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Paradoxides gracilis
仏人地質学者Joachim Barrande(1799-1883)により研究され、著書[Systeme silurien du centre de la Boheme](1852)にて詳細な図版が描かれている本種は、三葉虫の研究史に足跡を残している重要な種類として知られます。世界のカンブリア紀の地層で見つかるParadoxidesの中でも収集家に知られる存在です。当時からの産地だったVinice Hillは、長年の採掘により枯渇しており、焦茶で艶のある本標本の様な質感があり、10cmを超える標本は、世界の収集家が放出しない限り市場に出来て来る事はありません。特に大型で頬棘が残る個体は希少価値が高いです。
Middle Cambrian(Drumian) Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-307 JinceTrilobites
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Hoekaspis matacensis
大きなノジュールから産出するボリビア産のアサフス。昔は比較的流通し当時は価格も高くはなかったので、コレクターにも軽視しがちと感じます。近年は新規採掘の標本はありません。1種類だけの様に見えますが、混同しているだけで数種類いるとされ、H.megacanthaなど幾つかの種が市場でも見られます。ただ資料的な情報が無く産地も含め謎が多いため、正解が分からない状況です。この標本は、供給元によれば古いコレクションからの放出品であり、この地からは珍しい頬棘がしっかり残る個体です。元々頬棘があるのが普通なのか、他に多く出回る頬棘が無い種類は別種なのか判断はつきません。 【標本リンク】FossilEra https://www.fossilera.com/fossils/3-5-hoekaspis-trilobite-bolivia--2
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-254 CoroicoTrilobites
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Subasaphus platyurus
ロシアのアサフスの中でも派手で大型になる種類です。一目で見分けがつく長い頬棘に比較的大型化した種類で目を引きます。違いが分かりにくいAsaphusが多い中、目立つ存在である為市場では人気があり、A.kowalewskiiの次に目標とする種類ではないでしょうか。数としては多くは産出しない為、近年は高額で高止まりしてきました。属名は単にAsaphusやNeoasaphusとする場合もあり、近年は細かい差異から亜種も数種類が提唱されて混乱しています。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-142 Asery levelTrilobites
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Diacalymene schucherti
始めてこの種類の実物を見た時は、圧倒的な存在感に度肝を抜かさた事を覚えています。大きさ的にはモロッコで多産するDiacalymeneより、やや大きい程度なのかもしれませんが、本種の希少さは桁違いで、この大きさの完全体は実は世界にも数個体しかないとされます。どちらかというと三葉虫コレクターならその希少さが分かれど、一般の人が見た場合は、安価なモロッコ産Diacalymeneとの差が分からないのではと思われます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-677 JupiterTrilobites
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Asaphellus homfrayi
今種の学名は、英国産のアサフスに付けられた古い学名なので、実際は別物と思いますので、Asaphellus sp.としておいた方が無難でしょうか。それだけモロッコ産の小中Asaphusは分類が遅れている証拠なのだと思っています。元々それ程多くは出回っている訳でもないのですが、他に派手な種類が多いモロッコのアサフスは、コレクターでも結局的には収集していないのでないかと思いますが、長く収集していると同じ種類の標本を探そうとしても意外と無い事に気が付くと思います。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-478 Upper FezouataTrilobites