Olenellus clarki
アメリカのオレネルスとしては、比較的に知られる種類ですが、この標本の特筆すべきは中心部にある黒い波打つ線です。これは、「消化管」と考えられていて、この様に軟体部である消化管がハッキリ残る標本は少なく貴重です。動物としての重要な機能である消化管ですが、カンブリア紀初期の黎明期の消化管は、現生の哺乳類などの複雑な消化器と比較すると単純すぎるほど簡素な器官でした。口から肛門まで直線的に続き、消化腺などがあった可能性はあります。堆積物ごと吸い込み有機物を消化して大部分は排出するような食事をしていたと考えられています。近年の研究では、カンブリア紀に素嚢(消化前の食物を一時的に保管する袋状の器官)や中腸腺(酵素を分泌する器官)を保有している種類も確認されていて、想像以上に複雑な消化器を持っていた可能性もあります。
【標本リンク】FFストア
http://www.ffstore.net/detail/oln_010.html
Lower Cambrian
Olenellidae,Olenelloidea,Olenellina,Redlichiida
TRI-500
Pioche Shale
Trilobites