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Trilobites de France, Tome 1
フランス産は、ブルターニュ地方(Bretagne)にて、オルドビス紀のものが中心に産出しますが、他のエリアより状態は悪く、商業的な採掘もされていませんので、能動的に集めようとしなければ手に出来る種類は限られる産地といえます。この書籍には、この地で産出する良質な化石がカラーで紹介されているだけでなく、精密なイラストも多く採用されていて、写真以上に種の特徴を捉えています。現在、世界で最も良質な化石誌を発行する「Minéraux&Fossiles」だけあり、クオリティが段違いであるといえます。2016年に「Fossiles Hors-Série 2016 – Les Trilobites de l’Ordovicien de Bretagne」が発刊されていますが、それまではこちらの書籍がフランス産三葉虫を纏めた数少ない書籍でした。
Patrice Lebrun Trilobites de France, Tome 1 0335-6566 FrenchTrilobites
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Trilobites of New York: An Illustrated Guide
ハードカバーの立派な装丁の書籍です。ニューヨーク州の三葉虫が基本ではありますが、一部北米の他のエリアの標本も載っています。1ページに大きな白黒写真と簡単なキャプションが付けられている構成の図鑑です。産地情報にも多くのページを割いており、現在は閉鎖された産地もありますので、今でも参考に出来るデータは多いです。アメリカでもニューヨーク州は、オルドビス紀からシルル紀まで様々な三葉虫を産出する事で知られ、アメリカを代表する多くの種類が見つかります。ニューヨーク州の三葉虫でこれだけ立派な図鑑が出来てしまう所も改めて凄い州なんだと思います。
Thomas E. Whiteley, Gerald J. Kloc, Carlton E. Brett Trilobites of New York: An Illustrated Guide 0-8014-3969-8 EnglishTrilobites
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三葉虫の謎「進化の目撃者」の驚くべき生態
「Trilobite!: Eyewitness to Evolution」(2000)の訳書です。図鑑でも学術書でもない一般書で、三葉虫について知る上で余りないスタイルの書籍です。著者のRichard Fortey(1946-)は、三葉虫研究では有名な学者であり、三葉虫に限らず数々の書籍も発表されています。1から10章まで短編で構成され、1章三葉虫との遭遇に始まり、物語を読み解くように三葉虫への理解が深まって行きます。著者が三葉虫の研究者なので、自身の研究した内容も分かりやすく織り込まれております。この本を読めば、きっと三葉虫のイメージも変わる事でしょう。
Richard Fortey,垂水 雄二(訳) 三葉虫の謎「進化の目撃者」の驚くべき生態 4-15-208444-8 JapaneseTrilobites
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Trilobiten weltweit - Die Welt der Dreilapper und ihr Spiegelbild in der Philatelie /Trilobites worldwide - The World of Trilobites and their Refelction in Philately
三葉虫切手の本ですが、詳しい分類や解説、更に切手に登場する同一種の実物フルカラー写真まで加えられているので、三葉虫の図鑑としてもレベルの高い仕上がりになっています。ドイツ語で記載されている同じ内容で、英語も併記されていますので、ドイツ語に馴染みが無い日本人にとっても内容を掴み易いと思います。三葉虫図案の切手は、古生物という分野の中でも、図案として取り上げられる量は恐竜やアンモナイトなどと比較した時に決して多くは無いと思いますが、発刊された2002年までの世界中の三葉虫図案の切手が、ほぼ網羅されています。切手以外に初日カバーや消印まで収納されていて、著者は古生物の知識だけでなく切手の収集も実際にしていないと網羅できないと感じました。私もこの本を真似して三葉虫切手を集めてみましたが、三葉虫切手の収集は、化石よりは収集は容易でしたが、この本の徹底さには遠く及ばない事を身を持って実感できました。
Hans Ulrich Ernst and Frank Rudolph Trilobiten weltweit - Die Welt der Dreilapper und ihr Spiegelbild in der Philatelie /Trilobites worldwide - The World of Trilobites and their Refelction in Philately 3-89937-003-1 German/EnglishTrilobites
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クランツ鉱物・化石標本 (東京大学コレクションXIV)
今でもドイツのボン市に存在するクランツ商会は、世界中の博物館に鉱物、化石標本を提供し続ける老舗化石標本業者です。明治の初期、東京大学の前身にあたる開成学校、東京開成学校時代に明治政府の後押しもあり、購入されてきた各種標本は、クランツ標本と呼ばれ化石標本だけで約6,000点(鉱物、岩石等を含む総数は約12,000点)に及ぶとされています。国内で最も古く「標本」として管理されてきた、これら標本を2002年に東京大学総合研究博物館の常設展「第14回東京大学コレクション展」として公開されました。この本はその時の図録になります。三葉虫に絞って見るとConocephalites sulzeri、Asbplus nobilio、Homalonotus delphinocephalus(Dudley)など多く登場しており、150年前の産出種や当時の名称、時代概念などが伺い知ることができます。 【参考リンク】東京大学総合研究博物館 http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DKoseibu/jp/Gallery/krantz.php
田賀井 篤平 クランツ鉱物・化石標本 (東京大学コレクションXIV) 4-13-020214-6 JapaneseTrilobites