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Schizophoria schnuri
ポーランドの腕足類、スキゾフォリア・スキヌリ (Schizophoria schnuri) です。オルチス目に分類されるようです。 スピリファーのように横に長く伸びるでもなく、特段、これという特徴があるわけでもありません。腕足類について詳しくない私が、本標本について言えることは殆どないのですが、とりあえず、よく手に馴染みコロコロしていて可愛らしい化石であります。 一体どこで、どういう経緯で、この標本を入手したのかも定かではありませんが、気がついた時には既に手元にありました。 三葉虫関連で言えば、盲目ファコプスとして有名な、トリメロセファルス・インテルプトゥス (Trimerocephalus interruptus) も、このHoly cross mountainから出る事で知られております。ただ、私は同種を持っていないので、そのついでに買ったというわけではなさそうです。
Middle Devonian (Jibetian) - Skaly, Holy cross mountain, Poland Schizophoria schnuritrilobite.person (orm)
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Endops yanagisawai
こちらはエンドプス・ヤナギサワイ (Endops yanagisawai)、世界的に見ても少ないペルム紀中期の希少な三葉虫です。同時代の他の種同様、プトエトゥス目 (Proetida) であります。 属名のEndopsの由来について、『最後』の時期の三葉虫だから、『End-』と勘違いされる事もありますが、違います。精力的に北上や、福島県高倉山、新潟県青海などの化石の研究などにも関わった古生物学者、故 遠藤隆次博士 (1892-1969) の遠藤 (Endo) から取った名であります。元々は遠藤博士により、パラディン・ヤナギサワイ (Paladin yanagisawai) と付けられていたようです。由来としては間違っていますが、それでも、たまたまとはいえ、最後を連想させるEndopsという名がついた事に不思議な運命を感じます。 石炭紀より数の少ないペルム紀の三葉虫として希少なものですが、かの原発事故の影響もあり、採取は今後完全不可のようです。そんな訳で、二つの意味で貴重であります。この標本は頭部と尾部、一部ですが胸部も見えております。 綱レベルで見れば、カンブリア紀から約3億年近くも命脈を保った三葉虫という偉大な種も、ついにはペルム紀には滅び去ってしまいました。そんな希少な『最期/最後』の種が日本で産出する事に、コレクターとしては喜びを覚えます。
Permian Takakurayama 福島県いわき市四倉高倉山 Endops yanagisawaitrilobite.person (orm)
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Drotops armatus
一体彼は誰から身を守りたかったのでしょうか? あるいは、誰かにその派手な見た目をアピールしたかったのでしょうか? デヴォン紀を代表する有名種、ドロトプス・アルマトゥス (Drotops armatus) です。アルマトゥスとは『武装した』という意味ですが、その種小名が呈する通り、三葉虫の全身を痛そうなトゲトゲで覆っております。デヴォン紀を代表する三葉虫であるファコプスの仲間であり、同時代を特徴づける『棘』を持ち、まさにこの時代を代表する種と言えるかと思います。この種は多くのファコプス同様、防御姿勢をとる事ができますが、そうなるとぐるり一周棘だらけで、もはや捕食者は手出しできなくなります。この派手な『棘』は、この時代に巨大化・高機能化した魚類に対する防御の為という説が根強くありますが、本当のところは誰にも分かりません。 比較的繁栄した種のようで、常に市場で売りに出されている為、状態を問わなければ比較的入手はし易いです。ただ棘が偽物である事が多いのと、プレパレーションが荒い標本が多いので、状態の良い標本の入手はそれなりに困難です。 いずれにせよ、150mm近くになる巨体も手伝い、初見でのインパクトは凄まじく、多くの三葉虫コレクターが最初に憧れる種の一つであります。
Devonian - Atlas Mountain Range, Morocco Drotops armatustrilobite.person (orm)