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サキソホン.コロッサス/ソニー.ロリンズ
まさに「最高峰」。ロリンズ自身の代表作であることはもちろん、圧倒的な完成度でモダン・ジャズの金字塔として燦然と輝く大名盤。 レコーディングデータ 録音年 1956年6月22日、ニュージャージーにて録音 共演者 ソニー・ロリンズ(ts) トミー・フラナガン(p) ダグ・ワトキンス(b) マックス・ローチ(ds) 収録内容 01. セント・トーマス / St. Thomas 02. ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ / You Don't Know What Love Is 03. ストロード・ロード / Strode Rode 04. モリタート / Moritat 05. ブルー・セヴン / Blue 7
WaXtime平碆 善幸
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ワルツフォーデェビー/ビルエバンストリオ
ビル・エヴァンス(Bill Evans)の『ワルツ・フォー・デビイ(Waltz for Debby)』である。 音楽におけるリリカル(叙情的)という形容詞の意味を初めて教えてもらったのは、このアルバムだった。 世の中にはたくさんの美しくてロマンチックな歌や曲があるが、これは本当に恐ろしく美しくてロマンチックなアルバムだ。 このアルバムは1961年にニューヨークにあるヴィレッジ・ヴァンガードで2週間ほど行われたライブのできがよく、急遽、最終日の6月25日の日曜に録音された。 当日は、昼に2セット、夜に5セット行われ録音されたのだが、当時はまだ、客を呼べるトリオではなかったため、6~7割ほどしか客が入らずそのほとんどが友人や知人だったという。 そのせいか、このアルバムでは観客にちゃんと音楽を聴こうという意識が薄く、おしゃべりやしわぶき、グラスや皿の音が聞こえる。 ちゃんとしたオーディオなら地下鉄の音まで拾われているのがわかるという。 でもこれはこれで、当時のニューヨークのジャズクラブの雰囲気が伝わって結果オーライだったと思う。 最初の「My Foolish Heart」というロマンチックでスローな曲は、1949年の映画「愚かなり我が心(まんまのタイトルですね)」のサントラ。 2曲目の「Waltz For Debby」は、エヴァンスが当時2歳だったデビイという姪(兄の娘)のために書いたという。 静かなワルツで始まるが途中からグルーブしたフォービートに変わる美しい曲だ。 最後の「Milestones」は、エヴァンスとも競演したことのあるマイルス・デイヴィスの代表曲。 メンバーはピアノがビル・エヴァンス、ベースはスコット・ラファロ、ドラムがポール・モチアン。 このトリオは、ピアニストーがリーダーでドラム、ベースは脇を固めるといった従来のスタイルに対し、各々が対等にアドリブを主張し音楽を紡ぎあげていくインタープレイというスタイルをつくり、以降のジャズやピアノトリオに大きな影響を与えた。 そして、このライブの11日後に、ベーシストのスコット・ラファロは交通事故で亡くなる。 レコード会社のリバーサイドは、急遽、その追悼版としてラファロのベースプレイが目立つテイクを選び『Sunday at the Village Vanguard』を発売。 この『Waltz For Debby』はプロデューサーのオリン・キープニュースが、残ったテイクから選曲しつくられた。 だから6月25日、日曜にヴィレッジ・ヴァンガードで録音された音源は2枚のアルバムに分けて収録されることになった。 スコット・ラファロを失ったエヴァンスはなかなか、その悲しみから立ち直ることができなかった。
WaXtime平碆 善幸
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ポートレートインジャズ/ビルエバンストリオ
