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Colpocoryphe rouaulti
カンブリア紀チェコ産の眼の無い三葉虫Conocorypheに似た名前ですが、全くの別の種類です。この標本はスペイン産ですが、近郊のポルトガルやフランスといった近郊国で同種が確認されて、それらの国で産出する方が多いのですが、スペイン産で間違えではありません。褶曲の影響を受けて別種の様に見えてしまうことが多い本種ですが、この標本は一目でカリメネと分かる形態をしています。
Middle Ordovician Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-27 Pizarras con calymeneTrilobites
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Gravicalymene teddersensis
カリメネといえば、オルドビス期とシルル紀に大繁栄して絶滅したと思われがちですが、デボン紀にも生存していました。Gravicalymeneは、日本の岐阜県高山市福地のデボン紀の地層からも発見されております。モロッコのGravicalymeneは、産出自体が極めて貴重でカリメネと馬鹿にできない位に高価です。以前から存在は知られていたものの、見つかったのは数個体のみで殿堂級の存在でした。本標本は、まるでオルドビス期のDiacalymeneのように巨大で存在感があります。カリメネは、デボン紀には希少種に成り下がり、既に生きた化石という位置付けだったのでしょうが、姿を変えずに生き残っていたという事は、現在のサメのように完成されたフォルムであった事の裏付けといえるでしょう。
Middle Devonian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-414 MegraneTrilobites
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Calymene blumenbachii
記載年が示すように18世紀始め、三葉虫の概念が認識された最も古くより研究された三葉虫です。博物学においても歴史的な価値があり、コレクターが手放さないため、かつて「Dudley Bug(ダッドリーの虫)」と呼ばれ、多産したと伝えられるC.blumenbachiiですが、現在では市場に登場すことが稀です。現在では保護されていて新たな産出が無いという事もあり、100年以上前に産出して、何代ものコレクターを渡り継いできたコレクションしか存在しないのです。この種類は私が収集しだしてから最も入手したかった種類でもあります。
Middle Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-362 -Trilobites
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Sthenarocalymene celebra
この種類、古くから収集しているコレクターはご存じですが、1990年代初期位までは、数千円程度で入手できる安価なアメリカ産三葉虫として多量に出回っていたのですが、近年はピタッと市場に出てこなくなってしまった種類の代表格です。化石である以上は、有限なので掘りつくせば無くなる訳です。太陽の光に当てるとキラキラ光る美しく名前の通りセレブな標本です。白くて柔らかい石質で、他の三葉虫産地の石質と異なります。
Middle Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-28 NiagaranTrilobites
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Flexicalymene retrorsa
アメリカのカリメネの中では、比較的多く産出し有名な種類であります。カリメネというとシンプルで安価なので見逃しがちかもしれませんが、完成された美しいデザインだと思います。Flexicalymene meeki(FOERSTE,1910)とは同じ産地で違いが分からず、もしかしたら雌雄差かもしれません。ただ両者はFoersteにより同じ年に記載されていますので、別種である事は間違いないのですが、現在市場に出回る標本を幾ら比較しても差異が分からないため、同一種として扱う事にしました。
Upper Ordovician Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-9 ArnheimTrilobites
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Calymene gamachei
カナダ東部のセントローレンス湾に浮かぶアンティコスティ島からは、シルル紀の非常に美しい三葉虫が産出します。圧縮も無く細部も細かく、世界のシルル紀三葉虫産地の中では最も保存状態が良いと思います。本種も右頬部が産出時と思われる欠損がありますが、立体的で割れや褶曲の影響のない美しいカリメネの姿を留めています。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/cly_012.html
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-520 JupiterTrilobites
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Diacalymene schucherti
始めてこの種類の実物を見た時は、圧倒的な存在感に度肝を抜かさた事を覚えています。大きさ的にはモロッコで多産するDiacalymeneより、やや大きい程度なのかもしれませんが、本種の希少さは桁違いで、この大きさの完全体は実は世界にも数個体しかないとされます。どちらかというと三葉虫コレクターならその希少さが分かれど、一般の人が見た場合は、安価なモロッコ産Diacalymeneとの差が分からないのではと思われます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-677 JupiterTrilobites
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Gravicalymene arcuata
Gravicalymeneといえば、この種類の2つ後の時代であるデボン紀、日本の福地(岐阜県)で、G. yamakoshiiが産出したことからも、3世代に渡って生存した成功者の一つです。オルドビス紀からデボン紀までの長い間、姿を変えること無く生き延び、多産する産地もある位に繁栄した事は、この種類が無駄の無い完成されたフォルムを持っている事からも分ります。世界各地にある産地ですが、英国産は市場にはそれほど多くは出てきません。産状として、複数体がまとまって産出するケースも見られます。
Upper Ordovician(Ashgill Series) Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-31 -Trilobites
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Neseuretus tristani
フランス、ブルターニュ地方からのカリメネの仲間です。この種類は、欧州各地のオルドビス紀の地層から見つかり、ポルトガルやスペインでも産出します。非常に細長い体型をしていますが、これは元からの姿ではありません。地層の褶曲の影響で引き延ばされているのです。ブルターニュ地方からの産出種ではしばしば見られる産状で、ポルトガル産と同様に原型を留めていないのが面白いです。
Ordovician Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-48 -Trilobites