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Diplichnites
三葉虫の生痕化石には、大きく3つに区分できます。泥底の海底に潜って身を隠していた痕のRusophycus(三葉虫の休息痕)、食事をしながら海底を這い回ったCruziana(三葉虫の這い痕)、それとこの標本の様に海底をただ歩行した跡であるDiplichnitesに大別されます。Diplichnitesは、化石の中で最も化石化しにくい状態という事もあり、3つの状態の中では見つかる確率は最も低くなります。三葉虫の生態を知りうるのに、この様な生痕化石から生活の様子や行動、体の構造など多くの情報が秘められているのです。この足跡の主は誰なのかという事が気になりますが、この産地を含め、シルル紀オハイオ州で知る限り三葉虫の化石が判明せず、不明です。この産地の同様の標本も大体幅が25㎜ほど、それ程大きな種類ではなかったとしか分かりません。
Silurian Diplichnites,Trace fossil TRI-170 BisherTrilobites
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Eldredgeops(Phacops) rana milleri
三葉虫収集家の中でも人気が高い種類の一つといえる、デボン紀オハイオ州産のファコプスです。これ程、保存が良いと収集家でなくても虜になりそうです。市場に出回る殆どはE.rana crassituberculataですが、こちらは数がその1/10程しか見かけないE.rana milleriです。違いは、目の数でcrassituberculataは77。milleriは104と言われています。ルーペで複眼を前から見たときにcrassituberculataは縦の列が5から6個が多いのですが、milleriは6から7個が多いです。閉鎖されて久しい産地ですが、海外コレクターでは特に人気が高いため、どちらの種類も良質な標本を見かける事が少なくなってきました。
Middle Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-451 Silica ShaleTrilobites