが多くて,自分で適当なフードを調達する方が手っ取り早そうです。 ヤフオクでは前期型も後期型もしょっちゅう出品されている,という印象ですが,前期型のうちレンズ構成の表示(-QF)がついている個体はそれほど頻繁に出てくるわけでもないようです。ロッコールレンズにはレンズ構成がついているほうが格好いいと個人的には思っているので,前期型でQFの表示があるものを入手しました。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/M-ROKKOR-QF%2040mm%20F2 に置いています。 #レンズ #MF #M-ROKKOR #LM #Minolta #40mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ LM MinoltaMOR
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MC MACRO ROKKOR-QF 50mm F3.5
ミノルタのSRマウントのマクロレンズです。rokkorレンズに関する有名な書籍か何かに取り上げられたとかで名レンズと言われることもあるようです。もともとはLeica L39のねじ込み式のマウントで純正のアダプタによってSRマウントのカメラにも使える,というMCがつかないものが初代の50mmマクロだったようです。その後,MC化されたのがこの世代のレンズで,レンズ単体で0.5倍,付属のエクステンションチューブをつけて等倍撮影可能,というものです。おそらく1967年の発売です。恐ろしいことに私と同じ年に生まれています。 鏡筒の大きさに対して,とても小さな光学系です。でもって,4群6枚という構成が正しいならば,たぶんダブル・ガウス型でテッサータイプではないようです。この手のマクロレンズはテッサータイプが多いと思うのですが,このMC macro Rokkorは違うようです。そのことが遠景もマクロ領域と同様な写りであることとどのように関係しているか,はよくわかりません。 この個体にはエクステンションチューブはついていませんでした。そういう意味で完品ではないので,それが原因かもしれませんが,なぜか,ヤフオク!で1000円+消費税80円(まだ消費税が8%だったときに駆け込みで)+送料800円という激安価格で入手できました。いつものように絞って青空を撮ると埃が写り込むのはしょうがないとして,それ以外には特に気になるようなところもなく十分に実用的な個体でした。オークションではたいていの場合はそこそこのものを入手してまぁそんなもんだろう,ということで得をしたと思うことはほとんどありません。しかし,今回はちょっと得をした気分になりました。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/MC%20MACRO%20ROKKOR-QF%2050mm%20F3.5 に置いています。 #レンズ #MF #MC_ROKKOR #SR #Minolta #50mm #F3.5 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ SR MinoltaMOR