可憐な少女の舞いを想起させる。 2021年12月31日に日本でレビュー済み ビルエバンスは当時ビバップが中心だったジャズに美という革命をもたらしたジャズメンだ。また、その音楽は美しく内省的と評されており、ルーツはクラシックにあるとされている。特にエバンス特有の和音の構成は20世紀を代表する作家ラヴェル、ドビュッシー、ラフマニノフ、プロコフィエフから影響を受けているとされている。 翻って本作は言わずと知れた名盤であるカインドオブブルーの影響下にあるピアノトリオの傑作である。ピアニストのエバンス、ベースのラファロ、ドラムのモチアンによる即興はインタープレイと呼ばれており、その音楽性からスリリングさと同時に可憐な少女のような美しさそして儚さを感じずにはいられない。 前述したようにエバンスはジャズに美をもたらし、それはキースジャレット、フレッド・ハーシュ、ブラッド・メルドー、シャイマエストロへと受け継がれていく。
WaXtime平碆 善幸
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モーニン、アート、ブレイキーとジャズメッセンジャーズ
至高のアート 2011年12月1日に日本でレビュー済み このアルバムって本当に凄いんだなぁ、と思った瞬間。 音楽全般にほぼ無関心の知人が、 「Moanin'」が始まった瞬間に 『この曲ってこのアルバムだったのか〜』という言葉と共に、 ジャケットを手に取り、アルバム全曲を食い入る様に聴き、 結局このアルバム、そしてJMのファンになってしまった時である。 これ程迄に普遍性があるとは・・・!と、ブレイキーファンとして嬉しくも 大変驚いた瞬間だった。 (本当に音楽に無関心な知人なもので・・・) その知人は、結局JM以外の音楽に迄は手を伸ばさなかったのですが(笑)。 間違いなく、JAZZというカテゴリに於ける一つの到達点であると確信します。 ありとあらゆる音楽的嗜好に手を伸ばすものの、結局ここに戻って来てしまう。 それぞれの楽曲、曲中のアドリブフレーズが強く耳に残る。 骨太な音なのに親しみ易い。 いつ何時聴いても、親しみ易さに反比例して全く飽きが来ない。 それどころか、一度聴けば二度三度、・・・と何故か何度も聴きたくなる。 JAZZを聴きたい時は勿論の事、『良い音楽を聴きたい』と思った時に、 一番良く聴くアルバムは間違いなくこの作品です。
WaXTime平碆 善幸
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ナイトトレイン、オスカーピーターソン
約60年に渡る音楽活動の中で、約200枚もの作品をこの世に生み出してきたジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)。 その中でも、今回紹介する『ナイト・トレイン』(Night Train)はオスカーの「最高傑作のひとつ」に数えられている名盤中の名盤である。 このアルバムが誕生したのは1963年の夏。 ヴァーヴ・レコード(Verve Records)からリリースされており、プロデューサーにはオスカーの信頼していたノーマン・グランツ(Norman Granz)が迎えられている。 リリースされるとすぐに大きな注目を集め、ジャズ・ピアニスト兼ジャズ評論家でもあったレナード・フェザー(Leonard Feather)などからも大絶賛されることとなった。 レコーディングに参加したのはオスカー、ベースにレイ・ブラウン(Ray Brown)、そしてドラムはエド・シグペン(Ed Thigpen)。 レイ・ブラウン(Ray Brown)は言わずとしれた世界最高峰のジャズ・ベーシスト。 1951年からオスカーと共にトリオとして活躍し、数多くの名演を残している。 エド・シグペン(Ed Thigpen)は、シカゴ生まれのジャズ・ドラマー。 オスカーのトリオと言えば、レイ・ブラウン、ハーブ・エリスとのトリオが最も有名であることは否めない。しかし、エリスの代わりに加入したエドとのトリオでも名盤を多く生み出しており、本作『ナイト・トレイン』(Night Train)もそのうちのひとつである。 本アルバムの特徴は、何といってもブルース・ナンバーの多さ。 全11曲中6曲がブルース進行の曲で構成されており、まさにブルース好きにはたまらない内容となっている。また、オスカーに「鍵盤の皇帝」の名を授けたデューク・エリントン(Duke Ellington)の楽曲も4曲含まれていることも今作の特徴と言えるだろう
WaXtime平碆 善幸