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Malvinella buddeae
入手時は、Calmoniidae(科)の一種という名称で学名不明でした。ノジュール中に埋もれるデボン紀ボリビア産の三葉虫は、見た目が同じように見えてしまうのですが、Malvinellaは一目で区別ができます。それ程、密に生えている訳ではありませんが、全身が棘で覆われていたと思われる突起が確認できるからです。大きくならない種類でありますが、ノジュールという産状であり、棘として取り出す事ができないのですが、実物はもう少し長くて細い棘が生えていて派手な種類だったと想像できます。 [Left side:Negative,Right side:Positive]
Middle Devonian Calmoniidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-267 BelénTrilobites
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Illaenus sarsi
頬棘が無いIllaenusであるI.sarsiといえば、ロシアのサンクトペテルブルグ産の状態の良いキャラメル色の標本が有名です。この種類は、バルト海の対岸とはいえ、直線距離で約1,200kmも離れたスウェーデンからの同種です。この産地は、青白い硬い母岩に三葉虫もチョコレート色をしており、殻も剥がれやすく、保存状態もロシア産には敵いません。しかし、商業的に採掘はされておらず、圧倒的に産出量は少ないので、入手難易度はロシア産より高いです。
Lower Ordovician Styginidae,Illaenidae,Illaenina,Corynexochida TRI-273 ExpansusTrilobites
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Olenellus clarki
アメリカのオレネルスとしては、比較的に知られる種類ですが、この標本の特筆すべきは中心部にある黒い波打つ線です。これは、「消化管」と考えられていて、この様に軟体部である消化管がハッキリ残る標本は少なく貴重です。動物としての重要な機能である消化管ですが、カンブリア紀初期の黎明期の消化管は、現生の哺乳類などの複雑な消化器と比較すると単純すぎるほど簡素な器官でした。口から肛門まで直線的に続き、消化腺などがあった可能性はあります。堆積物ごと吸い込み有機物を消化して大部分は排出するような食事をしていたと考えられています。近年の研究では、カンブリア紀に素嚢(消化前の食物を一時的に保管する袋状の器官)や中腸腺(酵素を分泌する器官)を保有している種類も確認されていて、想像以上に複雑な消化器を持っていた可能性もあります。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/oln_010.html
Lower Cambrian Olenellidae,Olenelloidea,Olenellina,Redlichiida TRI-500 Pioche ShaleTrilobites