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Chlustinia keyserlingi
記載者がBarrandeとなっている様に、元々はチェコで産出する三葉虫ですが、本家は図鑑の中だけの存在、実物は部分化石でも見た記憶がありません。唯一入手可能なのがモロッコ産ではありますが、産出は多くはありません。頭部の形状など見ればLeonaspisなどに近縁の仲間と分かりますが、平面的に長い棘を有し、Odontopleurida(目)の中では目を引く種類なのではと感じます。 【標本リンク】FossilEra https://www.fossilera.com/fossils/2-65-long-chlustinia-trilobite-rare-species
Lower Ordovician Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-671 TaddristTrilobites
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Odontopleura ovata
この標本はNegativeだけの標本なのですが、細かい棘の位置など体表面の保存状態が極めて鮮明です。Negativeだけの標本は、一般的には価値が低いとされ比較的安価に入手できますが、小さな標本は肉眼で観察するより、ルーペや写真で観察して始めて細かい棘の状態が分りますので、十分に価値があると感じる例です。チェコからは、様々な種類のOdontopleuroidea(超科)の仲間が産出しますが、いずれも1cm程度の小型の種類ばかりで明確な違いが分りません。自在頬が欠損していたり不完全な状態の標本が多く、種の同定が難しい標本が多く感じます。体表の細かい陥没は棘の名残で、実際には繊毛のような細い棘が無数に生えていたのではと推測します。
Middle Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-428 LitenTrilobites
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Odontopleura(Sinespinaspis) markhami
古くから知られる種ですが、オーストラリアは化石の輸出が法律で禁止されている事もあり、近年は特に流通する事が無くなりました。一昔前までは、Sinespinaspisと呼ばれていた種類ですが、このデザインの代表であるOdontopleuraの属名で確定しています。チェコ等でほぼ同様のデザインの小型種も知られており、シルル紀ではどの産地でも小型のもの産出しかありません。オーストラリア産では、自在頬(free cheek)が紛失している標本が多く、ある程度納得できる標本に出会えるまで幾度か買い直した経験があります。小さい標本ですが、胸部から垂直方向に規則正しく毛の様な細かい棘が出ていた事が分かります。
Lower Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-29 Cotton HillTrilobites
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Kettneraspis seiberti
Kettneraspisといえば、オクラホマやモロッコの良質な標本を入手し満足しているコレクターが大多数と思います。しかし、ドイツのKettneraspisは、そこまで良質な保存状態は望めませんし、圧倒的に数も少ないです。黄土色の母岩は比較的柔らかく、上手く割れないと全体像を得ることはできません。Kettneraspis/Leonaspisの仲間は、世界中のシルル紀からデボン紀の地層で、ほぼ同じ形態で見つかり、産出量が少ないOdontopleuroidea(超科)の中では最も産出量が多く、成功したグループでありました。大きさが平均で4㎝程度と三葉虫としては小柄だった事も影響していると思います。1~3枚目がPositive、4~7枚目がNegativeです。
Lower Devonian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-480 Rupbach SchichtenTrilobites
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Leonaspis haddanei
Leonaspisという種類は、モロッコ産でも比較的多く見られる種類ではありますが、そんな一般種になればなる程コレクターとしては、状態の良い標本が欲しくなります。何度か買い直してきた種類ですが、この標本に巡り合えた事で一つのゴールに辿り着いた様な気がしています。過去見た中でも巨大で、普通ならクリーニングの過程で飛ばされてしまう様な細かい棘までも見事にクリーニングされており、もはや美術品の域に達しています。世界的な三葉虫情報サイト「A Guide to the Orders of Trilobites」の「Gallery of Lichida」にも紹介されている本種の代表標本でもあります。 【標本リンク】「A Guide to the Orders of Trilobites」 http://www.trilobites.info/gallichida.htm
Devonian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-498 TimrhanrhartTrilobites
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Kettneraspis williamsi
オクラホマのHaragan累層の三葉虫は、クリーム色の母岩にキャラメル色の透明感ある三葉虫本体が載っており、細部まで極めて保存状態が良く、圧縮の影響も少ないという三葉虫の保存状態では見た目も含め理想的な産地であります。この地から産出する種類は、それほど多くは無いのですが、どの種も三葉虫全体からみてもデボン紀やアメリカを代表する種類といっても良いです。Kettneraspisの仲間は、モロッコやドイツなど世界のシルル紀後期からデボン紀中期の地層で産出し、数の少ないOdontopleurida(目)の中では比較的多くみかける種類ではあります。この標本は、裏面のサインから、この地におけるプレパラーターの第一人者であるBob Carroll氏の作品と思われます。
Lower Devonian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-83 HaraganTrilobites